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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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127/648

127【ラーニャさんと訳あり物件】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(1話目)

 翌日。

 宿屋の朝食を食べる。スープと黒パンと果物。これはふつうに食べられる。

 宿屋を出て、商業ギルドへと向かう。


 商業ギルドは、イジジ村の建物よりも大きい。それだけの取り引きがあるのだろう。

 オレだけ、中に入る。

 中はそれほどの人はいない。窓口もいくつか閉鎖されている。

 すぐにスタッフの女性が近付いてきた。

「おはようございます。ようこそ商業ギルドへ。ご要件をお伺いいたします」

「おはようございます。鉄級のサブと言います。イジジ村の商業ギルドでの紹介を受けまして、物件を確認にまいりました」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

 案内されたのは、ギルドマスター執務室。また?

 スタッフさんがノックをして、要件を伝える。中からの承諾を得て、ドアが開かれた。

 中には、執務机にひとりの女性が座っていた。お局様、といった感じの女性で、制服がピタッとしている。ピッチリ、ではない。ここは大事。

 オレたちが中に入ると、彼女も立ち上がり、近付いてきた。

 右手を出してくる。

 それを受けるオレ。

「ようこそ、ミゼス町の商業ギルドへ。わたくしは当ギルドでマスターをしております、ラーニャと申します」

 うむ、まさしくきっちりとしていて、スキのない感じ。

「鉄級のサブです」

「どうぞ、お掛けを」とソファーを勧められる。

 お互いに座る。

 さきほどのスタッフさんが、お茶を淹れてくれる。

 会釈して、礼に代える。

「ずいぶんとお早い到着ですね」

 やはり聞かれた。

「はい。イジジ村をすぐに出まして。馬を飛ばしてきました。馬が頑健で助かります」と笑顔。「物件を少しでも早く見たくて」

「なるほど。空を飛んできたのかと思いましたわ」と微笑み。これは営業用だな。「では、さっそく物件について、詳細を提示したいと思います」

 スタッフが獣皮紙をテーブルに載せた。物件の詳細が書かれた書類だ。

「まず、なぜわたくしが担当するのかを説明させてください。戸惑われたことと思います」うなずくオレ。「王都の異変はご存知ですか?」うなずく。「それにより、王城と取り引きをしていた白金級と金級の商会員の商会が、王都内の資産を奪われてしまいました」

「えっ? 確かに混乱している、とは聞きましたが、そこまで?」

「それだけではありません。その商会員たちは、幽閉されました」

「そんな」

「この情報は、サブ様がイジジ村でこの物件情報を得られた二日前でした。お伝えするのが遅くなりましたのは、この情報の真偽を確認していたからです」

「なるほど。では、今回の物件は、王城からの?」

「いいえ。本来の所有者は亡くなり、遺言書により、この物件は第三者に譲渡されました」

「事前に?」

「はい。ですが、まったくの偶然です。譲渡されたのは、王城の異変の前日。売り出しの相談を受けたのが、その翌日です。まだ王城の異変がはっきりとしていない状態でした」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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