111【グレイハート湖の名前の由来と《探索の神獣》の誇り】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
「そういえば」とエイジ。「この湖、名前はあるんですか?」
「グレイハート湖と呼ばれているよ」と答えたのは、バッケル。「まぁ、“幻の湖”とも呼ばれている。なぜならここにたどり着けたのは、これまでたったひとりだったからだ」
「たったひとり、ですか」
「うん。グレイハートという冒険者だ。彼はオレたちのように、森を彷徨って、この湖を発見した。残念ながら彼は帰還を果たせなかった」
「えっ? ならどうやって、ここのことを?」
「彼はテイマーで、鳥型魔獣をテイムしていた。その魔獣を伝言鳥にして、家族に手紙を送り続けた。助けは期待していなかったそうだ。というか、危険だから探そうとするな、と書いていた。冒険者ギルドでもどうするのか、意見が割れたそうだが、捜索隊は出さなかった。二次被害の可能性が高かったからな」
「でも、付近に人が住んでいた形跡なんて見なかったですよ?」
バッケルがほくそ笑む。
「残っていないだろうな。もう百年以上前の話だから」
「もしかして」とオレ。「バッケルたちは、この湖を探していたのか?」
「それはなくはないが、到達できるとは考えていなかった。オレたちは、町に利益をもたらすようなものを求めていたんだ。あと、危険なものも。そうしたことをギルドに報告して、対価を得ていた。そうした情報があれば、ギルドは冒険者に場所を指定もできるし、危険性も指摘できる。冒険者はそれにより、装備を整え、行動できる。また、依頼受注の可否を判断できる」
「大変な仕事だな」
「ああ。だが、それでほかの冒険者が無事でいてくれる、それがオレたちのよろこびだ」
《探索の神獣》の面々が、いい顔をしている。誇りに思っている人たちの顔だ。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




