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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第二章 デスホテル編

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第二十七話 飼い主が決まりました

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

感想で頂きましたがデッドチャンネルに関してはもう少し後に専用の章で片付けますので!

 海渡はキングレッドの飼い主となる相手を探していたが、杉崎の提案により金剛寺家までやってくることとなる。


 その上で金剛寺家の一人娘である玲香にキングレッドを飼ってくれないかと頼む一行だが。


「それで飼ってもらえる?」

「話が唐突すぎますわね……そもそも家には既に自慢の犬や猫がおりますわ。今更ライオンなどと言われても」


 金剛寺が難色を示す。確かにいくら金持ちとはいえ、いきなりライオンを飼ってくれと言われても、はいそうですか、とはならないだろうが。


「やっぱり無茶だったか」

「ライオンだもんね……」

 

 鈴木がため息まじりに言った。最初から無理があるとは思っていたようだ。佐藤も残念そうな顔をみせている。


「やっぱり動物園に頼むしか無いかな?」

「動物園でなんとかなるのかこれ?」


 花咲は最終手段はそれしかないと思ったようだが、虎島には疑問があったようだ。


 確かにキングレッドはあまりに普通のライオンと掛け離れた存在だ。


「やれやれ金剛寺にはがっかりだな」


 すると、杉崎が頭を振り、そんな挑発めいたことを言い出す。金剛寺が眉を顰めて口をムッとさせた。


「なんですの? 急に無茶な頼み事してきたわりに随分な言い草ですわね」

「確かにこっちが頼んでいる立場だが、これでも俺はお前の為を思ってるんだぜ?」

「……意味がわかりませんわ」

 

 腕を組み、不可解といった顔を見せる金剛寺だったが、杉崎はなおも続けた。


「今、金剛寺は犬や猫を飼っていると言ったよな?」

「いいましたけど何か?」

「俺は犬も猫も好きだ。だからそれを飼っているのはいいと思う。けどだからってライオンを飼わない理由にはならないだろう? それにだ、金剛寺グループのご令嬢ともあろうお前が犬や猫で満足しているというのがな」


額に手を当て、どことなくガッカリ感を漂わせる杉崎に金剛寺がムキになった。


「な、何が悪いというのかしら! 言っておきますが私が飼っているのは高級な猫や犬ばかりですよ!」


 人差し指を突き出し、上下に振りながらただの猫と犬ではないとアピールするも、杉崎は納得しない。


「だとしてもだ、それはある程度金を持っている連中なら普通に飼っているものだろう? つまり当たり前過ぎてつまらない。例えばお前がどっかのパーティーに出向き、ペットの話になった時、お前が飼っているのが犬だ猫だといっても世間話にはなっても驚いたり関心を持たれることはないだろう?」

「う……」


 金剛寺がたじろいだ。その様子に杉崎の目が光る。


「そう! お前の欠点は金持ちキャラの割に普通過ぎて面白みに欠けるってことだ!」

「な、なんですってーーーー!」


 指を突き刺し断言する杉崎に金剛寺が驚きの声を上げた。


「てか、キャラって言っちゃってるわね」


 二人の様子を眺めていた鈴木が呆れ眼で呟いた。確かにこれでは金剛寺がキャラで金持ちを演じているようである。


「う~ん、笑い方とか普通ではなさそうだけどね」

「まぁここは杉崎に任せようや」


 海渡は思ったことを素直に口にしているが虎島はここは杉崎の手腕にかけるべきだと判断したようだ。


「うぅ、私が地味だなんて」


 金剛寺がうなだれる。正直そこまでは杉崎も言っていない上、決して地味ではないが。


「安心しろ金剛寺。だからこそのこいつだ」

「ガウ?」


 杉崎はキングレッドの肩を叩いてアピールした。


「その子が、ですの?」

「そうだ。考えてもみろ。肌が赤い上、これだけの逞しい体を持った雄々しいライオンが他にいるか?」

「い、言われてみれば……」


 金剛寺がキングレッドに興味を見せ始める。


「そう、まさにこいつは世界で一頭しかいない貴重な赤いライオン! それを飼うということはお前にとって最高のステータスとなる!」

「な、なんですってーーーー!」


 ガーンと後頭部を金槌で打たれたような顔で驚く金剛寺。その様子に海渡はどこか感心したようでもある。


「う~ん、あのリアクション。やっぱり普通ではないよね」

「確かにそうだが、それをお前が言うか?」


 自分のことを棚に上げて語る海渡に虎島も苦笑した。


「そう、だからこそ俺はお前にキングレッドを飼うのを提案しているのさ。だがそうだな。そこまで嫌ならほかをあたるかな」

「え? ほ、他をですって!」

「そうさ。あれ? 言ってなかったか? このライオン他にも欲しいと言っているのがいるんだよ。ほら、あの、黒瀬とか鮫牙とかあと虎島も」

「俺!?」


 聞いていた虎島が驚くが鈴木に脇を突っつかれてむぅ、と唸った。


「そ、そうだな金剛寺が無理なら、ほ、欲しいかな……」

「ほらな? それに黒瀬も家は金持ちだし鮫牙は、なんかこういうの欲しそうだろ?」


 本人のいないところで勝手にだしに使われる黒瀬と鮫牙である。ちなみにその頃、黒瀬は愛犬のキングと散歩しており、鮫牙は特に何もしてないが警官から職務質問を受けていた。


「まぁそういうわけだからここは」

「お、お待ちなさい! 誰も飼わないとは言っていないですわ!」


 踵を返した杉崎を金剛寺が引き止めた。ニヤリと狡猾な笑みを浮かべる杉崎である。


「杉ちゃん凄い……」

「詐欺師の才能あるんじゃないの?」

「スズちゃん悪いよ。杉崎くんも頑張ってくれてるんだし」


 確かに杉崎のおかげで金剛寺の心は完全にキングレッドに傾きかけていた。


「え? でも犬や猫を飼っているから嫌なんだろう?」

「そんなことは言ってませんわ!」

「そうか? う~んでもどうしようかなぁ。しっかりとした環境でちゃんと飼ってくれるところじゃないとこいつも可哀想だしなぁ」

「しっかりやりますわ! 環境も整えさせますし餌もしっかり与えますわ!」

「ふむ、つまり金剛寺がどうしても飼いたいってことだな?」

「そうですわ! 私はどうしてもそのライオンを飼いたいのですわ! だからお願い譲ってください!」

「う~ん見事に立場が逆転している」


 遂には金剛寺が頭を下げて杉崎にお願いしてしまった。まさに手八丁口八丁で金剛寺を手玉に取っている。


「だそうだが虎島はそれでいいか?」

「え! いや、俺は別に……」

「お願いします! 譲ってくれたら何でもしますから!」

「そこまで!」

「今なんでもするって言った?」


 ペコペコ頭を下げ始めた金剛寺に虎島が驚いて声を上げる。一方海渡は何でもという部分に注目した。


「ちょ、海渡そこは本気にしちゃ駄目だから!」

「そ、そうですよ。大体、な、何をお願いするつもりですか!」


 そんな海渡に鈴木が慌てだす。佐藤もどこか必死な顔で訴えた。ついでに何を願うつもりか気になるようだが、海渡はただ何となくいいたかっただけなので何も要求しなかった。


「とにかく、俺のことはいいからこいつを可愛がってやってくれ」

「勿論ですわ!」


 虎島に頼まれ金剛寺はキングレッドの立派な飼い主になると固く誓ってくれた。きっと可愛がってくれることだろう。


「ガウガウ?」

「あぁ、お前は金剛寺が大切に飼ってくれるそうだ」


 キングレッドも首を傾げつつ、どうなるの? と気になるようだったので海渡が教えてやる。これで餌代も含めて安心だろう。


「ところで飼うにしても名前がいりますわね」

「一応キングレッドという名前があるけど」

「なんですのそのキングとかレッドとかいうのは。正直意味がわかりませんわ」

「……は?」

 

 その発言に虎島がキョトンとした。そして女子3人も戸惑いの顔を見せており。


「え?」

「えっと……」

「金剛寺さん、キングとレッドだよ?」

「え? え?」


 腕を組み、頭に?マークが浮かび上がる金剛寺。だが、皆が当たり前のように語っているのを見て。


「ふ、ふふん。も、勿論知ってますわキングとレッドぐらい!」

「ほぉ、それじゃあキングは何だ?」

 

 髪を掻き揚げ知っているアピールをする金剛寺。勿論威張れることでもないが怪しんだのか杉崎が問いかける。


「き、キングは、何か偉そうな人ですわ!」

「間違ってはいないね」

「う、う~ん、ならレッドは?」

「え?」


 金剛寺が腕を組み首を傾げた。普通はスッと出るものだがそれから30秒ぐらい悩んだ後で。


「レッドは、り、リーダーっぽい人?」

「惜しい!」

「もう正解でいいんじゃないかな?」

「いや駄目だろ。本人の今後のためにも」


 なんとなく正解に思えなくもないが本当にレッドがリーダーと思われても将来的に困りそうなので不正解とした。


「レッドは赤でキングは王様な」

「そ、そんなの授業で習いませんでしたわ!」

「いや、習うだろ」


 とても苦しい言い訳をした金剛寺だが虎島にすぐに否定されたのだった。


「金剛寺って頭よくなかったんだな」

「え、英語が少し苦手なだけですわ!」

「それ少しじゃないわね」


 かなり致命的である。


「それはそれとして、やっぱりキングレッドは長いですし、赤、それに王……」


 金剛寺がぶつぶつと呟きながらキングレッドの名前を決めようとしていた。中々真剣な様でキングレッドもワクワクしている。


 海渡もこれだけ名前も真面目に考えてくれるなら大丈夫そうだなと思ったほどだが。


「決めましたわ!」

「おお、それで何だ?」

「ふふふん、赤に王と聞いてピンっときましたわ。キングレッド貴方はこれからアカオですわ!」

「ガウゥウウウウ!?」


 金剛寺にビシッと名付けられ思わず呻くキングレッドもといアカオである。その直後、とても微妙な顔をした。


「アカオね。良かったなアカオ」

「可愛がってもらいなよアカオ」

「アカオちゃん私達のこと忘れないでね」

「うむ、そうきくとアカオに見えてきた」

「もうアカオしかありえないな」

「良かったねアカオちゃん」


 だが、微妙そうな顔を見せるも皆からアカオと呼ばれなし崩し的にアカオに決定することになり、そして無事アカオは金剛寺のペットとなることが決まったのだった。

というわけでアカオをこれからもよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
金剛寺さんにばかり負担を押し付けるのは良くない。
[良い点] ん?今何でもするって言ったよね?
[気になる点] 海渡の魔法なら、アカオの体躯を某猫型ロボットみたいに自由自在に小さくも大きくも出来ると思うけど……杉崎達への説明がつかないから開示しないのかな?…*´∀`) [一言] アカオは準レギュ…
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