表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/648

146【油粘土版書字板・こちらとあちらの事情】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(1話目)

 固定するのは、みんなを帰したあと、オレ自身でやる。道具がひとつしかないし、手慣れているからな。向こうの世界で、いち時期、こうした作業を建築現場でやっていた。仕事繋ぎのバイトでね。高所作業もお手のもの。浮遊の魔導具はこういうときにありがたい。魔導ランタンも頭に巻き付けて、使えるようにしておいた。


 作業を終え、屋敷内に戻ると、ラーニャさんが待っていた。

「どうされました?」

「お昼に教えていただいた情報を王都商業ギルドを通じて、簡潔に伝えました。詳細は後日として」

「あぁ、なるほど」

「詳細を教えてくださいませ」

 彼女は、油粘土版書字板を取り出した。

「あっ、それ」

「書字板ですわ」と笑む。「先日、登録されまして、さっそく作らせました」

 はやっ!

「ちょっとしたメモ程度ならば、木の板を使っていたのですが、使い終わると削らないといけません。その点、この書字板は用が済めば、そこをヘラで(なら)すだけです。とてもいいものですわ」

「ありがとうございます」

「へっ?」

「それ、登録したのは、私なんですよ。油粘土とともに」

「えっ、そうなのですか?」

「はい。私は」と自分の書字板を出す。「木の板を使っています。油粘土もいいのですが、こっちの方が自分に合っていたので」

「そういうことだったのですね。納得しました。……サブ様、もしかして、ほかの大陸の方、なのでしょうか? 間違っていたなら申し訳ございません」と頭を下げるラーニャさん。

「こっちの大陸にないものをよく知っているから、ですか?」

「はい」真剣な表情。

 これは軽く受け流せるものでもなさそうだ。

「あなたの胸に秘めてもらえますか?」

「わかりました」

 オレは、髪と目の色を変える魔導具を切った。

 はじめは驚いた彼女だったが、そういうことか、と思いいたったらしい。うなずいた。

「黒目黒髪……勇者召喚でこちらにいらしたのですね?」

 うなずく。

「そういうことでしたか……サブ様」顔付きがとても強張ったものに変わった。「これより王都商業ギルドのギルマス命令を実行いたします」

 なんだ、突然?

「王都を含めた全商業ギルドは、召喚された勇者一行と接触した場合」報告せよ、とか?「その存在を秘匿し、自由な行動をさせよ。また、捕縛・暗殺を目的とした者たちを警戒し、見つけた場合、勇者一行を逃がすべく行動せよ、という通達です」

「つまり、私たちがいることをどこにも知らせない、と?」

「はい。そして、できうる限りのサポートをするつもりです」

「なぜ、そこまで? 王都商業ギルドのギルマスは王命に逆らった、と聞いています。確か、依頼料の支払いが先だ、と突っぱねたとか。そこまでする必要があるのでしょうか?」

「ある、と思っているからこその通達です。商業ギルドと勇者とは切っても切れぬ関係があるのです」

「それって、商業ギルド開祖のことですか?」

 意気込んでいたラーニャさん、突然、鳩が豆鉄砲をくらったような顔に。

「ご存知でしたの?」

「先日、知り合いから聞きまして。なんでも開祖は、召喚されたエチゴヤという人物の孫だとか」

 彼女が真剣にうなずく。

「そうです。ならば、商業ギルドが勇者一行を気に掛けるのは、当然とは思われませんか? 少なくともわたくしは気に掛けます。国が危険な行為をし、その対価としてその財産を奪われ、不安定な状況であるにも関わらず、国内の安定が保たれているのは、ひとえに商業ギルドと冒険者ギルドの存在ゆえです。その存在を与えてくださった勇者様一行は、まさに崇拝すべき存在――」

 オレは、彼女を止めた。このまま、続けられても、ねぇ。

「わかりました、わかりましたから。ともかく、手助けはありがたいです。でもほどほどにお願いします。あまり目立つと暗殺者に目を付けられてしまいます」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ストーリーは楽しく拝読しております(^○^) ただ、今回はセリフの後に改行せず地文が続く箇所が何回かあって読みにくかったです(ノ_・、)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ