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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第九章 様々なデスゲーム編

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番外編⑧ その五 海渡は杉崎に確認する

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

「ねぇ杉崎。ちょっと聞きたいことあるんだけど」


 放課後、海渡が教室に残っていた杉崎に声をかけると、近くでカバンを詰めていた虎島も手を止めてこちらを見た。


「うん? 何だよ改まって」

「えっと。最近――変わったこと、無かったかなって」

「な! か、変わったことって、そ、それは……」


 途端に狼狽する杉崎。虎島は首を傾げ、何が始まるのかと様子見モードである。


「えっと、もしかしてもう知ってる?」

「まぁ、なんとなくだけどね」


 わざわざ海渡が確認してくる時点で、何かを察している――杉崎もそこに思い至ったらしい。


「そうか。だったら隠しても仕方ないよな。実は……親父が帰ってきたんだ」

「え! 杉ちゃんのパパが!」


 反応したのは花咲。久々の登場でテンションが若干高い。


「余計な事を言ってんじゃないわよ! ぶっ飛ばすわよ!」

「え! な、なんだよ俺、何か怒らすことしたか?」

「……あ、ごめんなさい、つい」


 テヘッと舌を出す花咲。いつもの流れである。


「というか杉崎の親父さん、確かデッドチャンネルの運営を追ってて、その……」


 そこまで言って虎島が言い淀む。亡くなった経緯に触れるのをためらったのだろう。


「気にしなくて大丈夫。なんなら、その親父が転生して戻ってきたまであるから」

「マジか! そんなことありえ――いや、ここじゃ十分ありえるな」


 海渡の顔、そして虎島の視線に気がつき手を振る景を確認し、虎島は自然に納得した。このクラスに常識は通用しない。


「それにしても海渡。どうして突然、親父のことを?」

「あぁ、そうだった。親父さん、菜乃華たちと一緒に“こっち”に向かってる」

「本気かよ! どうしてそうなった!」


 杉崎が両手で頭を抱える。想定外にもほどがある。


「そもそも、どうして杉崎の親父さんが海渡の妹と一緒に?」

「なになに~? 何の話~?」


 話に加わってきたのは鈴木と委員長。話が広がる未来を感じ取り、杉崎は額を押さえたが、この場でごまかしても後が面倒だと判断し、これまでの経緯を手短に説明した。


「転生して子どもになって戻ってくるって、漫画みたいな話よね」

「そんなことが現実に起きるんだね」


 鈴木と委員長は驚きつつも、カードを具現化して戦えたり、和の料理人風の魔法少女になれたりする自分たちを思い出し、最終的に頷いた。今さらである。


「で、杉崎のお父さんは田中に用事があるみたいなんだよ」

「田中に? 一体何の用事が?」

「親父が、田中に? あッ!」


 小首を傾げる虎島の横で、杉崎の表情が強ばる。思い当たる節があった。


「しまった……“あそこ”には真弓ちゃんがいたんだった。だからかぁ~」


 杉崎が机に突っ伏して、低い声でうめいた。


「もしかして、お父さん、まだデスゲームのことを?」

「あぁ。親父は今もデッドチャンネルを追ってる。俺から説明はしたけど、信じてもらえなくてさ。しかも“あの”デッド博士に息子がいたっぽいんだ。余計にややこしくなってる」


 苦笑まじりに吐露する杉崎。海渡としても「やっぱり面倒なことになってるな」という感想しか出てこない。


「とにかく、先ずは田中をどうにかしよう」


 海渡の提案に、一同がうなずく。そのまま外に向かうと、校門前では当の田中がご機嫌に鼻歌まじりで掃除中――この平和感が逆に腹立たしい。


「田中、ちょっといい?」

「おや? 私になにかご用で?」


 のんきな笑顔の田中に向け、全員がそろって歩を進めた――。

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