103【集落の最後】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
拠点に戻り、報告。
やはり、隷属魔法を使う魔獣は誰も知らない。
鑑定さんは、数種いると教えてくれたが、特定できない。
しばらくようすを見ることにする。その役目は、今日の三人。
数日後。ようすを見に行くと、オークたちは死んでいた、痩せこけて。
「どうやら食事も摂らせずに働かせていたみたいだね。オーガは?」
「オークもオーガも生きている。でも先日の位置から動いていないな」
ふむ、と考えているダルトン。それから口にする。
「オイラ、見てくる」
「無理しなくてもいいぞ?」
「そうもいかないでしょ。とりあえず、入り口から覗くだけさ」
「わかった」
しばらくすると、洞窟入り口にダルトンが姿を現した。ローブとマスクを脱いで。手招きしている。隷属魔法は掛かっていない。
サーリとともに、入り口へ。
「大丈夫。中を見て」
入っていくと、洞窟の壁際にオークたちがいた。生きている。でも動かない。それもそのはず。彼らは繭に包まれていた。
鑑定さんが反応。
「“ドミネイト・ビー”のサナギの繭だそうだ」
「“ドミネイト・ビー”? 初めて聞く」「私もです」
「ハチ系の魔獣。オークなんかに卵を産んで、生きたエサにする。で、まわりのオークなんかを支配して、卵の孵化を守らせる」
奥には、オーガが同じように、繭に包まれていた。
「だいぶ成長しているな。オーガが生きているのが不思議なくらいだ」
「どうする?」
「これはさすがにほっとけないだろ」
ふたりもうなずく。
「よし。親は場所を整えたら、戻らないようだ。ここを熱爆弾で塞ぐ」
「熱爆弾?」
新たな魔導具を取り出す。
「コイツは、魔導コンロの原理を応用した魔導具だ。高出力だから使い捨てなんだ」
入り口近くに移動。
魔導具のスイッチオン。
すぐに退避する。
見ていると、入り口のまわりが真っ赤になっていく。溶けた岩石が滴り落ちていく。
「少なくともこれで成虫になっても出てこれない」
「すごいですね」
「さて、オークの片付けをしようか」
アイテムボックスの出し入れで、オークの死骸を集める。
ダルトンが火魔法で焼く。サーリが風魔法でその火を煽る。
オークの素材は、たぶん取れるかもだが、ちょっとその気にならない。そのままにするのも後々まずそうである。だから焼く。
※ドミネイト・ビー
独自魔獣。支配する蜂、という意味。
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