190【オーガ来襲】
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少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(1話目)
数日をともに過ごせば、彼ら商人や《商いの風》たちも、オレたちのやり方に慣れてきた。それでも護衛の勉強は、させてもらっている。それが目的なのだから。
街道をいつものように進んでいると、索敵に強い反応が現れた。
「オーガだ。しかも八匹もいる」
それを聞いたダルトンが、指笛を吹いた。
甲高い音に反応して、前の馬車が停止する。
ダルトンが、素早く走り寄って、報告する。
こちらも全員が馬車を降り、装備チェック。
オーガ八匹は、簡単な相手ではない。どんな装備を身に着けているのかも、まだわからない。
索敵では、妙なことに、オーガたちは、街道を歩いていた。まだこちらの視界には入っていない。だが、移動方向はこちらだ。
前の馬車へと集まる。
「街道をこちらへと向かってきている。縦列だ。意味がわかるか?」とダルトンとランドルフに尋ねる。
「わからないなぁ」
「オレもだ。初めて耳にした」
「だが」とドレック。「どちらにしてもぶつかる。オレたちで倒せなければ、前に寄ったエイベ村が危ない。急いで戻って、知らせるか?」
誰もが判断に困る。こういうときは、まず情報を集めよう。
「上空から確認してくる。念のため、馬車を反転しておいてくれ。急いで離れることもあり得るからな」
同意を得られたので、いつものローブをまとい、マスクをして、浮遊する。
オーガたちの隊列を上空から眺める。それぞれが巨体だ。それが八匹。
鑑定さんで調べる。それぞれの状態は、別に空腹でもない。これといって、縦列行動する意味が見当たらない。
これが単なる斥候だとしよう。すると、どこかに群れがいて、集落を形成している可能性もある。
索敵を広げると、すぐに反応が。うわぁ、マジか。
オレは急いで戻る。
フードやマスクを外しながら、みんなのもとへ。
「あれは斥候だ。南東方向、約五百歩のところに集落がある。かなりデカい」
「数は?」とダルトン。
「五十から六十」
「なんだよ、それ!」
「それは」とランドルフ。「B級以上の冒険者パーティーが複数、必要だ」
「そんなの無理だ!」とドレック。「エイベ村のギルドにはたいしたヤツはいない。斥候だけでも脅威だ! 知らせて、逃げるように言わないと!」
「どうする、サブ?」ダルトンがオレの判断を聞いてくる。
オレはウーちゃんを見た。
「儂か? 別に構わぬが? 良いのか?」
この質問は、ウーちゃんが人化したエッヘ・ウーシュカだと知られてもいいのか、という意味だ。その点は考えどころだな。
『ラキエル、相手がオーガだったら、何体やれる?』
『オーガかぁ……引っ掻きまわすとか、脚の腱を噛み千切るとかは、できるけどなぁ。ウォーターカッターだと水がないと、魔力枯渇を起こすかも』
『水があれば、いいのか?』
『それなら、まぁ多少は……あっ、ウーちゃん様には頼るな! あの方の御手を煩わすな!』
『はいはい』
「よし。まずは斥候を叩こう。集落は今は考えない。いいな?」
全員がうなずく。
「キヨミ、水球で、何体、黙らせられる?」
「五体」
「オレとマナミが」とエイジ。「残りのオーガの口封じをします。あとはそれぞれで討伐してください」
「わかった。みんな、無理に倒そうとしなくていい。時間を稼ぐだけで充分だ。オレたちは得意の得物で倒していく。いいか?」
うなずくみんな。
「まずは、街道脇に入って近付く。途中でヤツラに馬車が気付かれるだろうから、走り出したら、そこを口封じ。歩いてくるようなら近付いてから口封じ。少し間を空けて、攻撃する。それまでは、できるだけ静かに近付く。いいな?」
すぐに行動開始。
街道脇に入り、近付くために移動する。
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