運命の交差
森の中を数週間歩いた後、ハルカとエスはついに目的地の入り口にたどり着いた。
そこは巨大な壁が周囲を取り囲み、その上には最新の銃火器が並んでいる。
ハルカは息を呑み、その壮大な光景に目を奪われた。
「こんな場所が……」
その壮大な光景に圧倒されていたが、それは隣にいたエスも同様だった。
「数週間前はこんな感じじゃなかったんだが……」
その冷たい目にも、わずかな驚きが垣間見えた。
都市の入り口に近づくと、厳重な検問が行われていて、武装した団員たちが立ち並び、入城者を一人一人厳重にチェックしていた。
「ねぇ、エス……本当に大丈夫なの?」
「……何かあった時の為に死ぬ覚悟はしておけ」
ここでエスが“戦う覚悟”ではなく、“死ぬ覚悟”と言ったのは冗談ではない。
二人が門に近づくと、団員たちに止められた。
「おい、そこの2人」
団員が鋭い目でエスとハルカを見て声をかける。
「……」
「……」
2人に緊張が走るが有無を言わさずに襲撃されないと言うことは安全の確認が取れた瞬間でもある。
「ただの旅人だ、ここには日用品の魔皮紙を入手しに来た」
エスが冷静に答えると、団員はハルカに目を向けた。
「そちらの娘は……人間か?」
ハルカは一瞬緊張したが、エスが肩を叩き、安心させた。
「そうだ、俺も人間だが?ここはそんな事を気にする場所ではないだろう」
団員たちは互いに目を合わせ、しばらくの間沈黙が続いたが、やがて一人が頷いた。
「あぁ、確かに言う通りだ、ここは考える脳がある魔物でも入れる様な場所だからな」
「なら、入城していいな?」
「だが人間が来たら我らの団長の所へ案内するように言われている」
「……解った」
2人は了承して案内について行く。
団員に導かれ、ハルカとエスは要塞の内部へと進んでいった。
都市の中は驚くほど整然としており、中央には巨大な城がそびえ立っていた。
「ここで団長が待っている」
団員の言葉に従い、二人は取引所の中に入った。
「お前達が報告にあった人間……か__!?」
彼の赤い皮膚が光を反射し、まるで生きた鎧のように見える。
八本の腕はまるで蛇のようにしなやかに動き、エスの後にハルカを見て驚愕した。
「お、お前……」
「?」
ハルカもなんの事か解らない様子だ。
「…………俺はムギニ団、団長のムギニだ……お前達に会ってもらいたい人がいる、ついてこい」
「……」
2人は無言でムギニについて行く。
少し歩くとエスは口を開いた。
「数週間前に来た時はここまで進歩していなかった……何があったんだ」
「そうか、お前は知らないんだな……実は新たな魔王が現れた、そのおかげで、この要塞都市が築かれたのさ」
「魔王?」
ムギニは案内しながら、都市の変貌について説明してくれた。
中央の広場や物々交換が行われる取引所、そして壮大な城の存在にハルカは圧倒されていた。
「先に言う、貴様達に会ってもらうのはその魔王だ」
「魔王が?どうして」
「お前達が人間だからだ、充分な理由だろ?」
「確かにな……」
案内の先、中央の魔王城の中に入り、豪華な装飾が施された廊下を進む。
ついに二人は魔王室の前に立った。
「さあ、入ってみろ」
ムギニが扉を開けると、そこには荘厳な玉座があり、その上に座っていたのは____
「ようこそ、要塞都市アルカディアへ__人間」
ネバーのマスター、マンタティクスだった。




