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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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191/648

191【オーガとの戦闘】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(2話目)

 馬車を見つけたオーガたちが、顔を見合わせ、相談する。

 まわりをキョロキョロと見回し、人間の姿を見つけようとする。

 オレたちはすでに近付くのをやめ、草陰に隠れて息を(ひそ)めていた。

 オーガたちは、とにかく馬車に近付くことにしたようだ。ゆっくりと周囲を警戒しながら、馬車へと近付く。

 オレたちの真横に来た。

 オレが手で合図を出す。

 後ろの五体の頭が水球に包まれた。

 同時に、前方の三体の頭に水球。

 オーガたちは、突然の息苦しさに、若干、驚くが、それほどの動揺はしていない。人間が近くにいる、と警戒していて、この程度では、我慢できるのか。

「どうやら歴戦の戦士みたいだな。無理に倒そうとするな! 時間をかけて、削れ! 行け!」

 飛び出したのは、ハルキだ。彼は、野球ボールほどのマグマバレットを一体に向けて放つ。真っ赤なボールが飛んでいく。

 マグマバレットが背中に当たった瞬間、それが溶けて広がり、背中を焼く。

 そいつは、灼熱の溶岩に焼かれ、地面にのたうちまわる。息もできずにいるので、しばらくすれば、弱まるだろう。

 ハルキは次に意識を移す。

 そうやって、三体を生け贄にした。


 前方では、ランドルフが大盾を構えて、オーガの一体の攻撃に耐えていた。

 ダルトンと《商いの風》は、走りまわって、残りの三体をなんとか撹乱していた。


 そんな一体に、オレは雷爆弾・静を放つ。すぐに雷が走り、オーガが痙攣する。十秒で足りるだろうか?


 雷が切れる瞬間、オレは走り寄って、片方の足首を斬りつけた。雷爆弾の効き目を確かめている場合じゃない。とにかく、倒そうと思った。


 そいつは、足首から先を失った。痛みに絶叫するオーガ。だが、水球で口封じされている。痛みと息苦しさに、地面に倒れた。


 別の一体に雷爆弾を放る。さっきと同じ要領で倒す。


 立っていたオーガ二体が苦しみだした。息苦しくなってきたのだ。

 その二体を背後からマグマバレットで倒すハルキ。

 のたうちまわるオーガたちの息の根を止めて、討伐終了。

 索敵もすべての絶命を確認した。

「ケガした者はいるか!?」と叫ぶ。

 全員の、大丈夫、の声にホッとした。

「ハルキ、よかったぞ。マグマバレット、改良したんだな」

「ええ。当たるだけでもよかったんですけどね。せっかくマグマの名があるんだから、と」

「そうだな。さて、回収しちまおう」

 オレたちが収納してまわる。


「でだ、どうするの?」とダルトン。「集落の件だけど」

 地図を出す商人。現在位置の確認だ。

「この先にヘイサト町がある。距離は……一日半ほどですね」

「そのあいだに」とダルトン。「新たな斥候隊が出るだろうねぇ」

「かといって」とドレック。「オレたちじゃぁ、集落は落とせないだろう?」

「返り討ちに会っちゃうねぇ」

「マグマバレットも」とハルキ。「そんな数は使えませんね。魔力切れを起こしますから」

「麻痺薬も」とマナミ。「そんな数はありません」

「ダルトン」とオレ。「ダルトンの足で、ヘイサト町には、どのくらいで着けそう?」

「一日。もしかして、先行させるつもり?」

「ウーちゃんと一緒に行ってくれるか?」

「ウーちゃん!?」驚くダルトン。しかし、少し考えて、うなずいた。「わかった」

「ウーちゃん、最短距離で頼める?」『空を飛んで』

「うむ、良いぞ」『あやつを乗せて行けば、良いのじゃな?』

「頼む」『そのとおり。でも、ここから見えなくなるまでは、歩いていってね』

『わかった』

 そうして、ふたりが出発した。

 オレたちは、馬車を反転させて、本来の旅を続ける。


 途中、集落に一番近いと思われる街道脇に剣を突き立て、木の板に木炭でオーガの集落の位置を書いて、吊るした。討伐隊に気付かれるように。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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