疑念の糸
豪華な部屋にハルカとエスは泊まっていた。
部屋の内装はまるで王族のために用意されたかのような高級感に溢れ、シルクのカーテンや金箔の装飾が施された木製の家具が並ぶ。
深紅の絨毯が床に敷かれ、歩くたびに足が沈むような柔らかさが感じられた。
天井にはクリスタルのシャンデリアが輝き、部屋全体を優雅な光で包み込んでいる。
大きな窓からは要塞都市の夜景が広がり、きらめく灯りが見える。
「それにしても、こんな事になるなんてね……」
ハルカはその贅沢な空間に身を置きながら、心の中でつぶやいた。
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「ようこそ、要塞都市アルカディアへ__人間」
その荘厳な玉座に座っていたのは、ネバーのマスター、マンタティクスだった。
彼の目には冷たい光が宿り、その威圧感にハルカとエスは一瞬立ちすくんだ。
「……」
「……」
マンタティクスはしばらく二人を見つめた後、ゆっくりと口を開いた。
「さて、聞きたいことがある」
エスが一歩前に出て、構える__だが
「お前ではない、そこの娘にだ」
ハルカは突然の指名に驚き、目を見開いた。
「わ、わたし?」
「お前の着ているその装備の事だ」
その言葉と同時に、魔王室の壁の周りから魔法陣が展開される。
「っ!!」
ハルカは一瞬怯んだが、内心で盗んだ装備のことが頭をよぎる。
(どうする……?正直に話すべきか……でも、ここで嘘をついても……)
彼女は迷いながらも、心を決めた。
「この装備は……異世界から来た勇者が持っていたものです、彼からこの装備を受け取りました」
マンタティクスの目が鋭くなる。
「……その勇者の名は?」
ハルカは一瞬戸惑ったが、ここは嘘をつかずに答えた。
「名前は……ネバー」
マンタティクスはしばらくの間、ハルカを見つめた後、ふっと微笑んだ。
「なるほど……」
彼は魔法陣を解除し、玉座から立ち上がった。
「お前たちに危害を加えるつもりはない、むしろ、お前たちを客人として迎えよう、アルカディアの中でゆっくり過ごすといい」
マンタティクスの言葉に、ハルカとエスは少し驚いたが、彼の意図を探りつつも、感謝の意を示した。
「ありがとうございます、魔王様」
マンタティクスは軽く頷き、ムギニに命じて部屋を用意させた。
「では、お前達にムギニ団長をつかせる、何か困ったことがあれば言うがいい」
そうして、ハルカとエスは豪華な部屋へと案内され、しばらくの間、アルカディアの要塞都市で客人として過ごすことになった。
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