018【本当のことを白状する】
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1話1話が短いため、3話連続投稿させてください。(2話目)
「さて、たいした自己紹介はしていなかったな。名前くらいか」
四人がうなずく。
「まず、オレのことを白状しておく。これを見てくれ。ステータス・オープン」
オレのステータスが公開された。
「ステータスは一般人並みだ。これは本来のものとは違う。“隠蔽”というスキルを知っているか?」
「誰にも見えなくなる?」とハルキ。
「ハルキ、それは“隠遁”だよ」とエイジ。「“隠蔽”は、ステータスの改ざんができるスキルのことだよ。ということは」
「そう。これから見せるのが、オレ本来のステータスだ」
隠蔽を解く。ステータスが切り替わる。
「あれ? それぞれの値はオレたちより低いですね……えっ!?」
「称号が増えてる」とハルキ。
「“神に役目をもらいし者”」「“勇者を助ける者”」と女子ふたり。
「そういうこと。君たちは神様には会っていないよね?」
四人がうなずく。
「あの場に異世界転移する前に、オレは神様に会った」
そのときの話をする。四人とも信じられないという顔をしている。声も出ない。
「ということは」やっと声を出したのは、やはりエイジだった。「オレたち、帰れない?」
「ああ。敵のところに行っても帰るための魔法陣なんかない。そんな簡単なものじゃないんだそうだ。神様も頻繁に勇者召喚されて、時空の歪みを是正するのに大変なんだ、と言っていたくらいだ」
「時空の歪み、か。魔法で時空を歪めて、人を呼ぶ、か。確かに一方通行っぽいですね。SFかぁ」と顔を覆うエイジ。
「帰ろうと思ったら」とはキヨミ。「向こうとこっちの道を繋げたままにしておかないと、ふたたび繋ぐのは難しいかも」
「どういうこと?」とハルキは意味がわからない。
「私たちは、召喚魔法で繋がれたホースの中をとおってやってきて、魔法の効果が切れた。それと同時に、ホースが途中で切られた」
「あっ、それで帰れない?」
うなずくキヨミとエイジ。
「途中で魔法の効果が切れたら、時空の狭間に落ちて、どうなるかわからないんだ」
「死んでいたかもってこと?」
「そう」
「ある意味、運がいいのよ、私たち」
「そうだね。しかも神様に役目をもらったサブさんが一緒だった」
そう言って、みんながオレを見た。
「オレだって、ひとりだったら、途方に暮れていたよ。神様も現れなかっただろうし。オレの方こそ、みんなと一緒で、運がよかったのかも」
みんなでしんみりする。
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