表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/648

159【事情聴取】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、2話連続投稿します(2話目)

 冒険者ギルドの前では、ドネリーさんとラーニャさんが待っていた。

「本当に従魔契約したのか。信じられんな」

「初めて見ましたわ」

「ただいまです。従魔登録は門で済ませました」

「プレートを確認した。詳しい話をしたいが?」

「そうですね。従魔を屋敷に向かわせても構いませんか? メスは妊娠していて、休ませたいので」

「何!? 妊娠中か! わかった。そうしてくれ」

「ウーちゃん」

『なんじゃ?』

「ラキエルと一緒に、二匹を屋敷に連れていってもらえる? 場所は運動場で」

『わかったのじゃ』

 ケルピー二匹が、スノータイガー二匹を連れて、動き出す。

「おいおい」とドネリーさん。「従魔だけで行かせるのか?」

「あっ、まずいですか?」

「さすがに町なかは、なぁ」

「なら若者四人を付けましょう。頼むぞ」

 はい、と四人があとを追い駆ける。といっても浮遊してだけど。

「従魔同士、仲いいな」

「序列が決まりましたからね」

「ちなみに?」とラーニャさん。

「ケルピーが上です。で、白い方が、一番上です」

「どういう形で序列は決まったのでしょうか?」

「単に強さじゃないでしょうかね。まぁ、白と黒は、単純に位が違うか」

「それはどういう意味でしょうか?」

「女王様と部下ですよ」

「女王様?」

「関係としては、それに近いということです」

 説明面倒。

「まぁ、ともかく」とドネリーさん。「中に入って、話を聞こう」


 冒険者ギルドのギルマス執務室へ移動。食事処には誰もいなかった。みんな、見物人になったのかな?


 執務室に落ち着き、今回の話をする。

 途中、誰も話を遮らなかったが、ラーニャさんが書字板にメモメモしていた。

 ここでの話は、勇者召喚のことを知る人間だけだったので、もちろんオレの能力も話した。

 両ギルマスが呆れているのは、仕方ない。実行したオレでさえ、自分の力に呆れているのだから。


「それで」とドネリーさん。「生まれた子どもはどうするつもりだ?」

「さてねぇ、春に生まれるでしょうから、彼らを自然に帰すのが、一番かな、と」

「彼らもか?」

「親離れするまでは。人間とは距離を置くように、教育してくれるでしょうし。彼らも人間が危険な存在だとわかっていましたからね」

「そうか」


 ドネリーさんの話が途切れたところで、ラーニャさんが身を乗り出す。我慢していたみたい。次から次へと、質問が来る。

 あまりの多さに、ドネリーさんが呆れている。

「おい、ラーニャ、そろそろやめろ」

 へっ、と驚くラーニャさん。

「討伐で疲れているんだ。あとで聞けることは、あとにしろ」

 ありがたい。助かった。

 質問ばかりだったことに、ようやく気付いたラーニャさん。

「申し訳ございませんでした、サブ様。失念しておりました」

「いえいえ。聞きたい気持ちはわかりますので」

「では、後日、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

「ええ、どうぞ」

 あとふたつ三つ、聞かれはしたが、無事、解放された。


 一階に降りると、外にいた冒険者たちがエールを飲んでいた。どうやらオレたちの話を聞きたくて残っていたようだ。

 でも本気で疲れているので、勘弁願いたい。

 そこで結界を張った。これで誰も近寄れない。

 それなのに、ダルトンは結界から外に出て、カウンターでエールを注文する。それからこちらに手を振った。

 ここで飲むつもりか、なるほど。

 浮遊の魔導具を起動して、浮かび、結界を外すと、屋敷へと向かった。


 屋敷はこれといって、変化は見られない。外のようすを察したのか、玄関ドアが開き、セバスさんが現れた。

「お疲れ様でございました、みなさま。おや、ダルトン様は?」

「飲んでくるって。みんなは?」

「はい。みなさま、運動場にて、新しい方のおもてなしを。ウーちゃん様はお風呂に入られました」

「好きだな、ウーちゃんも。運動場を見てくるよ」

 運動場内で、ラキエルは馬に戻って、飼い葉を食んでいた。

「お疲れ様。みんなは?」

 ラキエルが面倒臭そうに、鼻面を向ける。そちらを見ると、二匹と四人が固まっていた。

「ありがとう」

 首をポンポン叩く。

 それからみんなに近付く。

「おおい、あんまり構うなよ」

「あっ、お帰りなさい、サブさん」とマナミ。

 セツカを庇うように、ユキオウがいる。のだが、ユキオウが我慢しているのが、よくわかる。

 四人がモフモフを楽しんでいるのだ。

『すまんな、ユキオウ。今、引き剥がすからな』

『頼む。身体の大きい子どもより、疲れる』

「おい、こら、離れろ。二匹とも疲れているんだからな」

 オレは、ひとりひとり、剥がす。

「オレもモフりたいのを我慢しているんだぞ」

 ごめんなさい、と謝る四人。でも顔は(とろ)けている。クソッ、堪能しやがって。


『ユキオウ、セツカ、とりあえずゴブリン、置いていくけど、ほかに欲しいものはあるか?』

『枯れ草はないだろうか?』

『あぁ、寝床用ね』

 アイテムボックスから新鮮な草を出して、それを魔法で乾燥させる。フカフカの寝床の出来上がり。

『はい、どうぞ』

『ありがとう』とセツカ。さっそく寝床へと移動する。

『ゴブリンは、いくつ、いる?』

『三つ、欲しい』

 三匹、出しておく。水も用意した。

『今日は、もう誰もこさせないから。安心していいよ』

 ラキエルのところに戻る。

『ゴブリン、食べるか?』

『二匹!』

 はいはい、と出す。


 それからリビングに戻った。

 四人を叱り、モフり禁止令を発令した。ブーイングしてくるが、すでに堪能したでしょ、オレは触るのを我慢している、と言ったら、ようやく黙った。

「本当にダメだからな。元気な子ども、産んで欲しいだろ?」

 四人ともうなずく。

「まぁ、少し離れたところから見るくらいはいいから。だが、今日はやめとけ。知らない土地に来て、落ち着かないんだ。そっとしておけ」

 四人も納得したようだ。


 ランドルフも苦笑している。彼自身は、やはりオレたち日本人のように、魔獣相手のモフモフナデナデなど、わからないらしい。魔獣は魔獣だ、という感じだ。

「魔獣の子どもが可愛いとかは、まだわかるが、成獣を触るなど考えられん。それが従魔であってもだ。従魔はテイマー以外とは馴れ合わない、それが常識だ。だから、あの四人がそばに近付いて、撫ではじめたことに、ドン引きしちまった。オスも黙って撫でられて。我慢していたんじゃないか?」

「そのとおり。オレたちの物語では、そういうのが意外と多くてな。ふつうに考えると、ありえないんだがな」

「そうだろう。オレがおかしいわけじゃないよな?」

「正常だよ、ランドルフは。オレたちがおかしいんだ。自分も含まれているのが悲しいけどな」

「まぁ、サブが良識を持っていてくれて助かるよ」

「ありがとう、慰めてくれて」


 オレは執務室で、調べ物をしていた。

 昼間のハルキの話が気になって。

 勇者召喚の魔法陣を調べる。

 勇者・賢者・大魔法使い・聖女を召喚する、称号を与える、三種のスキルを付与する、各種能力値の嵩上げをする、などのプログラムが記述されている。

 あの場の魔法陣と書物に書かれていた魔法陣を比べる。違いがあり、その内容がどのようなものなのか、がわかった。

 それを裏付けるように、各種記録からも事実が見えてきた。

 ダルトンとランドルフに相談したかったが、ダルトンは酔っ払って帰ってきたので、明日の朝、ふたりに相談することにした。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ