番外編⑤ その八 委員長の返事は?
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隣のクラスに転校してきたというデスゲームスレイヤーが委員長に告白した。
この事実にクラスの生徒達が大きく反応した。委員長は男子にも隠れ人気が高いが、ここまではっきりと委員長に告白した相手はこれまでいなかった。
「委員長に告白だとッ!?」
「デスゲームが起きれば真っ先に巻き込まれる巻き込まれ系女子かつメガネでエロい女生徒ナンバーワンの委員長に遂にこの日が!」
「きゃぁ~ねぇどうなっちゃうのかな? どうなっちゃうのかな?」
「ちょっと言動が怪しけどあの子見た目は中々よね」
「ワイルド系なイケメンって感じよね」
男子は悔しがり女子はこの展開にキャアキャアと騒ぎ立てた。
一方で委員長はちらりと海渡の方を見ていた。しかし海渡は相変わらず薄い反応である。それでも委員長は海渡の感情の変化には敏感な方なのだがこういった色故事沙汰になるとさっぱりなのが悩みどころでもある。
とは言え相手の目は真剣そのものであり委員長として適当な返事は出来ない、と委員長は戸惑いながらも口を開く。
「あの、な、名前もまだ良く知らないし」
「死遊戯 狩人それが俺の名前だ!」
『まんまだよ! デスゲームスレイヤーさん名前もまさかのそのまんまだったよ! それに漢字の当て方とかまるでいろいろ暴走する団体さんみたいなセンスだよ!』
「突っ込むなぁ」
教室で海渡が自らツッコミに触れていた。まぁ今更でもある。
「ちょっとスレイ! そんな怖い顔で委員長に迫らないでよね!」
ここで鈴木が委員長との間に割って入った。
「は? す、スレイ?」
「スレイヤだからスレイよ。スレイヤってなんか言いづらいし」
鈴木が答えた。つまり愛称みたいなものを決めたってことである。
「スレイいいわね」
「言いやすいしそれで決定ね」
「お~ほっほっほ! 貴方のことはこれからスレイと申し上げて差し上げますわ」
女子たちは鈴木の決めた名前でもう完全に認識してしまったようだ。
「す、スレイか。女にそんな名前つけてもらったの初めてだぜ。は、まさかお前も!」
「違うわよ! 何勘違いしてるのよ馬鹿じゃないの!」
スレイが鈴木を見ながら見事な勘違いを見せるがそれは鈴木本人が完全に否定した。
「はぁ虎ちゃんもあれぐらいはっきり言ってくれればいいのに」
「キラちゃん何か言った?」
「あの男が気に入らないのですね。その気持ちわかります。神も申しております罰せよと」
「うむ。ならばこの私が!」
「待って待ってそんなこと言ってないから!」
景が慌てて三人を止めた。ぼそっと呟いた一言でここまでされるのだから景も大変である。
「しかしとんでもないことになったな。まさかデスゲームスレイヤーが委員長に告白とは」
「海渡も気が気じゃないんじゃないか?」
「え? 俺が何で?」
「いや何でってお前……」
ぬぼ~っとした様子の海渡に杉崎が目を細めた。
「海渡くんがこれじゃあ委員長も前途多難ね」
花咲がため息交じりに言った。海渡の鈍さに呆れているのだろう。
「大体あんた委員長の何を見て好きと言ってるのよ。まさか胸とか言うんじゃないでしょうね!」
「ちょっと鈴ちゃんってばもう!」
中々ストレートな物言いの鈴木に委員長も困った顔で声を張り上げた。
「馬鹿いえ。そもそも俺は委員長に手料理をごちそうになったんだ。つまり俺は委員長の気持ちを受け取ったってことだ!」
「え? そうなの?」
「えっとごめんなさいよく覚えてなくて」
「ないぃぃいぃいぃぃぃいぃいいい!?」
スレイが大きく仰け反った。まさか記憶になかったとは思ってもいなかったのだろう。
「馬鹿なあのデスゲームが起きてる現場で俺は確かに受け取った! 委員長が和装で俺のために作り上げた手料理を!」
(委員長またデスゲームに巻き込まれてたんだ……)
話を聞いていた海渡がそんなことを思った。同時に自分がいかなくても自力でなんとかなったことを察し、委員長の成長に感心した。
「委員長デスゲームに巻き込まれて大丈夫だったの!」
「う、うん。手料理を振る舞ったら皆わかってくれたよ」
「わからせられたか……」
聞いていた杉崎が呟く。話を聞いてるだけでデスゲーム運営がどうなったか想像がつくあたりが今の委員長の凄いところであった。
「ま、ようはあんたの勘違いってことね。委員長は皆のために料理を振る舞っただけであんた個人に好意があったわけじゃないのよ」
「なにぃぃいぃぃぃいいいい!?」
スレイが叫ぶ。信じられないといった様子だ。
「ご、ごめんなさい。でも私……」
「あきらめねぇ――それでも俺は諦めねぇぜ委員長!」
しかしスレイはガバっと立ち直り委員長の手を取った。戸惑うも若干赤面する委員長であり。
「はいはい、過度な接触禁止! 全く海渡だってここまで接しないってのに」
「ちょ、鈴ちゃんどうしてここで海渡くん!」
「なに?」
鈴木と委員長のやり取りにスレイの耳がピクッと反応した。
「委員長、その海渡ってのは一体誰なんだ?」
「え? いや、その、あはは――」
頬を掻きつつ委員長がごまかすように笑った。その態度からスレイも何かを察したようであり。
「その海渡ってのはどこのどいつた出てこいやぁ!」
そう教室中に響き渡る声で叫ぶのだった――
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