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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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172/648

172【雪歩き】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話連続投稿します(3話目)

 お茶休憩。

「そうそう」とハルキが思い出した。「あれ、なんなんですか?」とオレに聞く。

「あれ?」

「とぼけないでくださいよ。あの、雪の上を歩くの、なんなんですか?」

「あぁ、あれね」

 誰もが首を傾げる。

「サブ」とダルトン。「おまえ、また何かやったの?」と疑いの目。

「嫌だな、そんな目で見るなよ。雪の上を歩いただけだって」

「確かにそうですけど」とハルキ。説明しにくいのだ。

「どゆこと?」とオレを見る。

「ラキエルがケルピーになって、雪の上を歩いて見せただろう?」

「うん」

「ユキオウもできるんだよ、あれを。で、教えてもらった」

 おっ、固まった。ハルキ以外のみんなが。

「魔力消費も少ないんだけど、バランスを保つのが大変でな」

「い、いつ、習った?」とダルトン復活。

「みんなが出たあとに。ユキオウがジャイアントディアーを狩りたいって言うからさ。それにくっついていったの。その途中に教わった」

「クカッ! なんだよ、それ!」

 なんか悔しがってるダルトン。

「で、狩れたのか」とランドルフ。冷静だ。「ジャイアントディアーを?」

「うん。その前に、アーマードベアが徘徊しているって門衛から聞いて、それも狩った」

「ハアッ!? 何それ!?」とダルトンが素っ頓狂な叫びを上げる。

 ランドルフが驚きを抑えて聞く。

「同じ日に大物二匹をやったのか?」

「うん。居場所はオレの索敵でわかったからね。探す手間がいらないから、早かったよ」

「うわぁ、ズルだよ」

「時間短縮だよ。日帰りの予定だったからな」

「それで」とランドルフ。「獲物はどうした?」

「アーマードベアは冒険者ギルドに。ジャイアントディアーはユキオウたちが内臓しか食べなかったから、翌日に冒険者ギルドに持っていった」

「うわぁ、贅沢だなぁ」呆れるダルトン。

「オレも呆れた。そのあと、商業ギルドに寄ったら、欲しいっていう人がいるとかで、ジャイアントディアーを買い取りしたいって言われた。冒険者ギルドと交渉してね、って任せてきた」

「へぇ。値が釣り上がるな」

「よかったな。で、雪の上を歩いた件だが」あっ、ランドルフもそこは気になっていたのね。「誰でも習得可能なのか?」

「オレの魔力量でもいけたんだ、大丈夫。問題はさっきも言ったとおり、バランスを保つのが難しいってことだ」

「そんなに、か?」

「ほら、オレたち、二本足だろ。アイツら四本足じゃないか。その違いがな」

「なるほどな」

「でも覚えたら、無意識でできるくらいだから、苦労は身になるよ」

「絶対、身に着けるっ!」これはダルトン。

 みんなもその気満々だ。

「明日な」(なだ)める。「もう陽も落ちたしさ」

 それでみんな、渋々、納得した。フウッ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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