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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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189/648

189【ガラス容器を愛でる】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(2話目)

 翌朝。

 ガラス容器の粗熱が取れたのを確認して、手に取る。質は充分だ。空気も入っていない。

 次に、フタを手に取る。ウ冠(うかんむり)型のフタだ。ウの最初の点をツマミにして、持ち上げる形だ。

 本当は、シャーレ型を考えていたが、高校の実験準備室を思い出して、こちらにした。標本なんかが入った瓶が並んでいたのを思い出したのだ。

 作業小屋を出て、新鮮な空気を吸うとともに伸びをする。ううん。

「おはようさん。早いね」とシファーさんが声をかけてきた。

「おはようございます、シファーさん。もう畑仕事を?」

「まぁね。それでどうだい?」

「できましたよ。見ます?」

 うなずくので、ひとつを差し出す。

「おお、こうやって、朝日にかざすと、また別格な美しさじゃな」といろいろと傾けている。

「気をつけてください。フタは簡単に取れてしまいますから」

 オレはフタを取る。

「ほぉ。そういう形にしたのか」

「ええ。扱い方を教えますね」

「頼む」

 衝撃に弱い(割れる)、液体を入れたら陽のもとに晒さない(レンズ効果で火事になる)、温度の急激な変化に弱い(割れる)、直火に晒さない(割れる)などなど。

「割れたら触らずに、ホウキと塵取りで集めるようにしてください。割れた黒曜石並みに鋭いので」

「わかった」

 うれしそうに、瓶を胸に抱くシファーさん。

「どうして、そんなにうれしいんですか?」

「親からオモチャをもらったような感じかのぉ。それにこれで何を入れたのか、わかりやすくなる」

「なるほど。あっ、陽に当たらなくても中のものが劣化する可能性はあります。ご注意を。あっ、カビることも」

「わかった。朝食をどうだい?」

「いただきます」


 朝食は、薬草サラダと黒パンと焼いた厚切りベーコン。それに根菜ゴロゴロのスープ。

 それぞれを食べる。これはこれで悪くはない。塩分控えめレシピだ。

「塩分少なめですけど、控えているんですか?」

「ん? あぁ、そういうつもりはないがね。まぁ、ほかのみんなの食事は、塩辛くてね。だから、食事に招かれても、断ることが多くてね」

「なるほどね。じゃぁ、ちょっと味を足してもいいですか?」

「いいよ」と笑む。

 ということで、サラダに塩コショウを振る。軽く混ぜる。それを食す。

「塩と、黒いのは?」

「コショウです。少し前に大量に譲り受けましてね」

「少しもらえるかい?」

 ペッパーミルを渡す。

 使い方は、オレのやり方を見ていたので、大丈夫。

「ふむ。少しピリリとするね」

「もしかしたら、スープの方がいいかも」

 オレがスープにコショウを振り入れる。それを食す。

「うん、サラダよりこっちの方がいいな」

 すぐさま真似するシファーさん。

「ほぉ、なるほど。こりゃ、確かに。コショウは身体に害はあるのかい?」

「聞いたことはないなぁ。でもなんでもそうだけど、取り過ぎはダメですよ。コショウの味になっちゃうから」

「ふふふ、過ぎたるは及ばざるが如し、か」

「そういうこと」

「面白い。コショウはどうやって採れる?」

「植物のタネだったかな。それを加工してある。たぶん、もとの植物はこのへんにはないと思うよ。国外からの輸入品だから」

「そうか。残念だな。育ててみたかったが」

 エルゲン国にあるかな?

 鑑定さんが反応。

「エルゲン国に行くから、買えたら買ってきますよ。栽培方法も含めて。それとこのペッパーミルもね」

「それは助かる。お金はどうする?」

「立て替えておきますよ。それなりにあるから」

「頼む。楽しみだ」


 お茶をしていると、キンバリーさんが迎えに来たので、シファーさんに別れを告げた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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