番外編⑤ その二十二 終焉のデスゲーム
「なんとなく驚いてみましたけど、結局どういうことですの?」
「ガウッ!?」
金剛寺のぶっちゃけにアカオが驚いていた。でも確かにその場にいる全員が似たような心境であろう。
「前回あれだけ驚いて引っ張っておいてそれかよ! いや僕も似たようなもんだけどね!」
「そういうところがシンキチだよな」
シンキチのツッコミに杉崎が苦笑しながら突っ込み返した。シンキチはプンスカしながらも何か思うところがあったようだ。
「でも実際そのとおりだよね。狩人が強くなっても俺たちにはどうでもいいことだし」
「よしわかった。喧嘩を売ってやがるんだな。改めて買ってやんよ!」
狩人が海渡に詰め寄ろうとするがそこでピタリと動きが止まった。
「ちょっと血気盛んすぎね。とりあえず動きは止めておいたわ」
大宮が狩人の肩をたたいて言った。どうやらそれが大宮の何かしらの能力らしい。
「とにかく彼は回収していくわ。あなた達にとっても余計な手間がなくていいでしょう?」
「う~ん。そりゃそうなんだけど、これって人さらいになるの?」
「ならないならない! 絶対大丈夫! 寧ろノシつけてあげようぜ!」
矢島がどうぞどうぞと言わんばかりに叫び手揉みしながらすり寄ってきた。矢島は狩人に借金がある為、ドサクサに紛れてなかったことにしたいのだろう。
「矢島。お前ちょっとセコいぞ」
「な、なんだよ! 大体元々理不尽な借金だろう?」
「よくわからんが借金があるならしっかり支払ってもらわないとな――よし回収完了だ」
保谷の発言に矢島が不思議そうな顔を見せた。
「いや俺支払ってない、あれ? いや、たしかに支払ってあれ?」
「一体何をしたんだ?」
戸惑う矢島を見ながら鮫牙が問いかけた。
「田無と過去に戻って改変し、そいつが過去に手に入れたお金から借金を返してもらった」
「なにそれ怖い! ちょ、海渡なんとかしてくれ!」
「う~ん、でもお金は返さないとね」
「そ、そんな……」
海渡が答えると矢島ががっくりと項垂れた。ちなみに借金返済した分、本来矢島が購入していたゲームや服やら本やらは手に入らないことになっている。
「ちょっと待って! その能力があれば僕がシンキチじゃなくて鳳凰院 凍牙として存在し続ける事もできるってことだよね!」
「残念ながらその願いは私たちの力を超えているから無理だ」
「どういうこと! ただ鳳凰院 凍牙と呼んでもらいたいだけなのに!?」
「それはおそらくセカイ中のあらゆる神の力を持ってしても無理な相談だろう」
「そこまでのこと!? そこまでいくと逆に凄いよ! 僕の名前どうなってんの!?」
『シンキチ諦めろ。逆にそこまで影響ある名前をつけてくれた親に感謝だぞ』
「あ、うん。そうだね……」
ダマルクに正論を言われ、突っ込むこともなく素直に納得したシンキチであった。
「矢島のことはいいとして結局そこまでして狩人を連れていきたい理由はなんなんだ?」
杉崎が聞いた。それは核心を突く質問ではあったのだろう。
「彼はもしかしたら希望になるかもしれないのよ。セカイが終わる終焉のデスゲームを終わらせる為のね」
「終焉のデスゲーム? なんですかそれ?」
そこで疑問の声を上げたのは何と女神サマヨだった。
「いや、女神様でも知らないのかよ」
「むぅ、虎島くんそういう決めつけはよくありません! 女神だってわからないことがあるんですぅ~」
サマヨが口をとがらせながら文句を言った。だが女神がそれでいいのかという気もしないでもない。
「……まさか終焉のデスゲームだと?」
だが、そこで黒瀬が反応を示す。
「知ってるのか黒瀬?」
「……先代の大魔王から聞いたことがある。真の意味でのセカイはこれまでも幾度となくデスゲームを行いリセットされてきたとな――」
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