これがテイマーである!
「ん……」
急に魔力操作が崩れたことによりハルカは気を失っていたが、目を開けるとネバーにお姫様抱っこされていることに気づいた。
彼の顔が近く、心臓が早鐘のように打ち始める。
頬が紅潮し、思わず顔をそむけた。
「ど、どうして……来たの?」
ハルカは声を震わせながら問いかけた。
ネバーは静かに答える。
「犬だ……黒い犬が俺を導いてくれた」
「黒い犬……?……あ!」
ハルカは初めて会った時、エスのそばにいた相棒の黒狼を思い出した。
「あの時の……」
その時、ハルカの耳元の通信機から魔王マンタティクスの声が聞こえてくる。
{ハルカ、大丈夫か?}
「う、うん、大丈夫」
{なら良い、その通信機をネバーさんにすぐ渡せ!}
「は、はい!」
ハルカは自分の通信機をネバーに渡した。
ネバーはそれを受け取り、耳につける。
{ネバーさん}
「マスター、すまなかったな」
そう言って着地し、ネバーは優しくハルカを降ろした。
「遅くなった」
{いえ、ベストタイミングです!}
その瞬間、遠くの3つの山が一つに融合し、巨大なクレーターが現れる、それは夜よりも暗く、深淵の世界そのものを作り上げた様な穴だった。
{そこへ災害を!}
「了解した!マスター!」
ネバーはその瞬間、天を突くような勢いで駆け出した。
いや、実際は天を駆けている。
裸で。
デスフェニックスはその恐るべき力に気づき、反射的に反撃の準備を始めたが、ネバーの速度に追いつくことはできなかった。
「クェエエエエ__ガッ!?」
ネバーは瞬く間にデスフェニックスの懐に入り込み、首根っこをそのままの勢いで掴み、その巨大な体を圧倒的な力で持ち、穴へと投げ飛ばした!
「____っ!!!!」
デスフェニックスは空中で無防備な姿をさらし、そのまま巨大なクレーターへと引き寄せられていく。
「命令、遂行した」
{後は任せてください}
魔王は異能『作成』を発動し、周囲の岩や石、土や木が液体になったかのように穴へ雪崩れ込み、一気にその巨体を押し潰すように生き埋めにしていった。
「終わりだ、災害!」
最後はやがて周囲のどの山よりも大きな新たな山が形成されていた。
アルカディアの全員が一瞬の出来事に驚愕し、次第に喜びの歓声が街中に響き渡る。
「俺たちは勝ったんだ……!」
皆が互いに称え合い、幸せを噛み締める。
こうして、アルカディアは再びその平穏を取り戻したのだった。




