140【町の活性化案】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
親方さん以下、数名でやってきて、ちゃっちゃと修繕作業を進めていく。
「おい」と親方さんに声をかけられた。
「はい?」
「すげぇじゃねぇか。全部の窓にガラスを張って」
「でも一時的なものなんで、いちいちはめ込んだり外したりが、大変なんですよね」
「なるほどな。こっちも良さげな感じを考えてるから。まぁ、もう少し待っててくれや」
「わかりました。それと運動場の延長なんですが」
「なんだい、拡張か?」
「いえ。玄関から道までを同じようにしたいな、と考えまして」
「あん?」
そこで説明。
「あぁ、なるほどな。悪くない。だが、どうやる?」
そこも説明。
「なぁ、それって、ほかの道でもできねぇか?」
「可能かどうか、といえば、可能です。ですが、それだけの規模になると、私ひとりでできる範囲を越えてしまいます。材料だって、半端な量ではありませんよ」
「ここだけなら、できるのかい?」
「計算上は」
「わかった。人足をかき集める。最優先で、そいつを造るぞ!」
「はい? 人足をかき集めても簡単にできませんよ! ここでやろうとしていることは、魔法ありきなんですよ、親方さん」
「土魔法が使えるヤツか? 土木関係に声をかければいい。火魔法か? 水魔法か? 風魔法か? どれが必要だ? 揃えるぞ!」
「待って待って! なぜ、そんなにやる気になってるの!?」
怪訝な顔で、オレを見る親方さん。それから思い出したように、うなずく。
「そうだった。おまえさん、この町の出身じゃなかったな」
「ええ」
「ここは温泉場だ。だが、薬効がない、と知られて、客足が鈍っている。そして、それがなくても冬場は雪に閉ざされて、誰も泊まりに来ん。せめて、街なかだけでも身動きできる状態にして、商売を活性化したい。それには雪をなんとかせにゃならん。そこにおまえさんの案だ。これがうまくいけば、この町の活性化につながる。客足も多少は良くなる」
「なるほど。それで、ここを早急に仕上げて、どうしようと?」
「町議会に見せる。町議会が納得すれば、町の中をよくできる」
「見せる、のは、わかった。でも結構、お金がかかるよ?」
「ムッ……そこは雪掻きの人件費を捻出すれば――」
「いや、どっちにしろ、人件費は発生するからね。しかも材料はどうするの? その費用は? ひと月ふた月で片付く仕事量じゃないよ? わかって言ってる?」
ムッ、と黙り込む親方さん。
「理由はわかりました。でもまずは運動場に力を注いでください。長期計画で実現可能な案を考えてみますから」
「頼む」
「では、執務室にどうぞ。あるものを見てもらいたいので」
「あるもの?」
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