133【ネイリンさん】
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少し短いため、2話連続投稿します(1話目)
屋敷に帰ったオレは、呆れて物も言えなかった。
「サブ様」とセバスさん。困った顔をしている。「あなた方は、いったいどれほど、排泄物を放置していたのですか?」
「はい?」
聞くと、三つあるトイレに、高校生四人が殺到し、排泄物の処理をしている、という。
笑うしかなかった。
「ふた月三月でしょうか。旅先でずっと排泄で困ってまして。しないというわけにもいかず、容器に溜めていたのです。穴を掘って埋める方法が取れず、そのように」
「なるほど。しかし、さすがのスライムでも受け入れできる量は限られておりますので」
なので、現在進行中の四人を止めて、数日に分けて行なうように、と説得した。
「それから」とセバスさんが、続ける。「あの容器ですが、なぜ金なのでしょうか? あれだけの量の金であるにも関わらず、皆様は、容器としてしか見ておられぬごようす。それが疑問でして」
「その疑問はわかります。まぁ、あの容器を作ったのは私、いや、今後は“オレ”と言いますね。オレが作りました。これは内密でお願いしたいのですが」うなずくセバスさん。「もととなる金は、とある盗賊団が隠していたお宝でしてね。で、手近な金属ということで、溶かして容器にしていった、というわけです」
「なるほど。では、今回の屋敷のご購入代金も?」
うなずく。
「そうです。ですから彼らがあれを容器以上に見ないのは、そのためなのです。もちろん、彼らにもお宝を分配しましたから、みな、お金持ちなのですがね」と笑む。
「そういうことでしたか」納得してくれたようだ。
本当は、多少の小遣い程度を渡しているに過ぎない。その方が本人たちが安心するというので。まぁ、高校生が大金を持っていても、使いどころがわからないだろうしな。ダルトンやランドルフには、必要経費として多めに渡している。
メイドのネイリンさんが帰宅。セバスさんが紹介してくれた。彼女も獣人で、犬獣人。アフガン・ハウンドという大型の長毛種に似ている。スッとした鼻先。優しい感じの目元。垂れた耳は人間の髪の毛のようだ。毛並みは、黒や茶や白がミックスしている。ネコなら三毛猫だな。
しかし、どこかオドオドしている。
「どうか、されましたか?」と尋ねてみた。
「実は」とセバスさん。「今日からお住みになられるご予定とは知らず、食材があまりないのです。彼女はそれを叱責されるのでは、と怯えているのです」
「あぁ、なるほど。怯える必要はありませんよ、ネイリンさん。自分たちの食料はありますから。それから今後、料理に関しては、こちらのマナミと相談して作ってもらえると助かります」
「相談?」とネイリンさんが疑問符を浮かべる。
「実は我々は、ちょっと味覚がほかの人々と違うのですよ。ですので、その味付けなんかをこちらに合うものにしてもらいたいのです」
「あぁ、なるほど。かしこまりました」
「まずは、マナミと調理してみてください。その上で、一緒に食してみましょう。これは、セバスさんとヤルダさんも一緒です」
「はい?」とセバスさんが驚く。「それは、しかし」
「我々の食事がどういうものなのか、理解していただくためです。そうだな、できれば、定期的に行ないたい。我々は貴族ではないので、マナーなどは気にしないことにしましょう。まぁ、どんちゃん騒ぎはどうかと思いますけどね」
「……かしこまりました。参加させていただきます」諦めたな。
「うん。マナミ、頼んだよ」
「はい」
※アフガン・ハウンド
ウィキペディア参照。
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