召喚降臨!……え?
異世界転生。
この言葉を知らない人は、もうほとんどいないだろう。
仮に知らなくても、周りの誰かに聞けばすぐに教えてもらえるレベルのワードだ。
僕は前の世界で、16歳という若さで死んだ。
だけど、目を覚ますとそこは天国でも地獄でもない──
一面が真っ白な、まるでコピー用紙の中に放り込まれたような空間だった。
そこで、【女神】様に出会った。
どうやら俺は“選ばれた”らしい。
女神様に体を作り変えてもらい、いくつかの特典までつけてもらって、いざ異世界へ――召喚!
……のはずだったのだが。
「……え」
「……」
ここでみんなに質問だ。
異世界に転生召喚されるとしたら、どこに出現すると思う?
西洋風の鎧を着た兵士が並ぶ荘厳な城?
伝説級の植物が生い茂る神秘的なダンジョン?
それとも、亜人たちが行き交うファンタジーな街のど真ん中?
……違う。
「……お風呂場?」
俺が召喚されたのは、ごく普通の一般家庭にある――空っぽの浴槽の中だった。
うん、お風呂場。
イメージとしては、某未来猫アニメのヒロインが入ってるところ、みたいな。
「に、人間!?」
状況的に俺を召喚した張本人と思われる少年が、俺を見て盛大にすっ転んで尻餅をついた。
ふむ……「人間」と驚いているってことは、女神様の言ってた通り、この世界はちゃんとファンタジー世界っぽいな……
あまり刺激しない方が良さそうだ。
俺はそっと片手を差し出し――あるアニメの名言を真似て、静かに言った。
「問おう、貴方が私のマスターか?」




