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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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108/648

108【みんなとウーちゃん】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し短いため、3話連続投稿します(3話目)

 昼前に、鑑定さんが反応。

「ウーちゃん、みんなが帰ってきた」

「わかった」

 彼女は、パッパと服を脱ぐ。脱ぎ散らかす。オレは、とっととアイテムボックスに片付ける。

「さっぱりするのぉ」と伸びをする。

 それから前屈すると、光って、次の瞬間、白馬になっていた。ちょっと大きいけど。ラキエルのひとまわりほど。まぁ、いいか。

「あらぁ、惚れるほど、きれいじゃない、ウーちゃん」

『そうであろう、そうであろう』

 あれ? ウーちゃんの声が頭の中で聞こえる。はい?

『何を呆ける? 契約を交わしたではないか』

「契約!? いつ!?」

 知らないよ!?

『儂の名前を付けたであろうが』

「えっ、あれで契約交わしたことになるの?」

『うむ』

「エエエッ! それって、ありなの?」

『ありじゃ。ほれ、お仲間が到着したぞ』

 そっちに顔を向けると、森の中からみんながぞろぞろと出てきた。ホッと安堵しているようす。お疲れ気味。

 こっちを見るみんな。

 女子ふたりの第一声。

「「お馬さんが増えてる!」」

 で、こっちに駆け出す。

 速い速い!

 もう着いた。

「どうしたの、この子?」「どこから来たの?」

 みんなが集まるのを待つ。何度も同じことを話したくないしね。

「サブ」とダルトン。「その馬は?」

 だいたい集まったな。誰一人、欠けていない。よしよし。

「ウーちゃんです。名前を決めたのはオレだけど、本人が気に入っているので、責めないでね。名付けのセンスがないのは自覚してるから」

「名前は、ともかく、どこから?」

「湖から出てきた」

「はぁっ?」

「だから、湖から出てきた」

「「あれ?」」と察したのは、女子ふたり。

 彼女たちに、親指立てて、ニコッと笑む。

「「ウッソー!!」」

 まわりのみんなは、何がなんだかわからないでいる。

「その子、ものすごい魔力ですね」とサーリ。少し震えている。「まるで上位魔獣のようです」

 その言葉で、男連中が剣を抜き構えた。

「やっぱり女性は、察しがいいね。でも、そんなに構えなくても大丈夫だよ。この湖のヌシ、エッヘ・ウーシュカだから」

 全員が引く。顔色真っ青。剣先も震えている。

「だから大丈夫だって。オレがテイムしたから」

「はぁぁっ!?」ダルトン、うるさい。「テイムしただとぉ!?」

「ダルトン、うるさいとウーちゃんが噛みつくよ」

「なっ!」

 あっ、大人しくなった。

「サブ」とランドルフ。「本当に契約したのか?」

「ああ」

「どうやって、倒したんだ?」

「倒す?」首を傾げるオレ。

「あれ?」とハルキ。「サブさん、テイマー物は見ない人ですか?」

「モフモフは正義だよな」とサムズアップ。

「おっと、そっちか。ふつう、テイマーは魔獣を屈服させて、契約するんですよ」

「屈服? オレの方が屈服してるんだけど」

「えっ、逆?」

「名前付けろ、って言うから付けたら、契約したことになったんだ」

「言うから、ってウーちゃん、喋るんですか?」

 おっと、まずい。

「念話してきた。名前付けたら、話の流れで馬化した」

「いやいや、全然わからないんですけど」

「なぁ、オレもわからんよ。まぁ、こっちの報告は、そんなところ。そっちは?」

 みんなは、ウーちゃんが気にはなるけれども、いつもの感じで(くつろ)ぎはじめた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)

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