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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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135/648

135【セバスの健康とウーちゃんの説明】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、2話連続投稿します(1話目)

 夜。執務室で、セバスさんと話す。

「突然に住むことになり、申し訳ない」

「いいえ。察するに、食事の問題があったのではないか、と」

「まぁ、そんなところです。さて、お身体は、どのような状態でしょうか? 今後のために聞かせてもらいたいのですが」

 うなずくセバスさん。

「医者には毎年かかるようにしております。特にこれといった病気の兆候はないそうです」

「なるほど。では、自己申告をお願いします」

 小さなため息。

「情けないことに、階段の昇り降りが辛うございます」

「でしょうね。屋根裏部屋までの昇り降りは大変でしょう。どうでしょう、下の階に住まいを変えては」

「しかし、客室を使うことは考えられません」

「客室を使うような客は、基本、いないよ? まぁ、ひと部屋は確保しておく必要はあるけどね。仲間がもうひとりいるんで。それからオレたちは貴族でもなければ、それに準じた存在でもない。少し一般常識に欠ける一般人だ。だから自由に振る舞うし、マナーに欠ける場面もあるかもしれない。その点は先に謝っておく。だから、命令することも可能だが、そうはしたくない。これはお願いだ。使って欲しい。そして、屋敷の運営をしっかりして欲しい。奥さんと相談してみて欲しい。ヤルダさんにも伝えてもらえるかな?」

「ヤルダも、ですか?」

「ええ。いけませんかね?」

「いえ、少々驚いただけでございます。伝えます」

「よろしく。それから必要な費用は出しますから言ってください」

「かしこまりました」

「何か、ありますか?」

「ひとつ、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」うなずく。「ウーちゃん様はどういった方なのでしょうか?」

「ん?」

 彼が、首元に手をやる。

「ここにプレートが」

「あぁ、あれね。従魔のプレート。彼女、実は魔獣なんだ」

「魔獣!」飛び跳ねるセバスさん。「失礼いたしました。しかし、本当に? 人化する魔獣となると、ドラゴンとかですか?」

「オレも人化するのは、ドラゴンくらいだと思っていたんだけど、彼女はエッヘ・ウーシュカなんだ」

「エッヘ? なんです?」

「知らない? ケルピーは?」

「川に棲む魔獣ですね」

「うん。エッヘ・ウーシュカは、ケルピーが川に棲むのに対して、湖に棲む魔獣なんだ。どうやらもとは同じケルピーらしいんだけどね。ランドルフによると、ドラゴンよりは小さいらしい。それでもゴブリンをひと飲みできる大きさなんだ」

「ウーちゃん様は、その魔獣だと」

「うん。彼女の棲んでいた湖にオレたちがキャンプを張って、退治したゴブリンの処理に困って、湖に流したら、彼女が現れて、パクリッ。で、そんなことを続けていたら、懐かれてね。名前付けたら、テイムしちゃって。で、こっちに戻ると話したら、ついてくることになって。最初は馬化してたんだ。で、従魔登録することになった。あのプレートはそのときのヤツ」

「なかなかに信じられぬお話ですな」

「だろう。自分でもいまだに信じられないよ。でも実在しているしね」

「わかりました。このことは、皆様、ご存知で?」

「うん。でも商業ギルドには、ケルピーで登録した。エッヘ・ウーシュカなんて言ったら、町中が大騒ぎになるだろう?」

「おそらく。では、今後、人に聞かれたならば、ケルピーと答えることにいたしましょう」

「頼むよ。あっ、ランドルフのことを教えておくよ」

「ランドルフ様、ですか?」

「彼は、S級冒険者なんだ。今はいないもうひとりもS級冒険者でね。ちょっと野暮用を頼んでいるんだ」

「S級冒険者がおふたりも」

「別々に活動していたんだけど、今回、一緒になった」

「なるほど」

「まぁ、宣伝するようなことじゃないけどね」

「ほかの方々は?」

「新人冒険者。ランドルフが先輩として、いろいろと教えているんだ」

「そういうことでしたか」

「オレは商人としては、駆け出しでね。行商をはじめるつもりだった。で、護衛に彼らを雇うことにしたのさ」

「? 失礼ですが、どうして、こちらに居を構えようと?」

「はじめは、冬のあいだを過ごす借家を考えていたんだ。でも、ちょっと状況が変化してね。で、ここを購入した。今後のことはわからないけどね。でも春になったら、旅に出るかもしれない、ここを拠点にね」

「なるほど」少し考えるセバスさん。「今のところの疑問はこんなところです」

「オレもだ。疑問があったら、いつでも聞いてくれて構わない。オレも聞くから」

「かしこまりました」

 立ち上がり、一礼して、彼は出ていった。


 ひとりになった執務室で、あの本を開いた。これは確かに知識の書だ。オレたちの世界の、という条件はあるが。

 これをうまく運用するには、オレの持つ鑑定さんが必要だ。それだけではなく、各種の資源、特に人が必要になる。

 もの集めに人集めか。大変だな。

 本を閉じた。

 今は、急ぎの問題はないのだ。

 それで、良し、としよう。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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