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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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130/648

130【トイレと書斎】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(1話目)

 金の容器を取り出す。

「お恥ずかしいことに、排泄物の処理に困っていたし。どんな感じでスライムが取り込むのか、見たくて」

「なるほど? まぁ、どうぞ」

「ありがとう」

 フタを開け、逆さにして、ボットンッと落とす。

 物理的に接する前に、スライムが反応した。排泄物を中心としたくぼみができ、まわりがミルクの王冠のようにせり上がる。排泄物を受けると、王冠が内側へと崩れていき、排泄物を包み込む。

 容器にクリア魔法をかけて、しまう。

 スライムは半透明なので、中の排泄物が溶けていくのがわかる。

「なるほど、溶かして、養分を吸収するのか。ふむふむ。スライムの寿命は?」

「およそ」とギルマス。「三年。スライム養殖業者がスライムが出した残渣を回収して、新たなスライムを置いていきます」

「三年。しかも残渣が出る。その残渣は肥料になるのでしょうね」

「存じません」

「スライムは高額なのでしょう?」

「ええ」

「養殖の維持費を考えると、残渣を肥料として、販売するのが適切でしょうね。それとも注文を受けてからの養殖なのかな?」

 いろいろ考えていると、ランドルフに肩を揺さぶられた。

「おい、戻ってこい、サブ」

「ああ。悪い悪い。スライムのことは、また考えるよ」

「そうしてくれ。みんな、呆れているぞ」

 まわりの面々を見ると、確かにそのとおりだった。

「失礼しました」

 トイレをあとにして、次へ。ちなみにトイレは三箇所あった。でも配管のことを考えたら、これはこれで、ありなのだろうな。


 書斎を見せてもらう。立派な執務机があり、壁には本棚。本がところ狭しと入っている。本自体が高いのに。でも本は宝飾品の類いなのに、ここの本は宝石などがわざわざ削られていた。まぁ、付いたままだと、立てて並べられないんだけど。

 タイトルだけをチェックする。どうも整理されていない。買ったら宝石を外して、次々と並べたようだ。まるで、買った本をちらりと中身を見て、積読(つんどく)しているかのようだ。

「主人は」とセバスさん。「失礼。元所有者は、知識人でありましたが、華美な装飾を好まれてはおりませんでした」

「そのようですね。しかし、あまり読んでおられなかったかのように見えます。タイトルがバラバラなので、そう見えるだけでしょうか?」

「そのとおりでございます。すでに読み終わり、こちらへと送られてきたものでございます。送られた順に並べておりますので、そのように」

「なるほど。そういうことでしたか」

 そのとき、鑑定さんが反応した。危険ということではなく、本のひとつに反応したのだ。

 近付いて、その本を手に取る。その本の装丁は、まるで日本の本屋で見る単行本そのもの。サイズがA5ぐらい。しかも挟まれている紙は獣皮紙ではない。植物紙、いやもっと滑らかなものだ。これは、この世界に実在するはずのない本だった。

 オレは、意識的に鑑定する。タイトルがなかったからだ。鑑定結果にオレは頭を抱えた。なんで、こんなところにあるんだよ!


※スライム

  ウィキペディア参照

  以前は厄介な魔獣という地位にいた?

  本作では、現代のイメージ

  (弱く、つややか、丸っこい)

  というものに、見つけにくい、

  という点も付け加えた。

  弱い魔獣は、身を守る術を持つ、

  と考えたため。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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