121【ウーちゃん紹介と魔導具三点】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
「で、登録の方なのですが」
「はい」
「実は、旅先で、とある魔獣に懐かれまして」
「ほぉ、それで登録を、というわけですな」にこやかだ。「して、とある魔獣とは?」
「ケルピーと言って、わかりますか?」
「ケ、ケルピーですと!?」彼も受付嬢も驚いている。
「驚くのも当然です。私も驚きましたから」
「ど、どちらに?」
「馬車留めに繋がれています」
ふたりが窓辺に駆け寄り、外を見る。位置的にそこから見えるのだろう。
「白い馬です」と言っておく。
「ふつうの馬に見えますが?」
「なんか陸上だと、ふつうの馬になるようで、そうなると外見上の違いはわかりませんね」
エッヘ・ウーシュカと説明するよりはいいと思ってのウソなのだが。
「初めて見ました」と呆然と口にするギルマス。
「あの」と受付嬢。「従魔契約はされたのでしょうか?」
「はい。名前を付けたら、自動的に」
「もしかして」とギルマス。「“ウーちゃん”ですか?」
「おや、どうして、お知りに?」
ギルマスが、しまった、という顔をした。オレはほくそ笑む。
「申し訳ございません。わたくし、鑑定スキルを持っておりまして」
「あっ、なるほど。では、商品なんかの鑑定も?」
「はい、やっております」とうなだれている。
「結構ですよ。見られても恥ずかしくはありますが、人様に顔向けできないことはしておりませんので。それに商売をしていれば、それなりに勘繰られます。ですから私は気にしませんよ。むしろ、私のことを知ってもらえた、と思えば」
「おお、素晴らしい。ありがとうございます」と頭を下げる。それから顔を上げ、「では、従魔登録はのちほど、彼女が行なわせていただきます」
「わかりました」
「魔導具の登録とのことでしたが、場合によっては、すでに登録されている場合もございます。その点はご容赦ください」
「はい。で、ちょっと数があるのですが」
「お見せいただけますでしょうか」
「まずは、冒険者向けを」
魔導ライター(日本での正式名称は、点火棒®。チャッカマン®の方がわかる?)、魔導コンロ(火が出るタイプ。IHはわかりにくそうだし)、魔導飲用水ポット(まんま。本当は温水も出せたが、そのまま火にかけられる方がいい、とランドルフに却下された。熱伝導率がいいので、銅貨で作成)の三点。
それぞれを使って見せた。
「素晴らしいですね」
「ありがとうございます。まぁ、上位冒険者に限定されるでしょうがね」
「これらは、サブ様がお作りに?」
「はい。腕のいい魔導具師と出会いまして。教えてもらったのです。護衛の冒険者と旅をしていますと、こういうもののアイディアが思い浮かぶので、ありがたいです」
「なるほど」
※点火棒®、チャッカマン®
ライターの一種。ウィキペディア参照。
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