104【剣を作ったら】
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少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
それから二週間ほどで、《探索の神獣》も回復した。いい食事と安心して眠れる環境のおかげだろう。オレたちの特殊性は、そういうものだと思われるようになった。悩むのもバカバカしい、という感じだろう。
彼らには、兵士の剣を潰して、新たな剣を拵えた。ミスリルを少々加えて。日本刀のような鍛造ではなく、鋳造だ。
ハルキとランドルフに打ち合ってもらった。両方とも同じ剣で。
「どうだ?」
「ふつうの剣よりもいい。うん、悪くない」
ダルトンも手にして、見る。
「同じ剣での打ち合いで、刃こぼれしていない。いいねぇ。今度は鍛冶師かい、サブ?」
「ガラス作りの延長だ。本職の人に敵うわけがない」
「だけどさ、気付いていないみたいだけどさ、これ、魔法剣だよ?」
「ん? 魔法剣?」
鑑定さん、よろしく。ウオッ!
ダルトンが使って見せる。魔力を込めると、刃先から水が滴り落ちる。さらに大きめの石に振り落とすと、ウォーターカッターとなり、石を両断した。
「本職の人でも大変なんだよ。本職の人に謝りなさい、サブ」
「ごめん」
「さて、《探索の神獣》のみなみな様。使う?」
宣伝しておきながら、選択肢はあるようでないよね、それ。
当然ながら、全員が受け取った……と思ったら、エルフふたりは、弓矢とナイフを所望した。
「ナイフなら、あるよ」とナイフを出す。
「なんであんのさ?」とダルトン。
「全員分作った。さすがに弓は、ダメだ。お遊びにしかならない」
ふたりは、ありがとう、と礼を言ってくれる。弓と矢は、そのナイフを使って、自分たちで作るらしい。
その後、全員の連携が噛み合うようになった。オレは別。仕方ないよね。戦力外だって言われてるんだし。でもオレはオレで頑張ってるよ。魔導具で。
彼らは、何度か遠征し、持久力を高め、森の中での野営訓練をする。
オレは、ラキエルと一緒にお留守番。
ラキエルもそれがわかっているのか、魔獣のお誘い遊びはしない。つまらなそう。
留守番でも、魔導具開発します。実は以前から作りたかったものがあるのだ。というか、もうできてはいる。あとは実験と微調整するだけ。
魔導具を起動。ゲージを上げる。ゆっくりと上昇。浮遊魔法の魔導具を改造して、高さ調整可能にした。
で、ちょっと高いかなぁ、というくらいに上がったら、次の準備をして、スイッチオフ。落下。
別の魔導具を起動。落下が緩やかになる。そして、着地。
実験成功。
これは、エアークッション。そのままである。安全装置だ。風魔法で衝撃を吸収する。上空で魔石の魔力切れたら、落ちるしかないからね。安全装置は必要だよ。
何度か、上がったり下がったりしてると、ラキエルが“何してるん?”という目で見ているのに気付いた。
「いずれ、ここを出ていかなきゃいけないからな。その準備さ」
ラキエルは、鼻息漏らして、草を食むだけだった。はいはい、って感じか。
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