裸の付き合い
「すみませんが、お風呂を使わせてもらえませんか?」
ムギニはにっこりと笑顔を浮かべる。まるで、この前の人とは別人みたいだ。
「もちろんです、どうぞこちらへ」
ムギニに案内されてハルカは豪華なバスルームにたどり着いた。
浴槽は広く、贅沢な装飾が施されていた。
「すごい……」
ハルカはその豪華さに驚き、服を脱ぎ、裸になった。
鏡にはスタイルの良さが際立ち、程よく引き締まった体が美しい曲線を描いているハルカが写っている。
「贅沢……」
温かいお湯が体を包み込み、心地よさが広がる。
ハルカはシャワーの水流に身を委ね、本当に久しぶりの贅沢なひとときを堪能していた。
「ふぅ……」
その時、背後から物音が聞こえ、ハルカは驚いて振り向いた。
「え……!?」
そこには同じく裸になったエスの姿があった。
「あ、ぅ、ぇ?」
よくアニメである「キャー!」みたいな声は出ない。
単純に混乱している所にエスは冷静に淡々と答える。
「勘違いするな、お前の身体に興味があって来たのではない、監視を逃れるために、新婚カップルと嘘をついて入ってきた」
「??????」
とりあえず手で女の子で大事なところを3点隠すハルカ。
「お前が魔王と話していたネバーという男の事だ、俺には嘘偽りなく全て話せ」
エスの真剣な表情に、ハルカは状況に納得して深くうなずいた。
残念ながらタオルなどは脱衣所にあるのでその外のドアで待ってるであろうムギニに少しでも不審な行動と思われないようにこのまま話す事になるが……エスの下半身を見て本気で何も感情を抱いてない事に複雑な気持ちになるハルカ。
「……解ったわ……実は____」
ハルカはネバーが来た事や今までの自分の境遇。
そして自分が勇者である事を全て話した。
その話を聞いたエスの表情が次第に険しくなり、ついに彼はハルカの両肩を掴んで壁に押し付けた。
「キャっ!?」
衝撃でハルカの裸は露わになり胸も揺れるが、エスは全くそれは気にせず続ける。
「そいつは本当に【女神アオイ』と言ったのか!?」
ハルカは驚きつつも、冷静に答えた。
「え、ええ……ネバーは確かに【女神アオイ』からその装備を授かったと言っていた……」
エスの目が一瞬光り、彼の中で何かが変わった。
「エ、エス?」
「そうか……アオイが……」
エスは一歩下がり、冷静さを取り戻した。
「話は分かった、確かにあの時のお前の判断は正しい、あの言い方はネバーと何か関わりがある相手だろう……おそらく__」
そこまで言ってエスは黙った。
「……?」
「いや……まさかな……」
そのままエスはお風呂を後にして出て行った__
取り残されたハルカとシャワーの音だけが虚しく残る……
「…………2回目、かな……男の人に私の裸見られるのは……」
1回目の事を思い出し顔を赤くしながらもハルカは何年ぶりのお風呂に浸かり、疲れを癒した。




