114【ホモギルマスと謝罪】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
「おまえたち、どういうことだ?」とバッケル。
「話は、ギルマスの前でする。だから、聞きたいだろうが、今は我慢して欲しい」
バッケルは渋々うなずいた。ほかの面々も、何も言わない。よほどのことなのだろう、とわかったのだ。
門衛たちが、《探索の神獣》の帰還に騒ぎはしないが、帰りをよろこぶ。みな、この村の出身なのだろう。
ギルドカードを提示して、門の内側に入った。門衛近くの小屋で、ゲイルを待つ。黙って待つ。
ようやく、ゲイルが戻ってきたのは、オレたちが燻製魚とオレ特製のスポーツドリンクで、昼食しているところだった。
手早く昼食を終え、冒険者ギルドに向かう。
つもりだったのだが、ゲイルには別のところへと案内された。以前にお世話になった宿屋《山羊跳ね亭》だった。
すでに話も通っていたらしく、女将さんが食堂に通してくれた。
「ギルマスから、こちらで待つように、と」とゲイル。「ギルマスからもお話があるそうです」
「わかった。すまないな、ゲイル」
「いいえ。あっ、それから例のご依頼はすべて完了しています」
「ありがとう。みんなは元気にしているか?」
「はい。本当は依頼で村を出るところだったのですが、出発を伸ばしました。期限に余裕があるので、ご心配なく」
「そうだったか。助かる」
そこへギルマスが来た。交代で、ゲイルが出ていく。
「遅くなったな」
「いえ、今来たばかりです」
「うむ。《探索の神獣》、みな無事だったか。よかった」
「はい」とバッケル。「魔獣の大逃走に巻き込まれ、命からがら逃げるうちに、湖にたどり着き、彼らと出会いました。それでしばらく準備を整え、やっと戻ってこれました」
「大逃走に湖?」
「その報告はのちほど。サブ、そちらの話を優先してくれるか?」
オレはうなずいた。
「ギルマス、まず聞きたい。彼ら《探索の神獣》は、信頼できるか? 国王のまわし者ではないか?」
バッケルたちは、反論を我慢していた。
「彼らは、この村の出身だ。それに森の探索が主な仕事だ。信頼できる。それに王城の件は、彼らが森に入ったひと月後のことだ。関係はない」と断言。
「ありがとう。ギルマスの言質が欲しかったんだ。バッケル、疑っていたわけではない、と言いたいが、暗殺者が差し向けられていたんで、半信半疑だった。すまない」と頭を垂れる。オレたちのパーティー全員が頭を垂れた。
「謝罪を受け入れる。暗殺者と言ったか?」
「ああ。一種の犯罪行為をした結果だ。どうやらオレたちを捕えるのが目的らしい」
「それであそこでの逃亡生活だったのか」
「それもあるが、オレたちには対抗できる力がなかった。だから鍛えていたんだ。初めて会ったとき、ふた月前に飛ばされてきた、と言ったが、本当はひと月前にあそこに到着したんだ」
「そういうことか。いや、待て。あそこまでどうやって踏破したんだ? オレたちでさえ、長年やっているが、踏破したこともないんだぞ」
「キヨミの魔法で浮遊しながら、だな」
「いったいどれだけの魔力を?」
「彼女は、大魔法使いなんだ」
「はい? 大魔法使いは伝説の存在だぞ」
「らしいな。だが、実在している、ここに。まぁ、その話はあとでな。ギルマス、あれから状況は?」
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