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異世界テイマー生活!あ、僕が使われる側なのね  作者: しぇいく
第五章

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絶対存在、現る

 天使。


 ただ一体で現れただけなのに、戦場全体が圧倒されたかのように沈黙した。


 


 「……ッ」


 


 アルカディアの兵士たちは誰ひとりとして声を上げられない。

 誰かが喉を鳴らした音さえ、爆音のように響くほどの静寂。


 


 恐怖だった。


 その姿が美しいからこそ、抗えないほどの絶望を孕んでいた。


 


 「……っ……」


 


 ムギニが無意識に一歩退き、手のひらに汗がにじむ。

 イルゼさえ、いつもの冷静な表情を保てず、眉を寄せていた。


 

 二人の“七柱”でさえ――まるで蛇に睨まれた蛙のように、動けなかった。


  


 「嗚呼……なんて美しいのでしょう、あなた方の“絶望”は」


 


 空より降り立つ彼女は、まるで舞うように着地した。

 その微笑みは慈悲深くさえ見える――だが、それは仮初のもの。


 


 「魔神様は、私に仰いました。“正しき混沌は、誤った秩序より優れている”と」


 


 彼女の手に光の弓が生まれ、翼がゆっくりと広がっていく。


 


 「ですから……私がここに在るのですよ。あなたたちを、間違いごと“矯正”するために」


 


 ひとつ息を吸って、静かに言い放つ。


 


 「どうか安心なさって――苦しまないように処理いたしますから」


  イルゼは、わずかに口を開いたが……言葉にならなかった。

 喉が乾き、声が出ない。ただ、背筋を走る冷たい感覚が、肌に焼きついて離れない。




 頭ではわかっているのに、身体が硬直して言うことをきかない。

 あの存在を前にすれば、勇気も覚悟も――ただの幻想だった。


 


 “戦う”という概念すら、追いつかない。



 天使が静かに弓を引く。


 光の矢が形を成し、周囲の空気が震え出す。


 狙いは、イルゼ。微動だにできぬまま、彼女はただ立ち尽くしていた。


 「っ……」


 矢が放たれた。


 光の線が空を裂き、イルゼの胸元へ――


 


 カンッ!




 

 しかし、矢は、黒く巨大な剣に弾かれていた。




 人の背丈を超えるほどの長大な刃。

 鈍く黒金に輝く剣は――まさに“威”そのもの。


 

 「……この王の許可なく、臣下に手を出すか」



 漆黒のマントをひるがえし、魔王マンタティクスが降り立つ。

 片手で王剣を担ぎ、余裕の笑みを浮かべていた。


 


 「――勘違いするなよ、天の残骸。貴様に裁く資格など、ない」


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