122【ヤバい魔導具と物品二点】
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少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
といいつつ、少し長いです(汗)
「次に出しますのは、商隊用に作りましたものです」
雷爆弾・静、スタンガン。両方ともちょっと見た目を良くした程度の改良。
「ゴブリンやウルフに囲まれたことはおありですか?」
「はい。護衛の冒険者たちも、群れは手こずる、と言っておりました」
「そのとおりです。外を護衛が守り、内側にいる非武装の人間は手も足も出ない」
うなずくギルマス。
「でもこちらのスタンガンを内側の人間が持っていれば、当てるだけで少なくとも弱体化できます。そして、こちらは」と雷爆弾・静を持つ。「起動すると半径五歩ほどの範囲内に雷を発生させて、スタンガン同様に魔獣を弱体化できます。十呼吸続き、その後、雷を停止します。発生しているあいだ、雷の音は漏れませんから、馬を怯えさせることもありません」
「ほぉ。考えられておりますな」
「ただし、内側に人間がいたら、大変なことになります。わかりますね?」
「はい」
「そうなった場合の保証は何もありません」
「場合を選ぶ、ということですね」
「そうです」
「ううむ……こちらの二点は、少々危険ですな。威力のほどは?」
「スタンガンの方は人間に使ってもしばらく痺れる程度。ですが、心臓の弱い方に使った場合、死んでしまうこともありえます。雷爆弾の方はゴブリンであれば、全部、死にました。ウルフは死ぬのは半分より上。生きていても動けない状態になりますので、剣やナイフでトドメを刺せます」
「なるほど……活用すれば、とてもいい道具です。しかし、危険でもあります」
「はい。剣やナイフと同じで、使う人間次第です。これが戦争に使われたら、と考えてしまいます」
「はい。そして、今は不安定な時期でもあります。登録は控えた方がよろしいかと」
「わかりました」としまう。「では、そちらの三点の登録をお願いします」
「かしこまりました。では、彼女がサブ様をサポートいたします」
「わかりました。お時間をいただきありがとうございます」
オレは、握手の手を出した。それを受け、手を握ってくれるギルマス。
それで執務室を出た。
馬車留めで、ウーちゃんの血を一滴もらい、従魔として登録。それからオレのギルドカードと関連付ける。これで登録は完了。
次に商談コーナーへと行き、受付嬢と魔導具に関する書類を作成。結構、大変。三点なんて欲張らなきゃよかった。
「では、この魔導具を登録しますが、どうされますか? 製造・販売はご自身で行なうか、それとも委託して、利益を得るか。あるいは、もっと細かい形をお望みでしょうか?」
「製造・販売してもらえるならば、ありがたいです」
「では、こちらで委託して製造・販売を行ない、得られた利益をサブ様の口座へと入金する、ということでよろしいですか?」
「はい」
それで細かいことを決め、契約に署名する。あとはお任せだ。
やり残したことはないか、と書字板を確認していると、受付嬢が食いついた。それも登録しましょう、と。
ならば、とオレは別のタイプの書字板も登録することにした。こちらは、某本好きで有名なタイプ。そちらはロウを使っていたが、ロウを詰め替える必要がある。また、ロウソクは日用品であるため、余計にお金がかかる。そこで使ったのが、油粘土。これなら平らに均せば、すぐ使えるよ。ところが、この油粘土も異世界初だった。もちろん登録。
ようやく手続きが終わって、外に出た。
ウーちゃんがヒマそうにあちこち見ていた。
「ウーちゃん」と声をかける。
ウーちゃんがこちらに首を巡らせる。
『お疲れ。どうじゃった?』
「まずまずだね。戻ろうか」
『うむ』
ウーちゃんの首には、プレートがぶら下がっている。この鎖、大きくなっても小さくなっても、その身体に合わせて伸び縮みする魔導具らしい。人化したら、ネックチョーカーになるのかな? 一時期、流行ったな、ネックチョーカー。
番人に番号札を返して、宿屋へと向かう。
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