番外編⑤ その十六 まさかの犠牲者!?
いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!
「シンキチーーーーーー!」
虎島が叫んだ。シンキチがマグマの中に真っ逆さまに落ちていったからだ。
「おいおいマジかよシンキチ!」
「え? ちょっと大げさすぎじゃない? あれもどうせ色の付いた温泉とかなんだよね?」
杉崎も慌てた様子だがその姿に鈴木は疑問を持ったようだった。その問いかけは金剛寺に向けられている。
「も、勿論そうですわ! この大会に危険なんてありえませんわ!」
金剛寺が疑問に答えた。だがどこか自信なさそうであり聞いていたクラスメートの顔が曇る。
その時だった――マグマの中から骨がプカプカと浮かび上がってきたのだ。
「え? 嘘!」
「マジかよシンキチが!」
「畜生! どうして大会編で血が流れるんだ!」
佐藤委員長が口を両手で押さえ矢島と鮫牙もわなわなと肩を震わせた。
「し、死亡確認!」
そして何故か田中がそんなことを口にした。まさか大会編で死者が――会場は一瞬にして戦慄に包まれた……。
「ぷはぁ~あ~びっくりしたぁ」
そこへ――顔を出したのはシンキチだった。マグマの中からよっこいせと上がり後頭部を擦る。
「はぁ、でも負けちゃったなってあれ? ど、どうしたのみんな?」
「どうしたのじゃ、ねぇよシンキチーーーー!」
「いきとったんか君ぃ!」
貞治がシンキチに抱きつき田中はたまげたなぁという顔で突っ込んだ。そしてシンキチ生存を確認した他の皆も安堵した様子だった。
「はは、やっぱり生き残ったね」
「どういうつもりかな?」
リングの上では勝利したゴヘイが笑顔を見せていた。海渡はそれを確認してから睨むような目で問いかける。
「さて? 何がだい?」
「分かっているんだろう? 今のはお前の仕業だ。悪いけど洒落になってない」
海渡が断言した。シンキチの周囲のマグマが本物であったことは確かだったからだ。
「はて? 何のことかな?」
ゴヘイは首を傾げて見せた。あくまでしらばっくれるつもりのようだか。
「そう。なら仕方ないね」
海渡の手がワキワキとうごめいた。これ以上話していても仕方ないと思ったのかも知れない。
「へぇ~ここでやる気なんだ。仕方ないね。なら一つ。僕もわかってたのさ君ならこれぐらいなんとかするってね。つまり悪気はなかった。それでも君が力で解決しようと言うなら仕方ないね僕は素直に受け入れるよ」
「……一体何がしたいんだい?」
ゴヘイの態度に怪訝な顔を見せる海渡。
「まぁそれを明かすのはもう少しだけ待ってよ。きっと面白いことに」
「いや、もう本当そういうのどうでもいいからさ」
しかしゴヘイの話を聞くことなく海渡の手から光の波動が溢れゴヘイに向けて直進した。光に飲み込まれたゴヘイはそのまま消滅してしまう――
発売中の月刊コミックREX1月号にてコミカライズ版最新話掲載中!
そして最新のコミック単行本4巻は来月12月26日発売です!




