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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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141【ミニチュアとハーフエルフの扱い】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(2話目)

「なんだ、こりゃ?」

 彼に見せたのは、運動場のミニチュア。ゆうべ、作った。

「運動場です。言葉や図を見ても、わかりにくい部分があると思って。上から押さえてみてください。簡単には潰れませんから」

 親方さん、慎重に手を載せ、押さえる。ビクともしない。当然。

「固めてあるんじゃねぇよな」

「屋根を取ってみてください。簡単に外れますから」

 言われたとおりに、屋根を外す親方さん。スポッと音がするように、外れる屋根。

「こんなに簡単に取れちまうのか?」

「もちろん、固定しますよ。突風でも吹いたら、飛ばされますからね」

 屋根をひっくり返して見る親方さん。

「これで耐えられるのか?」

「まさか。骨組みを見てくださいよ」

 骨組みは屋根を外され、その場に残されている。親方さんがそちらを見る。

「ムムッ、なんだ、これは?」

「金属の骨組みです。屋根にかかる重量を分散させて、全体で支えます。この金属部分はオレが用意します」

「なんか、騎士様の金属甲冑みたいな金属だな」

 そのものです。ミスリルを混ぜてますがね。ニヒヒ。

「おまえさん、鍛冶師か?」

「いいえ。でもまぁ、近いことをやってますね」

「おまえさんの正体、わからんな」

 笑って誤魔化す。

 骨組みを持ち上げる親方さん。

「ムッ、軽いな。この穴がその理由か?」

「そうです。あんまり開けると強度が落ちますがね。で、それを組み立てますので、冒険者にでも力仕事を依頼しようかと」

「オレらには、仕事をまわさねぇつもりか?」とちょいお(いか)りモードで睨まれる。

「まさか。それだったら相談してませんて。下位冒険者たちにも仕事を与えてやらないとね。あっ、そうだ。この町って、孤児とかはいますか?」

 これもテンプレ回収。お金があるんだ。そちらにまわしても構わない。

「孤児?」怪しい人間を見る目付きだ。まぁ、そうなるな。

「ある程度の年齢の子どもに仕事を与えようかと。孤児院があるならば、そちらの院長先生に相談するつもりなんですが」

「何をさせるつもりだ?」

「親方さんたちや冒険者たちの手伝いや食事の準備ですね。危険なことはさせません。いますか?」

「それは子どもに限るのか?」

「いえ。非力な人でも構いませんけど」

「わかった。孤児院はない。孤児はいるが、養い親がいる。そうそう孤児だけってぇのはねぇ。ところがだ、効能のないお湯だけの宿に泊まる客が減って、いくつか宿屋が閉まっちまった。で、そこで働いていた女たちが仕事にあぶれちまった」

「その人たちに仕事を与えろ、と?」

「一時的でも金を得る機会は欲しいんだ」

「なるほど。もし今回の件でその人たちを集めるとしたら、どちらに?」

「商業ギルドだな」

「わかりました。どのくらい、いますかね?」

「知ってる限りじゃ、九人。もう少しいるかもしれん」

「ふむ」十人ちょいとして、ちょっとしたことに手を貸してもらおう。「少し考えます」

「頼む」

「あっ、種族は? 別に差別するつもりはありませんけど、前情報として」

「心配しとらんよ。ハーフエルフを雇うくらいだ。偏見はないんだろう?」

「あなたもハーフエルフは?」

「正直、難しいところだ。古くからの迷信だとわかっちゃいる。だが、それを笑い飛ばせないことがあったんだ。だから、やっぱりな、とな。あの子のことじゃねぇからな」

「ええ。じゃ、みなさん、わかっていても()れない、という感じですか」

「そんなところだな。()れなければ大丈夫だ、ってな」

「ふうん。つまり、何かことが起こったら、彼女のせいにするんですね?」とオレは彼を睨んだ。

「お、おい、よせよ! そんなつもりは、オレにはねぇよ!」慌てる親方さん。

「でもウワサはあるんですね?」

「ググッ……ある」ようやく喋る気になったか。「だが、ここであの子が働くようになって、温泉に効能がないことがわかったんだ。それから客足が減ってる。わかってる、あの子のせいじゃねぇのは。そんなの、誰だってわかってるさ。でも、なぁ」とオレから目を逸らす親方さん。

「あの子が」とオレは小声で「ハイエルフの王侯貴族の孫娘だとしたら、そう言ってられますかね?」とつぶやく。単なる設問だ。可能性はなくはない。ハーフになるには、それなりの組み合わせがある。そこには人間族もハイエルフも入る。ふつうのエルフも。

 おれの問いかけに、親方さんがゆっくりとオレを見る。まさか、という目。

 オレは、あっまず、という顔をして、話を変える。

「えっと、女性たちのことは考えます。運動場、やるのは、いつにします? それまでにこっちも準備しますので、いつにするか、決まっていれば、うれしいんですが」

 睨み付けられた。が、どうやら考えていたらしい。「七日みてくれるか? こちらも準備するから」

「わかりました」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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