151【捕縛と余罪】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
「どういうことだ!!」
羽交い締めにされ、拘束された暗殺者。
逃げるためのスキルを持っているが、発動しないので、逃げられない。
拘束具は、スキルの発動を押さえる機能があるので、スキルでの逃亡は無理なのだ。
彼を拘束した人間が宙から姿を現した。隠遁のローブとマスクをしていたのだ。
職員は、結界の魔導具を使っていた。
「宰相閣下からの命令で、あなたを逮捕します」
「さ、宰相閣下? ど、どういう意味だ!」
「このとおりです」
職員は、さきほどの獣皮紙を広げ、内容を見せた。宰相の署名もある。もちろん、ニセモノである。
「あなたが王城の財宝を持ち逃げした、との訴えです」
「バカな! 持ち逃げしたのは、勇者一行だ!」
「勇者一行? 数年前にすでに死んだでしょう? それはともかく、宰相閣下は、両ギルドに依頼をなさったのです。大金をかけて」
「そ、そんな! どこからそんな金を!」
「宰相閣下は、王都の大店や貴族たちからお金をかき集めたとか。おかげで、王都は混乱するばかりです。あなたが財宝の在り処を話してくれれば、助かるのですけどねぇ」とニヤリッと笑む。
「オ、オレは、持ってねぇ」と弱々しい。
「宰相閣下からは、お仲間がいる、と伺っております。その方々の誰かが持っているのでは?」
「そんなことはしねぇ! アイツらは、オレの家族だ!」
「でも、あなたは、このミゼス町に二ヶ月近く滞在されている。その宿泊費用はどうされました? ここの親父さんからは、十日ずつ延長されている、と聞きました。違いますか? どこからそんなにお金が出てくるんでしょうね?」
職員さん、ねちっこい。もしかして、ずっと彼相手に溜まっていたのかな?
「に、偽金だ」と小さく言う。「宰相閣下から、与えられた」
「ほぉ、余罪が出てきましたねぇ。偽金は造ったり使ったりは、法律で禁止されています。そして、罰則は、死刑」
暗殺者は、歯噛みして、悔しそうだ。
ん? 歯噛み?
オレは思わず、飛び出した。ローブとマスクを放り出して。そう、見ていたのだ。
暗殺者の下アゴと鼻を掴んで、口を開けさせた。
口内にクリアをかける。それから、ポーションを流し込んだ。自作の解毒ポーションだ。
暗殺者がゲホゲホと咳き込む。
「さすがだね、あんた。でも簡単に死なせないよ」
そう、この暗殺者は奥歯を噛み潰して、服毒したのだ。さすがのオレも奥歯の毒薬なんて考えてなかった。スパイ映画じゃあるまいし。でもその映画が役立った。
このあと、彼は猿轡されて、引っ張られていった。
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