191【オーガとの戦闘】
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少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(2話目)
馬車を見つけたオーガたちが、顔を見合わせ、相談する。
まわりをキョロキョロと見回し、人間の姿を見つけようとする。
オレたちはすでに近付くのをやめ、草陰に隠れて息を潜めていた。
オーガたちは、とにかく馬車に近付くことにしたようだ。ゆっくりと周囲を警戒しながら、馬車へと近付く。
オレたちの真横に来た。
オレが手で合図を出す。
後ろの五体の頭が水球に包まれた。
同時に、前方の三体の頭に水球。
オーガたちは、突然の息苦しさに、若干、驚くが、それほどの動揺はしていない。人間が近くにいる、と警戒していて、この程度では、我慢できるのか。
「どうやら歴戦の戦士みたいだな。無理に倒そうとするな! 時間をかけて、削れ! 行け!」
飛び出したのは、ハルキだ。彼は、野球ボールほどのマグマバレットを一体に向けて放つ。真っ赤なボールが飛んでいく。
マグマバレットが背中に当たった瞬間、それが溶けて広がり、背中を焼く。
そいつは、灼熱の溶岩に焼かれ、地面にのたうちまわる。息もできずにいるので、しばらくすれば、弱まるだろう。
ハルキは次に意識を移す。
そうやって、三体を生け贄にした。
前方では、ランドルフが大盾を構えて、オーガの一体の攻撃に耐えていた。
ダルトンと《商いの風》は、走りまわって、残りの三体をなんとか撹乱していた。
そんな一体に、オレは雷爆弾・静を放つ。すぐに雷が走り、オーガが痙攣する。十秒で足りるだろうか?
雷が切れる瞬間、オレは走り寄って、片方の足首を斬りつけた。雷爆弾の効き目を確かめている場合じゃない。とにかく、倒そうと思った。
そいつは、足首から先を失った。痛みに絶叫するオーガ。だが、水球で口封じされている。痛みと息苦しさに、地面に倒れた。
別の一体に雷爆弾を放る。さっきと同じ要領で倒す。
立っていたオーガ二体が苦しみだした。息苦しくなってきたのだ。
その二体を背後からマグマバレットで倒すハルキ。
のたうちまわるオーガたちの息の根を止めて、討伐終了。
索敵もすべての絶命を確認した。
「ケガした者はいるか!?」と叫ぶ。
全員の、大丈夫、の声にホッとした。
「ハルキ、よかったぞ。マグマバレット、改良したんだな」
「ええ。当たるだけでもよかったんですけどね。せっかくマグマの名があるんだから、と」
「そうだな。さて、回収しちまおう」
オレたちが収納してまわる。
「でだ、どうするの?」とダルトン。「集落の件だけど」
地図を出す商人。現在位置の確認だ。
「この先にヘイサト町がある。距離は……一日半ほどですね」
「そのあいだに」とダルトン。「新たな斥候隊が出るだろうねぇ」
「かといって」とドレック。「オレたちじゃぁ、集落は落とせないだろう?」
「返り討ちに会っちゃうねぇ」
「マグマバレットも」とハルキ。「そんな数は使えませんね。魔力切れを起こしますから」
「麻痺薬も」とマナミ。「そんな数はありません」
「ダルトン」とオレ。「ダルトンの足で、ヘイサト町には、どのくらいで着けそう?」
「一日。もしかして、先行させるつもり?」
「ウーちゃんと一緒に行ってくれるか?」
「ウーちゃん!?」驚くダルトン。しかし、少し考えて、うなずいた。「わかった」
「ウーちゃん、最短距離で頼める?」『空を飛んで』
「うむ、良いぞ」『あやつを乗せて行けば、良いのじゃな?』
「頼む」『そのとおり。でも、ここから見えなくなるまでは、歩いていってね』
『わかった』
そうして、ふたりが出発した。
オレたちは、馬車を反転させて、本来の旅を続ける。
途中、集落に一番近いと思われる街道脇に剣を突き立て、木の板に木炭でオーガの集落の位置を書いて、吊るした。討伐隊に気付かれるように。
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