番外編⑤ その二十 狩人じゃ勝てない?
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今まさに決勝戦が始まろうとしていた。舞台に立つは和の魔法少女として活躍中の佐藤委員長、そして未だに生きてるのが不思議な存在田中である。
「私の説明ひどくない!?」
田中が叫んだ。だが事実だから仕方ないのである。
「ふっざけんな!」
しかしこのカードに納得のいっていない人物がいた。そう狩人である。
「俺は海渡! テメェと決着をつけて佐藤委員長を振り向かせる必要があったんだ! なのにその佐藤委員長があんなわけのわかんねぇおっさんと決勝で争うなんて意味わかんねぇんだよクソが!」
海渡に向けて吠える狩人。しかし海渡としてはもともとそこまで乗り気じゃなかった為かどこ吹く風である。
「大体途中から俺も戦った記憶がねぇ。それなのになんで決勝戦が始まってんだ!」
「確かに言われてみれば、すっぽり記憶が抜け落ちたみたいにお前たちの試合が思い出せないな」
「あぁ、俺も一緒だ」
話を聞いていた杉崎と虎島も困惑している様子だった。しかし周囲には今の状況を受け入れているのもいる。
「どうやらある程度の力を持った人は違和感あるみたいだね」
「あらあら。皆様どうしたのですか? あれほどまでの死闘を乗り越えて佐藤委員長は決勝に挑んでるではありませんか」
ちなみに金剛寺には違和感一切ないどころか佐藤委員長の謎の勇姿を記憶しているようである。
「何で委員長が田中と戦ってるんだが私も謎なんだけど……」
一方で鈴木は理解が追いついていないようだった。
「能力持ちには通じてないのかな。まぁ俺はあまり気にしてないけど皆が混乱してるから小平から説明してよ」
海渡が説明を小平に求めた。海渡は何が起きたか理解しているようだが小平に任せてしまおうと考えたのだろう。
「まさかの他力本願!」
シンキチが突っ込むが元凶は小平やその仲間であるようなので説明責任は彼らにあるだろう。
「君はそういうの面倒なタイプなんだねぇ。ま、いいけど。答えから言ってしまえば時を飛ばして未来を変化さえ記憶も改変したのさ」
「すごくあっさりととんでもない答えいい出した~~~~!」
シンキチが目が飛び出さんばかりの驚きツッコミを入れた。確かに内容的には中々のとんでも仕様である。
「あら、意味がよくわからないのですがどういうことなのでしょう?」
金剛寺が疑問符が浮かんだような顔をして小平を見た。
「ま、そういう能力だと思ってくれればいいよ♪」
「軽いノリで言ってるがとんでもないことだぞ。それを全てお前一人でやったのか?」
「違うよ。それをやったのかこの保谷と田無さ」
そう言った小平の横にはいつの間にか眼鏡を掛けた少年が立っていた。雰囲気的に彼が保谷なのだろう。
「田無というのは?」
「あぁ田無は人見知りが激しいから基本姿を隠してるんだよね。まぁ改変関係はその田無が。そして保谷は時を操るのが得意なんだよね」
あっけらかんと話す小平。だがその能力はとんでもない。
「話はわかったけど、結局お前たちは何が目的なんだ?」
「どうでもいいんだよ! さっきから聞いてれば俺を無視してわけわかんねぇ話ばかりしやがって! それより海渡さっさと俺とケリをつけるぞ!」
海渡がつかれた顔で小平に聞くも狩人は全く納得のいってない様子であり海渡との決着を求めてきた。
「それはダメよ。今の貴方では海渡には勝てない」
そこにふたたび割り込む声。現れたのはピンク色した巻き髪の少女だった。
「何かまた増えたぞ」
「一体どれだけいるんだよ」
「はは、ごめんね。彼女も僕の仲間なんだ。折角だから紹介しようか名前は」
「待った! もうわかったもんね! 小平、保谷、田無とくれば次はある程度決まってくる! そうきっと!」
「そう彼女は大宮さ」
「てぇえええ! そっちかよ! なんでやねん!」
シンキチがずっこけそうな程に仰け反りながら突っ込んだ。見事な仰け反りツッコミである。
「おい! 俺じゃ勝てないってどういう意味だよ!」
しかしシンキチのツッコミが入ろうが狩人は気にせず大宮に詰め寄った。
「文字通りの意味よ。狩人今のあんたじゃ逆立ちしたって海渡には勝てないわ。でも可能性はある。だって貴方、異世界帰りでもないのに純粋な強さでデスゲームを打ち破ってきたんだから――」
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