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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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113/648

113【街道と知り合いと返品】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(2話目)

「出たな」とバッケル。

 その言葉通り、出た。街道に。

「太陽の方向からあっちがイジジ村だろう」

 全員がその場で、ゴムタイヤが空気を減らすように安堵の息を漏らした。

「全員、気を引き締めろ!」とダルトンが叫んだ。「街道は、安全地帯ではないぞ!」

 そのひと言で、みなが緊張を固くした。

 ある意味、この集団のリーダーは、三人だ。オレ、ダルトン、バッケル。この三人の情報をもとに、ここまでやってきたのだ。

 イジジ村へと進む。

 イジジ村とは、オレたちが旅立った村だ。町といっても不思議ではない大きさの村。

 本当は、ここで馬車を出すところだが、《探索の神獣》の目の前で、王都作の馬車を出すわけにはいかない。怪しい、が確定になる。それは避けねば。

 街道を進み、そのうちに、別の商隊と会った。

「おお、《探索の神獣》のみなさんではないですか!」

 どうやら知り合いらしい。

「ずっと消息不明で心配していたのですよ!」

「コーベルさん、ご心配おかけして申し訳ない」とバッケル。「実は」これこれこうで、と説明するバッケル。

「ご無事でよかったです。依頼しようと思ったら、前の依頼からお戻りになっていないと聞かされて」ととても心配していたそうだ。

「あはは、ちょっと迷子になりましたが、このとおり、無事です。ご心配おかけしてすみません」

 その後、軽く会話して、別れた。


 イジジ村の門近くに来た。

「申し訳ない」とバッケルが止まった。「少し待って欲しい」

 オレとダルトンは意味がわからないなりに、うなずく。

 彼のまわりに集まる《探索の神獣》。

 そして、何かを集めている。

 彼らがオレたちの方に道を開ける。

 バッケルが進み出た。

 その手には、金の容器が人数分。それは、オレ自作のポーション容器。

「お返しする」とバッケル。

「いや、今後のためにも――」

「いや。これは正直、持っていると、オレたちが危険だ。まるでエリクサーの如くの高い効能。これが知られれば、死人が出かねない。これまでは危険があったが、ここまで来ればもう使う必要もない。だから、お返しする」

 ダルトンを見ると、うなずいた。

「わかった」と受け取り、収納。

 バッケルたちは、ホッと安堵した。

「では、行こう。まずは、冒険者ギルドに寄ろう。帰還の報告をせねばならんし――」

 そのとき、門の方から、ひとりの男性が駆けてきた。格好から冒険者だとわかる。何かあったのだろうか?

「サブさん!」

 えっ、オレ? 知り合い?

「あっ、ゲイル! ゲイルじゃないか!」

 駆け寄ってきたのは、《夜明けの星》のリーダー、ゲイルだった。

「サブさん、戻ってきたんですね」それからオレの後ろを見て、また驚く。「《探索の神獣》のみなさん!? 生きていたんですか!!」

 彼らは怪訝な顔で、オレたちを見ている。“どういうこと?”という顔だ。それもそのはず。ダンジョンから飛ばされてきた、というのに、知り合いがいて、しかもそれが自分たちも知っている人間なのだから。

「ゲイル」とオレは彼の両肩を掴んで揺さぶった。「聞いてくれ」

 彼がうなずく。

「冒険者ギルドのギルマスに、オレたちが帰還したことを伝えてくれ。内密に、だ。できれば、裏口から入りたい。騒ぎになるのは困るんでな」

「わかりました。この全員ですか?」

「ああ。それから門衛にも、騒ぐな、と言っておいてくれ」

 うなずくと、彼は駆けていく。


※エリクサー

  ウィキペディア参照。

  本作では、幻の霊薬として、

  この世界での実在は確認されていない。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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