番外編⑤ その七 またもや転校生!?
いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます。
「おい聞いたかよ! 隣のクラスに転校生がやってきたんだってよ!」
矢島が元気いっぱいに駆け寄ってきて海渡たちに話しかけてきた。これまで以上の陽キャぶりに杉崎の目が丸くなる。
「……てか矢島元気そうだな?」
「ハッハッハ! 俺はいつも元気だぜ! 当然じゃないか!」
「なぁ海渡。矢島どうしたんだ?」
「この間、借金完済してバイト終わったからね。その分ちょっとハイテンションになってるんだと思う」
矢島はこれまで異世界バイトで苦労した反動で異様にテンションが上ってるようだ。異世界酔いとも言われる症状らしい。
「俺はそんなことなかったけどな」
「……私もだな」
虎島が答えた。すると丁度話を聞いていた黒瀬も同調していた。
「何だ黒瀬も異世界に行ってたのか?」
「いや、そもそも黒瀬は大魔王なんだから異世界が故郷なんじゃないか?」
「……フッ――ま、異世界も色々だがな……」
虎島が疑問を抱くも杉崎がすぐに思い出したようにして言った。黒瀬は薄い笑みを浮かべて笑っていたが何故か若干笑顔は引きつっていた。
「それはそれとしてこの学校転校生多いな」
「お~ほっほっほっほ! 確かに虎島くんも景ちゃんたちも転校生でしたわね」
金剛寺が相変わらずの高笑いを決めた後最近転校してきた皆について述べた。
今回の転校生は隣のクラスだがそれでもこの短期間に六人の転校生は多いと言えるだろう。おまけに先生まで新しく赴任してきている。
「どうやら転校生は男らしいぞ。ワイルドイケメンだって隣で騒がれてるぜ」
教室に入ってきた鮫牙が話題に乗っかるようにして教えてくれた。それを聞いた矢島のテンションがみるみる内に下がっていく。
「何だ男かぁ……」
「テンションの落差が激しいな」
「これも異世界バイトの影響か?」
「それは多分素だと思うよ」
ズンッと重しでも乗せられたように落ち込む矢島だが特に異世界の影響は関係なかったようだ。
「何よ男ってつまらないわね。消し炭にするわよ!」
「男だと? 景に手を出すなら切る!」
「死の魔法をプレゼントしてあげましょうか?」
「お願いだから手荒な真似はやめてねみんな」
「キュ~?」
マックス、キャラット、フォワードは相変わらず男が嫌いなようで景が心配そうにしていた。ミラクは景に撫でられながら、なになに~? と言った顔を見せている。
「隣の転校生男なんだね~」
「鈴ちゃん気になるの?」
「はは。私は別に。でも委員長が何か心配なんだよね~」
「え~?」
鈴木にギュッとされて委員長が笑った。鈴木が心配なのは虫の知らせに過ぎないようだが――
「見つけたぞーーーーーー!」
その時だった。教室に轟く荒々しい声。見ると真っ白い髪の少年が入ってきていた。見覚えのない男でありおそらくこれが転校生なのだろうと海渡は判断した。
「な、お、お前デスゲームスレイヤー! おいおい冗談だろう! 金は払っただろうが!」
「あん? 誰だお前?」
入ってきた男の顔を見るなり矢島が怯え近くにいた虎島の後ろに隠れた。
だが肝心のデスゲームスレイヤーは矢島のことなど眼中にないようであり、その足は委員長に向けられていた。
「やっと見つけたぞ委員長!」
「え? わ、私?」
名指しされ困惑する委員長。デスゲームスレイヤーはズカズカと委員長に歩み寄ってくる。
「ちょっとあんた何! 委員長になにかするつもりなら私が許さないからね!」
委員長の前に躍り出た鈴木が転校生であるデスゲームスレイヤーを睨みつけた。
何かされるのでは? と怪訝に思っているのだろう。
「お前に用はねぇ! 俺が用があるのは委員長だ!」
「だから何の用があるのよ!」
「待って待って鈴ちゃん。何か用事があるみたいだし、ね?」
委員長が鈴木を窘め話を聞く姿勢に入った。鈴木も渋々ながら委員長の隣に移動する。
「えっと転校生、なのですよね?」
「そうだ。お前を探してやっと見つけ転校してきた。返事を待たせて悪かったな」
「はい? へ、返事?」
デスゲームスレイヤーの話に委員長が目を丸くさせた。何のことかよくわかってないようだが一方でデスゲームスレイヤーは頬を染めながら言い放つ――
「あ、あんたの気持ちは受け取った! 俺と付き合おうぜ委員長!」
発売中の月刊コミックREX3月号にてコミカライズ版最新話が掲載されております。
またコミック単行本3巻が2月27日に発売予定です!どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m




