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97 佐藤の小説
学生時代からの友人、佐藤からひさしぶりに電話があって、ちょっと頼みがある、仕事帰りに酒でも飲まないかと誘われた。
その夜。
二人は行きつけのスナックで落ち合った。
「さっそくだが……」
佐藤がカバンから大きな封筒を取り出して、それをオレに見せる。
「何が入ってるんだ?」
「オレが書いたショートショートの小説。おまえ、小説投稿サイトに投稿してるだろ。そこにおまえの小説として投稿してくれないか」
「それはいいが、読んでみないと投稿できるかどうかわからんぞ」
「気に入らないところは、お前が好きなように書き換えてくれ。それでもダメなら、ゴミ箱に捨ててもかまわんので」
「とにかく読んでみるけどな」
その晩。
家に帰って佐藤の小説に目を通してみた。
たいしたオチはないが、ショートショートしてそれなりの作品に仕上がっていると思った。
――せっかくだ。
タイトル、そして最初から最後の一行まで、一語一句たりとも変えず、オレはすべてそのままで投稿することにした。
その小説。
あなたも読んでみたいとは思いませんか?
いえ、あなたはすでに読んでいるのです。
ここに書いた話。
これが佐藤の小説です。




