117【お風呂と料理と入浴】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
女将さんと相談して、厩舎前を借りる。ほかの宿泊客はいるが、厩舎を借りる人はいない。それで交渉成立。もちろん、お金は支払いました。
厩舎前に風呂場を展開。ウーちゃんがよろこぶ。宥めながら、準備する。
お風呂は、あれから進化している。シャワーがつき、水とお湯が出る蛇口もある。出てくるのは魔導具が作った水とお湯。ちゃんと純水ではなく、いろいろな成分が溶け込むようになっている。苦労した。
マナミが、厨房で調理する。女将さんはマナミから教わっている。腕には自信があるとはいえ、彼女の知らない調理法は興味の対象だ。しかも知らない食材もある。その多くは、森から得られたもの。もちろん、女将さんは味見をしたよ。こんな食感、初めて、とか。そうだろうな。
夕方。入浴の順番を決める。これは女子に優先権があり、誰も文句は言わない。怒らせたら怖いから。で、今日は最後に入る、というので、ありがたくオレたち男性陣は食事の前に入ることに。男子ふたりが一番手、ランドルフがまだ帰っていないので、二番手はオレとダルトンに決まった。
ウーちゃんが『儂に入らせるのじゃぁ』と叫んでいたが、最後にゆっくり入れ、と宥めた。
オレたちは入浴して、ランドルフを後回しにして、女子ふたりが入る。しばらくして、お風呂から悲鳴のような絶叫が。
そばで、イスに座って、冷えたエールを飲んで、不寝番をしていたオレたちは、慌てて、声をかける。覗くわけにもいかないから。
「どうした?」
「し、知らない女の人が入ってきて」
「ずっと一緒だったわ!」と聞き慣れた声。
頭を抱えたのは、オレだ。
「ウーちゃんは、最後だって、言ったよね」
「我慢ができないのじゃ! 入る入る!」
「ふたりとも、それ、ウーちゃん。人化できるんだ」
「えっ!? ウーちゃん!?」「そういえば、真っ白に赤い目」
その後、女子ふたりが盛り上がったのは言うまでもない。
「ウーちゃん、見たい」と覗こうとするダルトン。
「飯抜き覚悟か。偉い!」
ダルトンが固まる。音がするように下がってきた。やはり、飯抜きは辛いらしい。
「我慢する」
「その方がいいな」
オレたちは、ふたたびエールを傾ける。
「バレちゃったね」
「あの性格だから、そのうちバレるとは思っていたよ。早かったなぁ」
「ウーちゃん、どっちで寝るの?」
「どっち? あぁ、厩舎か部屋か、ね。聞いてみる」『ウーちゃん?』
『なんじゃ、わざわざ念話で』
『このあと、馬に戻るの。それとも人化したまま?』
『できれば、人化したまま、がいいかのぉ』
「人化したまま、だって」
「なら、女将に言っておかないと、マズいな」
「だな」『ウーちゃん、部屋がなかったら、馬でお願い』
『ムッ、仕方ない。我慢する』
『ありがとう』「女将さんにお願いしてくる。覗くなよ」
「飯抜きは、嫌だ」
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