147【暗殺者・1】
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少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
「? 追っ手、ではなく、暗殺者?」
「はい。すでに王都冒険者ギルドのギルマスから知らせが届いています。現在、そちらの状況を把握するために人を差し向けてあります。宰相子飼いの暗殺者だそうで、暗殺が目的ではなく、あくまでも捕縛・連行が目的だと」
「まぁ、すでにそこまで。では、ここでその知らせを?」
「はい。待ちます。ですから、あまり目立つことは」
「わかりました」
そこでこの話は終了し、お昼の情報を話し、オレからではなく、温泉客から聞いた、とするようにしてもらった。
ラーニャさんを見送り、夕食を食べ、ランドルフの帰宅・夕食後、全員を執務室に集め、ラーニャさんからの話をした。
「なるほど、ありがたいな」とランドルフ。「商業ギルドがこちらの事情を知っていて、補助してもらえる、というのは」
「しかも」とエイジ。「秘匿してもらえるって、大きいですよね」
「そうだな」
「えと」とマナミ。「ここで暮せば、安心?」
「まぁ」とオレ。「完全に安心できるわけじゃないけど、まわりを警戒してくれるから、以前に比べたら安心できるな」
「よかった。ちょっと心配でした」
「そうだよな」とハルキ。「別に何があったわけじゃないけど、誰かに見られてる感があったんだよな」
「あれ」とエイジ。「おまえもか」
「エイジも?」
うなずくエイジ。
「いつからだ?」と怪訝な顔をするランドルフ。
「いや」エイジが答える。「先日、四人で街なかに買い物に行って、そのときに」
「オレも」とハルキ。「あたりを見回してみたけど、怪しい人は」首を振る。
「ふむ……サブ、おまえの索敵、かなり詳細までわかるよな」
「ああ」
「それでこの町の人間かどうかは、わからんか?」
「やってみる」
オレの索敵は、鑑定さんのいち機能だ。だから、正体や数なんかがわかる。
条件を指定していく。範囲をこの町に限定。まず、人間族・獣人族・エルフ・竜人族などの区別なく、人を察知。
次に、この町の人ではない者だけに絞って察知。オレたちもこの中に入っている。ほかにも何十人か。集中している。宿屋だろう。
さらに、条件を追加。宰相子飼いの暗殺者は?
「うわっ、暗殺者がひとりいるよ。どうやら、ほかの客に紛れて、宿屋に泊まっているみたいだな」
ここの地図を出して、反応している場所を示す。
「《酔いどれ亭》か。ふつうの宿屋だな。ふたりは、どこで視線を感じたんだ?」
あのときは、と言いながら、道をたどるふたり。
「ここです」「オレもそこ」
ふたりが示した場所は、その宿屋近くだった。
「確実に見られたな。しかし、動かずにいる。知らせを出したか? あるいは、確信が持てないでいるのか?」
「捕まえるか?」
「どうだろうな。サブはどうだ?」
「捕まえると、連絡が来ないことを訝しんで、調べに来る可能性があるな。そのまま、様子見かな。せめて、尻尾を出してくれるといいんだがな」
「尻尾って、どんな?」
「例えば、宰相や仲間へと連絡を入れるとか。まぁ、暗殺者なら、相手先を直接指定はしないだろうから、王都のどこかへと連絡を入れるんじゃないかな。問題はどうやって連絡しているか、だな。ほかの尻尾というと、こちらを調べているところを見つける? 見つけて、どうする?」
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