109【訓練結果と同情と】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
「というわけだ」と締めくくるランドルフ。
いや、わからんがな。
簡単に言うと、野営しているところをアーマードベアに襲われた。撃退したあと、ウルフの群れの襲撃を受けた。血のニオイに誘われたのだろう、と言う。
「撃退はしたが、みんな、ケガをしてな。特にガルーラがかなりの深手を負った」
竜人のガルーラを見る。それほどのケガをしているようすはない。
そんなガルーラが言った。
「おまえのポーションは、エリクサーか」と呆れて。「飲んだだけで、即刻完全治癒したぞ」
「みんなのキズも少しかけたら、治癒した」とランドルフ。
念のために、と持たせたポーション。オレの自作である。鑑定さん指定の調合で作成した。材料がたくさんあったのよね。ここに来るまでに収集してたから。
「おかげで助かったよ。片腕を失うところだった」とガルーラ。「ありがとう」と頭を下げる。
「役に立って、よかったよ」
うん、本当に。片腕なくなったら、冒険者辞めることになるかも。
昼飯は、マナミも作る気力がないみたいで、オレが作った。でもこの人数分だ。たいしたものは作れない。
そこで薬草や湯がいた根菜を鍋に入れて、蒸すことに。それからオーク肉を焼いてステーキに。スープはマナミが作り置きしてくれたものを出す。そんなに減っていないから。
ダルトンは、復活(それでも音量を下げて)し、話し出した。
「みんなの力が発揮されたと思うけどさ。森を抜けるのはまだまだだね」と辛口。
「確かに」とバッケル。「連携は大丈夫だった。でも、魔獣によっては倒すのに時間がかかってしまっている。早く戻りたいという焦りがあるのだろう。だが、このままで森に挑めるとは思えん」
「そうだな」とランドルフ。「それに抜け出す際には、サブとラキエルも一緒だ。その分、移動速度が遅くなる」
オレは首を傾げる。あぁ、そうか、話してなかったな。
「悪い。話してなかった。ウーちゃんがいれば、魔獣は寄ってこないぞ」
みんなの顔がこちらをギギギッと音がするように向いた。
「ウーちゃん、来るの?」とマナミ。
「うん。ついてくるってさ」
「やったぁぁぁ!」とバンザイしてる。
よかったね、とキヨミがマナミの頭をポンポンしている。
「えっと、つまり」とダルトン。目が見開かれている。「エッヘ・ウーシュカと旅するわけ?」
「そうなるな。本人も言っていたが、ウーちゃんと一緒なら、下っ端の魔獣は寄りつかないとさ」
「そりゃ、そうだろうけど……ウーちゃん、ホント?」
ウーちゃんがダルトンを見た。
でも、そのときのウーちゃんの念話は?
『ウザいのぉ』でした。
「本当だって」と代わりに答えるオレ。
「となると」とバッケル。「だいぶ違う状況になるな」
みんながうなずく。
「だから」とオレ。「オレとラキエルが足手まといにはならないわけだ」
ラキエルが嘶く。そうだよな、足手まといと思われたくないよな。オレもおまえも。
『サブと一緒にするな、とさ』とウーちゃんの念話。クソッ! オレの同情を返せ!
ということで、数日は体力の回復と準備に取りかかることにした。
オレはポーションと魔導具を、マナミは食事を、ほかは魚や魔獣を狩り、薬草などを採取する。
ウーちゃんもラキエルとともに、走りまわっている。ラキエルのお誘い遊びは、ほぼウーちゃんの存在で、失敗ばかり。まぁ、こっちに相手をしている余裕がないのだが。
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