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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第四章 デッドチャンネル編

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第六十一話 デッドスの正体

 結局海渡達は3334点とったところで田中がアウトとなりチェンジとなった。


「はは、まだ一点差だ! 後2点とれば我らの勝ちだ。お前らも気合い入れていけよ!」

「――イエスボス」


 そしてバッターボックスにデッドスの選手が立つ。屈強な肉体をしたいかにも打ちそうな男だった。


「ピッチャーは海渡様! そしてキャッチャーは田中! 頑張って海渡様!」

「だから何でパパは呼び捨て! そして海渡様って何! ねぇどういうこと? 答えなさい真弓!」

 

 田中が叫ぶが真弓はツンっと顔をそっぽに向けて答えなかった。一方で佐藤はハラハラとしていて気が気じゃない様子だった。


「てか、何となく私も来てみたけど何この意味不明な点数」


 鈴木がスコアボードの点数を見て目を細めた。何せ3333-3334だ。一体何をどうしたらこんな点数になるのか摩訶不思議なのである。


「なぁ田中。本当に俺じゃなくていいのか?」

「はっはっは、こう見えて私は昔野球部でキャッチャーをしていたことがあるんだ。それにいいところを見せたいしね」


 そう本当ならキャッチャーは虎島の予定だったが田中がやると言って聞かなかったのだ。そしてチラチラっと娘にアピールしている。


「本当ウザい」

「そんなこと言っちゃ可愛そうだよ。田中さんもきっと真弓ちゃんに認めてもらいたいんだよ」

「あんな目にあったのに委員長は本当いい子だよね。はぁ尊い」

「ちょ、鈴ちゃんってば!」


 鈴木が佐藤に抱きついた。佐藤が頬を赤く染めて照れている。


「さぁしまっていこうぜ!」


 そしてキャッチャーとなった田中がみんなに向けて叫んだ。泣いても笑ってもこれが最後の回である。


「ふん、海渡とかいう小僧、打撃は随分とやるようだったが、ピッチャーとなればまた別よ。ましてや改造されたうちの選手が打てないわけがない」


 ほくそ笑む監督。そして海渡がピッチングフォームに入るが、何とも素人丸出しのものであった。


「ハッハー! なんだそのへっぴり腰は! そんなものでうちの選手からストライクが取れるものか! 勝ったなガハハ――」


――ズドォオオオォオオォオオンズゴゴゴゴゴゴゴゴッゴドゴォオオオオオオンーーーーーーーー!


 爆発した。海渡が投げた瞬間、田中が一直線に吹き飛ばされそのまま地面に突き刺さり派手な爆発とキノコ雲が発生した。


「あ、いけね」

「「た、田中ーーーーーーーー!」」


 海渡がぽりぽりと頬を掻きながら呟き、虎島と鈴木が叫んだ。田中は爆発で出来たクレーターの中心で横倒しになりピクピクと痙攣していた。


「そ、そんな。きっと田中は嫌な予感がしていたんだ。それで俺の代わりに……」

「いや、それなら先ず止めようぜ」


 虎島の語りに杉崎が目を細めてツッコんだ。どうみても虎島がキャッチャーをしたほうが良かっただろうと思ったのだろう。


「うぅ、ひどい目にあった」

「その程度って、田中も丈夫ね」


 結局田中はベンチに引っ込んだ。しかし意外と元気そうなのに驚きの鈴木でもある。


「は、はは、た、多少はやるようだが、その程度大したことはないさ。さぁ今度こそ打ってやれ!」

「……いや無理」


――ストライクストライクストライクバッターアウト! ストライクストライクストライクバッターアウト! ストライクストライクストライクバッターアウト! スリーアウトゲームセット! 勝者チームキョジンズ!


 こうしてデッドスの選手が言ったように結局海渡の球に手も足も出ず三者凡退でゲームが終わった。

 

「がぁあああ! いってぇええ! 俺も鍛えたつもりなのに、がぁ、海渡ちょっとは手加減してくれよ」


 そして試合が終わると同時に虎島が手を押さえながら叫んだ。超手が真っ赤で確かに痛そうである。


「え? いや、ごめん、すっごく軽く投げたつもりだったんだけど」

「あ、そ――」


 虎島が目を点にさせた。海渡の投げた球は余裕で光速を超えていたがその程度は海渡からしてみれば手加減にもならないのである。


 何はともあれ、これでキョジンズの勝利で幕引きかと思われたのだが。


「ふざけるな! こんなもの認めんぞ!」

 

 突如デッドスの監督が怒りを顕に叫びだした。試合が終わったにも関わらず、向こう側の選手からも殺気が感じられる。


「おいおい試合結果にいちゃもんかよ。流石に見苦しいぜ?」

「キュッ! キュ~!」

 

 デッドスの監督に呆れる虎島。頭の上ではスライムのミラクもご立腹の様子だ。


「うむ、騎士道精神の欠片もない奴だな!」

「騎士ではないからね」


 マックスも憤慨していた。ただ景の言うように彼らは騎士ではない。


「お腹減りました」

「サンドイッチ食べたらいい、いだいいだい! なんでほっぺをつねるの!」


 キャラットはお腹を押さえてため息をつく。フォワードが委員長のサンドイッチを勧めると抓られていた。


「ふん、こんなゲームのことなど本来どうでもいいのだ! 元々表のゲームは視聴者を楽しませるための前座に過ぎぬ!」

「視聴者だと?」


 デッドスの監督が口にした言葉に杉崎が反応した。隣で見ていた花咲が不安そうな顔を見せている。


「我々の目的は表の試合で先ず貴様らに屈辱を与え、裏のデッドスポーツでトドメをさすことだった! そこの佐藤委員長とやらも視聴者受けすると思ったからな」

「えええぇええ! 私ーーーー!」


 佐藤が驚いた。知らない内にターゲットにされていてびっくりしたのだろう。


「また委員長狙われてたんだ……」


 一方鈴木はどこか諦めに似た顔で一人呟いていた。


「とにかく、こうなっては仕方あるまい。直接お前たちをこの強化された選手たちの餌食にしてくれる! さぁやってしまえ!」


 そして――デッドスの選手が海渡達に襲いかかってきたわけだが。





「ぢ、ぢぐじょう、こんな、こんなにあっさりやられるとは――」


 結局デッドスは選手もろとも監督も含めてあっさりと返り討ちにされた。よく考えてみればわかることだが、彼らのいう表のゲームでボロボロに負けるような連中がそもそも勝てるわけがない。


「おい、お前、さっき視聴者がどうとか言っていたな? あれはどういう意味だ?」

「ふ、ふん! 誰が言うものか! 貴様らのようなくそどもに!」


 杉崎が真剣な顔で詰問するが、ぼこぼこにされたというのに口の減らない監督だった。とは言え、中々強情そうでもある。


「海渡どうする?」

「う~ん、そうだね。ところで、腹減ってない?」

「何?」

「委員長、まだ作ってきた食べ物ある?」

「う、うん。一杯作ってきたから。でも、傷んでるかもしれないし……」

「大丈夫大丈夫」


 そう言って海渡は佐藤の料理をデッドスの全員の口に押し込んでいったわけだが。


「「「「「「「「「「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!?」」」」」」」」」」


 そして全員が倒れてピクピクっと痙攣してしまった。


「や、やっぱり傷んでたんだ!」

「うん、大丈夫。これはそうじゃないから。さて」


 海渡は監督を引き起こしビンタして意識を取り戻させる。


「ハッ! わ、私は一体何を、いや、そうだ! あ、あの恐ろしいものを……」

「お代わりまだあるよ」

「は?」


 海渡が佐藤のサンドイッチを近づけた。パンとパンの間から紫色の液体がドロっと滴り落ちる。


「ひ、ひいぃいぃいいいい! 話す、全て話すからぁあああぁああ!」

 

 結局デッドスの監督は知っていることを全て話してくれた。


「デッドチャンネルか……」

「お、驚きましたよ。私以外でやってる人を生で見たのはじめてなので」

 

 そう田中は言うが、気がついていないだけだったりする。


「それにしてもとんでもない連中だよね」

「警察に突き出すしかありませんわ!」


 金剛寺が憤る。他の皆もそれに同意だったようだが。


「あぁそれならあいつら自分で自首するってもう行ってしまったよ」

「え? あれ、本当だいない!」

「はや! てか、大丈夫なの海渡!」


 長島がキョロキョロと見回すが確かにいつのまにか姿が消えていた。鈴木が心配そうに海渡に問いかけてくる。


「うん、委員長のサンドイッチを食べておとなしく罪を認める気になったみたいだし」

「え? 私の料理で?」


 佐藤の顔が明るくなる。まさか自分の作ったサンドイッチがそこまで効果あるとはといった様子だが。


「おい海渡、今のは勿論嘘だろう?」


 虎島がやってきて海渡に耳打ちした。すると海渡は首肯し。


「まぁね。あいつらスポーツが好きみたいだし、そんなに好きならと思って野球つながりで地獄っぽい甲子園に送っておいたんだ」

「へ、地獄っぽい甲子園?」

「地獄っぽい甲子園だけど?」


 海渡の答えに虎島はう~ん、と唸り。


「な、何か凄く濃そうな感じだな」

「うん、まぁ地獄だしね」

「いや、そういう意味じゃ、まぁいいか」


 結局虎島は深く追求するのを止めた。その時だった佐藤のスマフォに着信。それを取り話すが。


「た、大変! ごめんねみんな。親戚のおじさんが倒れたって、だからすぐ両親とお見舞いにいくことになっちゃって」

「そうなんだ。なら急がないとね」

「うん、ごめんねみんな」


 そして委員長が慌てて家に帰っていく。その後、このデッドチャンネルについてどうしようかという話になったが。


「海渡、悪い。この件に関しては俺に任せちゃくれないか?」

「杉崎……」

「お前、そういえばデッドチャンネルの話を聞いてから様子がおかしい気がしたけど何かあったのか?」

「……実は俺の親父が追っていたのがこの運営だったかもしれなくてな。俺も独自に色々調べていたんだ。だから、この件は俺が自分で決着をつけたい。だからわがまま言ってるかもしれないが海渡、頼む」

「杉ちゃん……」

 

 花咲が眉を寄せ、杉崎を心配している。そして海渡は。


「うん、そういうことならわかったよ。でも困ったことがあったらいつでも頼ってね」

「あ、あぁ恩に着るよ!」

 

 こうしてこの話は一旦保留となったのだが――






『あ~あ~只今マイクのテスト中、なんてな。よう。海渡だったか? 俺はチーム悪餓鬼の頭やってる我鬼ってもんだ。突然だが最近調子乗ってるというテメェに朗報だ。佐藤委員長って女とその家族を預かってる。これから一時間後に全員もれなくあらゆる地獄を味あわせてから処刑してやるつもりだ。この動画をみているならさっさと助けに来て見ろよ。ま、動画を見ていようが見ていまいが一時間後にしっかりやることはやるけどな。場所は――教えるわけねーだろタコ。こいつらの泣き叫ぶ姿が見たくなかったらテメーで探してみろやじゃあな』

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― 新着の感想 ―
キングレッドのあかおの事なのですが、デッド博士個人はレッドキングと呼んでいた可能性もあり、正しいのか誤字なのか判断がつかなかった。
[一言] 身体バラバラになりそう 委員長もう桃クイーンかな?
[一言] 田中はもしや、何かしらの実験で超人的なタフさを身につけた代わりに頭(二つの意味で)が残念なことになってしまったという背景を持つ深い人物なのでは!?
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