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お騒がせ女神の学園生活  作者: 一ノ瀬 和人
お騒がせ女神と孤高の少年
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三枝吹雪の向かう道

4章のエピローグとなります

 サニーサイドアップの職場見学から数日後、生徒会選挙の立会演説会に出席するために三枝吹雪は日笠則之と共に体育館の壇上裏にいた。

 既に体育館内には全校生徒が集められ、人で埋まっている。


「吹雪は緊張してないんですか?」

「則之の方こそ、緊張してるんじゃないか?」


 隣で原稿を片手に震える則之。

 普段はテスト以外の面倒臭いことは一切しない則之が、こうして自分の手伝いをしてくれることに吹雪は感謝していた。


「僕の方は、だっ、大丈夫、ですよ」

「声が震えてるぞ。少し落ち着こう」


 吹雪は則之の肩に手を置き、落ち着くように促した。

 周りにいる候補者の中にも則之のように緊張で震えていたり固まっていたりする人もいる。

 その中でも緊張せずに立っている人はよっぽどの自信家か、学級委員等の取り組みをして場馴れしているかのどちらかであると吹雪は考えた。


「音楽祭の時も緊張しましたが、今回はそれ以上ですよ」

「あの時殆どの人の注目は恵梨香に向いてたからな」


 音楽祭の時も吹雪も多様は緊張していが、観客の視線は殆ど恵梨香に向いていたためそこまで緊張はしていない。

 一般人の恵梨香があれだけ人が見ている所で、最高のパフォーマンスが披露出来たことを素直にすごいと思っていた。


「吹雪はどうしてそんなに緊張ないんですか?」

「俺は今まで魔法師達が大勢集まるパーティーで自己紹介とかしてきたからな。これぐらいなら何てことない」


 実際吹雪自身、幼少の頃から人前で話すことが多かった。

 それは三枝家が経営する道場の門下生や一族が集まってのパーティーや、魔法師が集まる交流会等多岐に渡る。


「それはすごいですね。僕はあまりそういう催し物に声がかからないですから」

「則之だっていずれこういう場に出るときが来る。魔工師になるならこういう場で嫌でも発表することになるんだからな」


 吹雪は則之を元気付けるように再び肩を軽く叩く。

 それと同時に幕の外でマイクが入ったのがわかり、それと同時に聞きなれた男の声が2人の耳に届いた。


『遅くなって申し訳ありません。それではこれより公開演説会を‥‥‥‥』

『ちょっと、祐介。公開演説じゃなくて立会演説』

『悪い、莉奈。てかこれもマイク入ってる』


 そしてごちんという鈍い音と共に会場から笑い声が聞こえてくる。

 それと同時に則之が深いため息をつき、自然と肩の力が抜けていた。


「あの夫婦漫才を見てたら、緊張しているのも馬鹿馬鹿しく思えてきました」

「則之の意見に同意だ。よくも悪くもいつもの2人だな」


 壇上の外で祐介の頭を莉奈が叩いていることが吹雪は容易に想像できた。


『コホン、失礼しました。それでは気を取り直して立会演説会を始めます』


 今度は莉奈の声が聞こえてきたことから、進行が祐介から変わったことが伺えた。


「祐介と莉奈、変わりましたね」

「さっきの音はマイクに頭をぶつけたんじゃなかったみたいだな」


 マイクの声の様子から莉奈が祐介の頭を殴ったことが容易に伺えた。


『それでは立候補者の方は順番に入場してください』


 入場を促され、学年が上の人から順に巻くの外へと歩いていく。


「とりあえず俺達も行くか」

「そうですね」


 吹雪と則之も上級生の後ろを2人で歩いていく。

 壇上に上がると既に会場には多くの人達が入っていた。

 だが、吹雪は会場の人に目を向けず莉奈と祐介を探す。


「吹雪いましたよ」


 ステージ上に置いてある椅子に2人は座ると、則之が指差す方を見た。

 ステージの下に設置された管理委員会の席には頭をさすっていて、祐介とむっつりとした表情で淡々と話す莉奈がいる。

 吹雪の目から見る莉奈は明らかに不機嫌そうに見えた。


「明らかに莉奈の奴怒ってるな」

「多分祐介が何か言ったんじゃないですか?」


 祐介も莉奈に対してだけは余計なことを言ってしまう。

 それを言ったから殴られたのだと推察した。


「相変わらずだな。あの2人は」


 吹雪は2人の姿を見て声を出さずに笑う。

 声を出さずに笑う自分に、吹雪は父が何故莉奈達と一緒にいた方がいいと言ったのか理解した。


「なるほどな。親父が言っていたのはこういうことか」

「吹雪」


 父が祐介と莉奈との約束だけ、いつも許していてくれた理由がやっとわかった。

 あの2人といると自分も引きづられて色々なことに挑戦をしていた。

 そのことが自分にも様々な影響を与えていることに今更ながら気づかされた。


「どうしたんですか? 急に笑顔になって?」

「笑顔? 俺が?」

「そうですよ。こんな楽しそうな吹雪を見たのはかなり久しぶりです」

「そうか」


 祐介や莉奈と付き合って自分が変わろうとしていることに吹雪は自分で気づく。

 だが、それは悪い意味ではなくいい意味で変わり始めていたことには吹雪は気づかない。


『それではこれから立会演説会を始めます。最初は書記候補の‥‥‥‥』


 莉奈が候補者を読み上げて立会演説会は始まった。

 この後緊張する則之と堂々と自分の公約を読み上げる吹雪は、どこか誇らしげだったと吹雪は祐介から聞くこととなる。

 その後立会演説後に開かれた生徒会選挙で吹雪は副会長に選ばれ、無事生徒会選挙への当選も果たす。

 その時の莉奈と恵梨香、祐介の3人の喜びようはすごく、吹雪の心に永遠に残ることとなり忘れられない思い出となった。


ここまでご覧頂きありがとうございます。


これで4章は終わりとなります。

4章の後書きにつきましては活動報告の方に載せさせていただきます。

活動報告に関しましては早くて16日か17日ぐらいに上げると思いますので、少しだけお待ち下さい。

最後になりますがここまでご覧頂いた方や、作者の拙作にお気に入り登録をしてくれた方ありがとうございます。

特にお気に入り登録や感想等は作者の励みにもなりますので、これからもしていただければうれしいです。

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