124【物件探しとテンプレ騒動】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
翌日、商業ギルドへと借家の件で相談に行ったのだが、こちらの条件に合致する物件はなかった。購入できそうな空き家も空き地もなかった。
「ほかの町か村でないですかね? 商業ギルドと冒険者ギルドのある場所で」
「それならば」と受付嬢が何かを思い出した。「少々お待ちいただけますでしょうか? 確認してまいりますので」
「お願いします」
受付嬢は奥へと小走りに向かった。
それから五分ほどして、彼女が戻ってきた。
「お待たせいたしました。実は王都の騒ぎの影で、大店のひとつが屋敷を売りに出したのです」
「あぁ、なるほど」
「こちらがその物件となります」
彼女が出した獣皮紙には、その場所や広さ、建物内部の間取りなどが書かれていた。こぢんまりとしているが、こちらの必要条件を満たしている。
「場所は」と今度は地図を出す。「こちら」と指して、「ミゼス町の郊外のようです」
「ミゼス町は、何かあるんですか? 人々が集まるような」
「温泉地で有名でした」
「過去形?」
「はい。温泉と言いましても、特に効能があるわけでもなく、湯船に浸かる、というだけの町です。今は、旅人が浸かりに来る、という程度のようですね」
ふむ。お湯が出るのは、いいかも。
「お屋敷にもその温泉が?」
彼女が書類を確認する。
「屋敷の風呂場に引き込んでいますね」
「ふむふむ」
「それと、調度品なども含めた形での購入を望んでいます」
「いかほどで?」
提示された金額は、けっして安くはない。とりあえず、手付けを払い、検討することに。
服屋に行くと、四人やウーちゃんと合流できた。オレも自分の下着を含めた服を選ぶ。店員に聞いて、冬物もチェック。出揃うのは、まだこれかららしい。購入したものは、マジックバッグに。ウーちゃんは着替えたよ。ちょっと妖艶さが出てるね。誰チョイスかな?
冒険者御用達用品店で、冬用の装備をチェック。店員に相談して、購入。マジックバッグに。
次に食材の購入。ではあるが、朝市の方が種類はありそうだ。それでも買えるだけ買う。調味料はたっぷりある。大丈夫だろう。
屋台で、つまみ食い。ウーちゃんが食いつく。子どものようだ。お金は女子ふたりに任せたので、振りまわされている。
まぁ、人間の社会には縁もゆかりもなかっただろうから、見るものすべてが興味深いのだろうな。
五人と分かれ、街なかを歩く。さきほど、鑑定さんが反応したのだ。ひとりになれば、近付いてくるだろう、と予想してのひとり歩き。
鑑定さんによれば、相手は五人。後方から近付いてきている。やりやすい場所を選んでいるのだろう。
ひと気が少なくなる場所へとそれとなく向かう。そして、路地裏に。誰もいない。
「おっさん!」と声をかけてきた。
振り返るオレ。確かに五人いる。男性ばかり。冒険者だとしても下位冒険者だろう。装備がショボい。
オレは、とりあえず結界を張る。半径を狭めたタイプだ。
「なんだい、坊や」と煽る。
「んだとぉ」と凄んでいる。が、威圧がない。まぁ、ここでオレが威圧しても逃げていくだけなので、向かい合うだけにする。
「おっさん、金を置いていけや。ケガしたくなければ、な」
「お金が欲しいなら、働けよ」
「だから、こうして働いているだろうが」
「なるほど、強盗、ということか」
「そういうことだな」ニヤリと笑む。
「まぁ、オレもケガはしたくないからな。これで勘弁してくれ」
オレは、ヒョイッと、あるものを彼らの足元に転がした。雷爆弾・静である。
ひとりが笑って拾おうとした瞬間、雷が放たれた。感電する男たち。そうして、倒れた。ちなみに、これは対人用である。スタンガンを広範囲で撃ったような威力だ。電撃が切れる。
彼らの両手の親指を後ろ手にして結束バンドで固定する。ギザギザがないので、火魔法で溶かして使う。これは植物性プラスチックで作ったので、生分解性である。えっ、誰も気にしない? いいんです。自己満足です。
全員の結束が済んだら、通りかかった人に、衛兵を呼んでくれるように頼む。
しばらく待つと、衛兵がやってきてくれた。強盗たちもなんとか気が付く。
これこれこうです、と経緯を説明。
番所へと彼らが連行されていく。オレも被害者として、同行する。もちろん、そこでも、これこれこうです、と説明。
どうやら、彼らは、目を付けられていたらしく、即刻逮捕と相成りました。
で、捜査協力の功績として、金一封もらえるとか。でも後日になるそうだ。
オレは、宿屋と自分の名前を告げて、解放された。
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