118【ウーちゃんあれこれとスクロール】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
女将さんに、ひとり追加は可能か尋ねた。女性だと聞くと、女子部屋が三人部屋だから、一緒の方がいい、と言う。ということで、ひとり追加分の支払いをすませた。
それから、女将さんの古着を売ってもらえないか、相談。ダメもとである。
「いやぁ、みすぼらしい格好なんで、街なかを歩かせるのにちょっと。新しい服を買うにしてもちょっと」
女将さん、見せてごらん、と。
仕方ないので、風呂場に案内。
脱衣所へとウーちゃんに出てきてもらう。もちろん、裸である。隠しもしない。
「こりゃ、べっぴんさんだね」
「そうであろう、そうであろう」と胸を張るウーちゃん。
「わかった。売るよ。悪かったね、戻っていいよ」
こうして、女将さんに古着を売ってもらえた。着方は女子ふたりに任せた。
ランドルフが帰ってきたのは、夕食を食べようとしていたときだった。
ドアをノックし、許可を得て、入ろうとしたランドルフは固まった。
「誰?」だが、すぐに気付いて、弛緩した。「もしかして、ウーちゃん?」
「うむ、儂がウーちゃんじゃ」
「ああ、はじめまして?」
「初めてではないな、ランドルフ」
「やっぱり、エッヘ・ウーシュカのウーちゃんか。本当に名前は、ウーちゃんでいいのか?」
「気に入っておるぞ」
「そうか。オレの飯は?」とマナミを見る。
マナミは、笑顔で、アイテムボックスから彼の分を用意した。
みんなで、いただきます、して食べる。
食後のお茶休憩。
「暗殺者の情報はなかった」とランドルフの報告。「だいたいはあのホモギルマスの言ったとおりだ。貴族や大店が搾取されて、地位を落としたりで、力を失いつつあるとか。冒険者ギルドと商業ギルドが混乱を抑えているそうだ」
「まぁ、そうそう混乱が収まるとも思えないよね」とダルトン。「どうする、サブ?」
「暗殺者の動向が掴めないのは、歯痒いな」
ふたりがうなずく。
「ダルトン、頼めるか?」
「それしかないよね。はぁ、またソロ活動かぁ。マナミィ、旅のあいだの料理、作ってもらえるかなぁ?」
「どのくらい、用意すれば?」
「最低でも七日。できれば、もっと」
「わかりました。美味しいのを用意しますね。でもマジックバッグですよね? 冷えちゃいますよ? 腐っちゃうだろうし」
「ウッ! そこをなんとか」
「ダルトンのは」とオレが追い打ち。「重量軽減だけだからな。腐るなぁ」
「クソッ! アイテムボックス、貸せ!」
「さすがにスキルだから無理」
ガックリ落ち込むダルトン。
「そんなダルトン君に朗報です。ほい」
アイテムボックスから、ひとつのスクロールを取り出して渡す。
「な、なんのスクロール?」
「大丈夫大丈夫。悪魔のスクロールだから。ほれほれ、開けなさい開けなさい」とニヒヒッと悪魔の笑みで急かす。
「こ、怖いよ、なんだよ」
「意気地がないなぁ。朗報だ、って言ったでしょ。男の子だったら開きなさい」
「わかったよ! このっ!」とスクロールを開いた。
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