番外編⑤ その二十一 可能性
「てかこの番外編長すぎだろう! なんで二十一話もやってるの!」
「いや、それを言われても」
「メタすぎるわ!」
シンキチの突っ込みが冴え渡る。その切れ具合に金剛寺も思わず叫んだ程だ。
「そもそもなんでこの番外編がこんな長くなってんのさ! 普通こういうのは一話で完結するもんじゃないの!?」
「そんな正論ツッコミされてもねぇ」
やれやれといった顔で海渡が答えた。実際海渡としてもここまで長くなるとは思ってなかったが色々キャラが増えてしまい収集がつかなくなってきている気がするのだ。
「何を言ってるの貴方。いつからこの番外編が本編じゃないと錯覚していたのかしら?」
言って大宮が不敵な笑みを浮かべてきた。
「てかいい加減話を戻そうぜ。大宮だっけ? 狩人が勝てないってのは当たり前過ぎて疑問にも思わないけど、可能性ってのはどういうことなんだい?」
そこで割って入ってきたのは杉戸だった。この話に何気に興味があるようだった。
「それは私たちの共通点に関係していることよ。そこの海渡も含めて全員異世界から帰ってきたというのが共通している。その力でデスゲームを打ち破ってきたのもね」
「おいちょっと待て! それはつまりお前たちもやってきたというのか? このふざけたデスゲームを」
ここで声を上げたのは虎島だった。虎島は過去にデスゲームでつらい経験をしていた。幸い海渡の厚意で異世界に行き転生した幼馴染の星彩 景を連れ帰ったが未だに邪魔が入って告白できていない始末なのである。
「て、ツライってそこじゃねぇよ!」
「あ、ツッコミ取らないでぇえぇえええ!」
『シンキチのアイデンティティが失われてしまうぞ!』
「ツッコミしか取り柄がないように言わないで!」
シンキチが涙目で叫んだ。
「世界、この場合三千世界とでもいうべきかしら。いやもっと大きな意味でのセカイね。その中でデスゲームはあらゆるセカイに広がってるのよ。ある意思の元ね」
「随分と意味深な発言をするものだな。だがそれだと我々の世界にもデスゲームがあったということではないか?」
ここで口を挟んだのはマックスだった。彼女は景が転生した世界の住人、つまり異世界からやってきた女騎士なのである。
「当然。そもそも魔王が現れている時点でそれはデスゲームとも言えるのではなくって?」
「ムッ……」
大宮の答えにマックスが喉を詰まらせた。
「その話だと異世界から戻った俺も含めて異世界でもデスゲームをやってきたということになるね」
「そうなるわね。でも問題はそこじゃないわ。知っての通り異世界は厳しい世界でありながらそこで過ごすことで我々は特殊な力も手に入れた。その上で帰還したことで地球のデスゲームをも難なく潰すことが出来たとも言えるわ。だけど彼は違う」
そう言って狩人を指差す大宮。狩人は静かにその話を聞いていた。一方で海渡は何かを察したような顔つきで次の言葉を待つ。
「彼、狩人は異世界帰りではないにも関わらず純粋な力でデスゲームを凌駕する強さを身に着けた存在。だからこそ可能性は未知数、そしてセカイの今後を左右する重要人物でもあるのよ」
「「「「「「「「「「な、何だってぇええええぇええぇえぇええ!」」」」」」」」」」
この大宮の発言で会場中の驚きがシンクロして響き渡ったのだった――
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