172【雪歩き】
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少し長いため、3話連続投稿します(3話目)
お茶休憩。
「そうそう」とハルキが思い出した。「あれ、なんなんですか?」とオレに聞く。
「あれ?」
「とぼけないでくださいよ。あの、雪の上を歩くの、なんなんですか?」
「あぁ、あれね」
誰もが首を傾げる。
「サブ」とダルトン。「おまえ、また何かやったの?」と疑いの目。
「嫌だな、そんな目で見るなよ。雪の上を歩いただけだって」
「確かにそうですけど」とハルキ。説明しにくいのだ。
「どゆこと?」とオレを見る。
「ラキエルがケルピーになって、雪の上を歩いて見せただろう?」
「うん」
「ユキオウもできるんだよ、あれを。で、教えてもらった」
おっ、固まった。ハルキ以外のみんなが。
「魔力消費も少ないんだけど、バランスを保つのが大変でな」
「い、いつ、習った?」とダルトン復活。
「みんなが出たあとに。ユキオウがジャイアントディアーを狩りたいって言うからさ。それにくっついていったの。その途中に教わった」
「クカッ! なんだよ、それ!」
なんか悔しがってるダルトン。
「で、狩れたのか」とランドルフ。冷静だ。「ジャイアントディアーを?」
「うん。その前に、アーマードベアが徘徊しているって門衛から聞いて、それも狩った」
「ハアッ!? 何それ!?」とダルトンが素っ頓狂な叫びを上げる。
ランドルフが驚きを抑えて聞く。
「同じ日に大物二匹をやったのか?」
「うん。居場所はオレの索敵でわかったからね。探す手間がいらないから、早かったよ」
「うわぁ、ズルだよ」
「時間短縮だよ。日帰りの予定だったからな」
「それで」とランドルフ。「獲物はどうした?」
「アーマードベアは冒険者ギルドに。ジャイアントディアーはユキオウたちが内臓しか食べなかったから、翌日に冒険者ギルドに持っていった」
「うわぁ、贅沢だなぁ」呆れるダルトン。
「オレも呆れた。そのあと、商業ギルドに寄ったら、欲しいっていう人がいるとかで、ジャイアントディアーを買い取りしたいって言われた。冒険者ギルドと交渉してね、って任せてきた」
「へぇ。値が釣り上がるな」
「よかったな。で、雪の上を歩いた件だが」あっ、ランドルフもそこは気になっていたのね。「誰でも習得可能なのか?」
「オレの魔力量でもいけたんだ、大丈夫。問題はさっきも言ったとおり、バランスを保つのが難しいってことだ」
「そんなに、か?」
「ほら、オレたち、二本足だろ。アイツら四本足じゃないか。その違いがな」
「なるほどな」
「でも覚えたら、無意識でできるくらいだから、苦労は身になるよ」
「絶対、身に着けるっ!」これはダルトン。
みんなもその気満々だ。
「明日な」宥める。「もう陽も落ちたしさ」
それでみんな、渋々、納得した。フウッ。
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