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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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137/648

137【庭と湯治と運動場】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(1話目)

 昼食後、ラキエルのようすを見に行く。

 彼は、自由に、草を食み、走りまわっていた。

 ふと思いついて、範囲指定して毒物を鑑定してみた。間違って食べて倒れられても困るので。反応なし。よかった。

 ちなみに、庭はバラ園のような飾られた庭ではなく、ヒザ下くらいの草で覆われていた。葉先を見ると、カットされたあとがある。一度は、刈られたか。

 セバスさんに尋ねると、三月(みつき)ほど前に刈ったそうだ。所有権を譲られる少し前だったとか。

「そういえば、ご主人は大店(おおだな)だったと聞いた気がするんですけど」

「はい。《金の子熊屋》という大店(おおだな)です」

 《金の子熊屋》か。

 確かに大店(おおだな)だ。

 王城から奪取した書類にある。

「おお、あの《金の子熊屋》ですか。良質な食材を王城に卸している、と聞いたことがあります」

「はい」とセバスさんは自分のことのように笑む。

「そのご主人は、ここへはよく?」

「最初のうちは湯治目的でして。効能のある温泉ではないことがわかり、次の場所が決まるまでこちらに」

「なるほど。まぁ、湯治目的なのに、ただのお湯でした、では意味がありませんからね。それで次に?」

「いえ。病が進行しまして、王都に戻られたのです。わたくしもご一緒いたしました。ほどなく、お亡くなりに。当屋敷は遺言書に記載があり、わたくしへの退職金代わりとして、いただきました」

「なるほど。でももう少し金額を高くして、そのお金で余生を過ごすことは考えなかったんですか?」

「もちろん考えました。ですが、仕事のない生活など、わたくしも妻も知りませんから、笑ってこの条件とさせていただいた次第です」と苦笑。

「まぁ、突然、ヒマになっても、何をしていいのか、困りますからね」

「はい」

「話は変わりますけど、このあたり、雪は降ります?」

「降ります。豪雪地帯ではないので、苦労は少ないかと」

「どのくらい積もります?」

「そうですね……腰ぐらいまででしょうか」

「動こうとすると大変ですね」

「はい。大きな道は両ギルドや商店などが雪掻きいたしますが、個人宅からは自力で雪掻きする必要がございます」

「つまり、ここも、ですね」

「はい」

「まぁ、若者もいますし、大丈夫でしょう。あっ、馬は移動できますかね?」

「お勧めいたしませんが、可能でございます」

「そうか。ラキエル、運動不足になりそうだな。ヘタに出れば、疲労するだろうし」

「確かに」

「運動場を造るか」

「運動場、でございますか?」

「そう。この庭いっぱいに屋根を張る。壁を作って、寒くないようにする」

「雪の重みで、崩れませんでしょうか?」

「そこは、雪が積もらないようにすればいいだけだよ、たぶん」

 自信がないわけではないが、予防線は張っておくよ。

 で、いろいろと調べて、構想を練る。

 手間がかからないやり方。ううむ。

 考えはじめると、ちと止まらない。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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