108【みんなとウーちゃん】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
昼前に、鑑定さんが反応。
「ウーちゃん、みんなが帰ってきた」
「わかった」
彼女は、パッパと服を脱ぐ。脱ぎ散らかす。オレは、とっととアイテムボックスに片付ける。
「さっぱりするのぉ」と伸びをする。
それから前屈すると、光って、次の瞬間、白馬になっていた。ちょっと大きいけど。ラキエルのひとまわりほど。まぁ、いいか。
「あらぁ、惚れるほど、きれいじゃない、ウーちゃん」
『そうであろう、そうであろう』
あれ? ウーちゃんの声が頭の中で聞こえる。はい?
『何を呆ける? 契約を交わしたではないか』
「契約!? いつ!?」
知らないよ!?
『儂の名前を付けたであろうが』
「えっ、あれで契約交わしたことになるの?」
『うむ』
「エエエッ! それって、ありなの?」
『ありじゃ。ほれ、お仲間が到着したぞ』
そっちに顔を向けると、森の中からみんながぞろぞろと出てきた。ホッと安堵しているようす。お疲れ気味。
こっちを見るみんな。
女子ふたりの第一声。
「「お馬さんが増えてる!」」
で、こっちに駆け出す。
速い速い!
もう着いた。
「どうしたの、この子?」「どこから来たの?」
みんなが集まるのを待つ。何度も同じことを話したくないしね。
「サブ」とダルトン。「その馬は?」
だいたい集まったな。誰一人、欠けていない。よしよし。
「ウーちゃんです。名前を決めたのはオレだけど、本人が気に入っているので、責めないでね。名付けのセンスがないのは自覚してるから」
「名前は、ともかく、どこから?」
「湖から出てきた」
「はぁっ?」
「だから、湖から出てきた」
「「あれ?」」と察したのは、女子ふたり。
彼女たちに、親指立てて、ニコッと笑む。
「「ウッソー!!」」
まわりのみんなは、何がなんだかわからないでいる。
「その子、ものすごい魔力ですね」とサーリ。少し震えている。「まるで上位魔獣のようです」
その言葉で、男連中が剣を抜き構えた。
「やっぱり女性は、察しがいいね。でも、そんなに構えなくても大丈夫だよ。この湖のヌシ、エッヘ・ウーシュカだから」
全員が引く。顔色真っ青。剣先も震えている。
「だから大丈夫だって。オレがテイムしたから」
「はぁぁっ!?」ダルトン、うるさい。「テイムしただとぉ!?」
「ダルトン、うるさいとウーちゃんが噛みつくよ」
「なっ!」
あっ、大人しくなった。
「サブ」とランドルフ。「本当に契約したのか?」
「ああ」
「どうやって、倒したんだ?」
「倒す?」首を傾げるオレ。
「あれ?」とハルキ。「サブさん、テイマー物は見ない人ですか?」
「モフモフは正義だよな」とサムズアップ。
「おっと、そっちか。ふつう、テイマーは魔獣を屈服させて、契約するんですよ」
「屈服? オレの方が屈服してるんだけど」
「えっ、逆?」
「名前付けろ、って言うから付けたら、契約したことになったんだ」
「言うから、ってウーちゃん、喋るんですか?」
おっと、まずい。
「念話してきた。名前付けたら、話の流れで馬化した」
「いやいや、全然わからないんですけど」
「なぁ、オレもわからんよ。まぁ、こっちの報告は、そんなところ。そっちは?」
みんなは、ウーちゃんが気にはなるけれども、いつもの感じで寛ぎはじめた。
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