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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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115/648

115【状況と説明】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(1話目)

「王都ではまだ混乱が続いている。原因は王城の権力の失墜。王族は排斥され、宰相が実質的な権力を手にした形だ。貴族や大店(おおだな)から金を出させ、国を安定させようとしている。バグラール国については、国内の武器防具が紛失してしまったが、混乱は少ない。腐っても軍事国家だな」

「そうか」

 《探索の神獣》のみんなは、ギルマスの言葉が理解できない。

「簡単に説明するよ、バッケル。ダルトンとランドルフを除いたオレたち五人は、勇者召喚された。で、あの王様の態度が気に入らなくて、逃げ出した。その際に王城の金銀財宝や武器防具を奪った。その後、バグラール国からも奪った。オレたちは、逃げるための身分証明書が欲しくて、オレは商業ギルドに、彼らは冒険者ギルドに登録した。で、ランドルフやダルトンに出会った。逃亡するうちに、暗殺者が送られた、と聞いて、それで湖だ」

 彼らを見ると、ポカンッとしている。ちょっと簡単過ぎた?

「ギルマス、なぜ、ここに? ギルドでもよかったんだが」

「《探索の神獣》が生還したのが知られたら、大騒ぎだからな。そうなる前に話を聞きたかったんだ。今の話だと、おまえら特訓したんだろ。顔つきも違ってる。いっぱしの冒険者になったようだな」

 ニッと笑う高校生四人。

「おまえさんは……前とあんまり変わらんな」とオレを見て言う。

「酷い!」

「ギルマス、サブを怒らせない方がいいぞ」と言ってくれたのは、ランドルフ。「また、倒されて、ホモ野郎扱いになるぞ」

 一瞬ビビるギルマス。確かに、ランドルフの言うとおりの過去がある。

「あ、あんな雷魔法、わかっていれば、屁でもねぇぜ」腰が引けてるギルマス。強がりか。

「サブは、あれからもっとヤバい魔導具を作ってたからな。それと表の白馬、あれは上位魔獣が姿を変えていて、しかもサブがテイムした。それがどういうことか、わかるな?」

「お、脅すにも、ほ、ほどがあるだろうが」

「どちらも本当の話だからな。考えてもみろ、あの森をオレたちだけで抜けられる、と思うか? あの魔獣の蔓延(はびこ)る森を」

 全員がギルマスを見ている。それに気付いて、全員の真剣な顔を見回すギルマス。

「本当、なのか」

 全員がうなずく。

「わ、悪かった、サブ」

「いいさ。ホモはどこまで行っても、ホモだからな」

「ホモじゃない!」

「言動がホモだ、と言ってるんだよ。ビビりやがって」

「ギルマス」とバッケル。「オレたちが助かったのは、彼らのおかげだ。もし彼らを(おとし)める言動をすれば、オレたちは――」

 それを制するギルマス。

「それ以上、言うな。わかったから。たくもう、そっちの方が怖いわ。それで最初に聞き捨てならん言葉を聞いたな。大逃走と湖だ」

「大逃走については何もわかっていない。逃げるのに必死だったからな。幻のグレイハート湖は実在していた。あんな奥では誰にもたどり着けない。ある意味、オレたちは幸運だった。そして、彼らに出会わなかったら、その場で死んでいただろう」

「ん? どういうことだ?」

「湖には、ヌシが棲んでいた。エッヘ・ウーシュカが、な」

「エッヘ・ウーシュカ!? 伝説の?」

「ああ。助かったのは、サブのおかげだ」

 サブが?とオレを見るギルマス。

「オレたちは」とオレが説明する。「湖にキャンプを張った。朝昼晩と魔獣が襲ってきていた。その中のゴブリンどもの遺骸は得るものもなかったから、湖に流したんだ。その遺骸をエッヘ・ウーシュカが食べた。以来、朝飯に遺骸を流して、エッヘ・ウーシュカに与え続けた」

「信じられん」

「別にいいさ。事実だからな」

 全員が、そうだそうだ、とうなずく。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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