174【明日の予定】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(2話目)
雪は、夕食後も降り続いていた。明日、降っていなかったら、雪掻き依頼が来そうだ。
そう話して、みんなで早めに眠ることにした。
オレもやることを手早く終えて、ベッドに潜る。枕元の明かりを消し、目を閉じる。
目が覚めると、もう朝だった。意外と疲れていたのかも。
目覚ましを止めて、窓を開け、ガラス戸を閉める。
真っ白だった。いつにも増して。晴れていたのだ。陽が雪に反射して、眩しい。
こりゃ、絶対に雪掻き依頼が来るな。
一階に降りる。
「おはようございます、サブ様」
「おはよう、セバスさん。今日は雪掻きになりそうだよ」
「そのようでございますね」
「伝言鳥が来る前に外出するよ。その方が向こうもありがたいだろうから」
「かしこまりました」
朝食後、軽くお茶をして、外出した。
全員で雪歩きだ。歩き、といってはいるが走っています。ダルトンも。
ダルトンは、本来、素早く走ることを得意としている。それは速度では馬には負けるが、自分で走り方をコントロールするので、走り続けても、疲労が少ない。また、その走法は地面に力を逃さないもので、忍者の走り方によく似たものであった。
だから、ダルトンの雪歩きの走りは、思ったよりも早かった。とても昨日、うまく雪歩きできなかった人間とは思えないほどの走りだった。
そんなわけでダルトンを先行させた。伝言鳥を手配する前に着けるだろう、と。
おかげで伝言鳥の手配前に、到着した。
オレたちは、その行動力を見込まれて、少し遠方を依頼された。
現場に到着して、拠点を確保。そこから必要な家々の雪下ろしや玄関前の雪掻きを行なう。
もちろん、そこの住人たちも手伝ってくれる。だが、彼らには屋根からの雪下ろしは断り、オレたちの職分とした。これは雪下ろしの方が危険であり、オレたちには浮遊の魔導具があるので、屋根から落ちる危険がないためだった。
終わった住居の住人から署名をもらい、拠点を撤去して、戻る。
戻ると署名が確認され、また別の場所へと派遣される。
それが繰り返され、夕方まで続く。
屋敷に帰宅したのは、もう暗くなったところだった。
夕食は、すでにネイリンさんが用意してくれていたので、入浴してから、夕食。お茶休憩。でも途中からコクリコクリと船を漕ぎ出す若者四人。自室で寝るように、と促すと、ヨロヨロしながら自室に向かった。
静かにお茶をしていると、窓の外で、ボトボトと音がしてきた。
「降ってきたな」とランドルフ。
「明日は、雪か」とダルトン。
「ふたりはどうするんだ?」とオレは尋ねる。「オレは、キヨミとマナミからの依頼が片付かないから、そっちをやるつもりだけど」
「まだ、やってんの?」
「それが追加されちゃってさ」
「ホントに何をしているのさ。あっ、言わなくていいや」
「オレも聞かないぞ」
「オレだって、話せないよ」
乙女の秘密には、触れないよ。
「ダルトン」とランドルフ。
「ん?」
「明日、昇級試験を受けさせようか」
「あの四人の? まぁ、そうだねぇ。先日のヘッジホッグ騒ぎにはまいったけど、冬場訓練はよかったし、雪歩きなんてできるようになったから、戦闘での不利も少なくなったし……でもさぁ、魔獣討伐を経験してからの方がいいんじゃないかな?」
「その点はマイナス点だが、すでに湖でやってきたから大丈夫じゃないか?」
「まぁねぇ。サブ、討伐すべき魔獣、町の近くにいない?」
一応、チェック。
「いないな。たいていは冬眠している。いても小さいヤツばかりだ」
「そっか。ユキオウたちの討伐をやれてたらよかったんだけどな。今では仲間だから、そうも言えねえけどさ」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




