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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第九章 様々なデスゲーム編

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番外編⑤ その六 委員長の手料理とアイツ

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

 突如流れたアナウンス。どうやら試写会かと思ってやってきた場所はまたしてもデスゲームの会場だったようだ。


「私、試写会に誘われただけなのに……」

『間違いではありません。まさに今から始まるのは死写会なのですから』

「そうなの!? うぅひらがなで書いてるからおかしいと思ったよぉ」

『もっと怪しもうよ! これまで散々その手に引っかかってるんだから!』


 どこからともなくツッコミの声が聞こえてきたがわりと正論でもある。同音異義語を扱う際にあえてひらがなで表記するなどわりと常套手段なのである。


『さてそれではルールを説明いたしましょう。先ずは、和の料理人!?』


 アナウンスが乱れた。これまで感情の起伏の少ない機会的かつ冷徹な役を気取っていたアナウンスが見事に乱れた。


 なぜならいつのまにか委員長が和の料理人になっていたからだ。


「デスゲームと聞くとつい変身しちゃうようになっちゃったよ……」

『変身って和の正装になっただけよね!? ま、まぁいいわ。ルールを伝えてあげる。この死写会は文字通り死を写す。映画に参加するのはあなた方。既にこの会場には沢山のキラーが潜んでいる。果たしてここから無事脱出出来るかしらねウフフッ』

「なるほどつまり料理が必要ってことですね!」

『今さら絶望を感じてもはい?』


 アナウンスの説明とは裏腹に委員長は目を輝かせていた。聞こえてくるアナウンスから疑問符混じりの声が聞こえてくる。


『意味がわからない! 何故そうなるのよ!』

「役者さんの為にも栄養補給の料理は必要ですよね?」


 声のトーンもいよいよ変わってきたアナウンス相手に何か問題が? とでもいいたげに返す委員長であり、そこからの動きは早くあっという間に調理器具を用意し下ごしらえをしていく。


「和食は下ごしらえで全てがきまりますからね」

「ぁfklfぁjふぁlsjfぁsjfぁ」

「аАвба」

「ヴヴッヴウッヴヴヴヴヴアファfァjlファkィファァlfジャ」

『なんだかわけのわからない下ごしらえが始まってるんですけどぉ~~~~~~~~!』


 下ごしらえを大事にする委員長だったがその光景はあまりに悍ましいものだった。食材があっというまにぎょろぎょろした目玉が沢山ついた煮こごりなのかなんなのかよくわからないものになったり、すき焼きとしゃぶしゃぶを否定する頑固者でも言葉を失うほどの肉らしき生物が鍋から溢れている。


『い、いそいでこっちに来なさいフレディス! ジャンソン! ヤヴァイ娘がいるわ!』


 アナウンスの声に合わせて爪がやたら長かったり白い仮面をかぶったりしたキラーが駆けつけてきたわけだが。


「お疲れ様ですこれをどうぞ」

「……ポッ」

「……ガッ」


 委員長の自然体の笑顔に当てられたのか二人が差し出された料理に手を付けた、かと思えば全身が紫色に変色し倒れた。


『フレディスーーーー! ジャンソンーーーー!』


 アナウンスが叫んだ。それぐらいショッキングなことが目の前で起きたのだろう。もっとも本来なら叫ぶほうが逆だが。


「よっぽど疲れてたんですね」

『違うわよ馬鹿! 何を喰わしてくれてるのよ!』

「ハッ! ここにいたか。いいかよく聞け俺はデスゲームスレイヤー! 俺に金を支払うならお前を助けてやるただし報酬はってなんじゃこりゃーーーーーー!」


 その時だった死屍累々のその場に現れたはデスゲームスレイヤーを名乗る白髪の男だった。真っ黒い格好で赤マントに鋭い目つきと本来なら出会った相手が怯むほどの存在だろうが今回ばかりはデスゲームスレイヤーの方が驚嘆した。


「あ、あなたも役者さんですか? ではまかないをどうぞ」

「え? お、俺にくれるのか?」

「はい」


 突然現れたデスゲームスレイヤーだったが天然の委員長は彼もまた役者と思ったのだろう。手作りの料理を差し出した。


「ギュギェ――」


 椀の中ではアンコのような色をしたタコのようなイカのようなナマコのような不気味な生物が目玉を伸ばしてうめき声を上げていた。


『たとえの生物が軟体ばかりで逆にわかりにくい!』


 謎のツッコミは入ったがそんなことも気にもとめずデスゲームスレイヤーはしばらくその食べ物か生物かも判断付かない中身を見つめた後――口の中にかっこんだ!


「うぷっ!」


 途端に顔が真っ青になり手で口を押さえる。その様子に委員長が不安そうに声をかける。


「あの、もしかしてお口にあいませんでしたか?」

「んぐぅ、うごぉおお、ぷ、ぷふぁああぁあああああ!」


 しかし委員長の心配を他所になんとデスゲームスレイヤーは料理を飲み込んだ飲み込んだ飲み込んだ!


「う、旨かったぜ。へへっ、確かにあんたの気持ちはう、受け取っ、た、ぜ――」


 そしてデスゲームスレイヤーはふらふらとした足取りでその場を後にしたわけであり。


『ひ、ひいぃぃいいいい! 変な生物が入り込んでいやぁああああぁあ!』


 その直後アナウンスの絶叫が映画館に鳴り響いた。いつのまにか増殖していた委員長の料理が勝手に移動したからでありこれによってアナウンスの言っていたキラーも全滅した。


 こうして委員長の天然の活躍によってデスゲームに巻き込まれた人々も命が救われたわけだが――助かった人々の中にデスゲームスレイヤーの姿はなく、ただ激しく吐かれた跡だけが廊下に残っていたという……。

新作短編を投稿しました。

「【スカッと】溺愛され続けた姉が消えた途端妹の私は働けと強要され軟禁生活の末、遂には身売りされそうになったけど戻った姉の一言で形勢逆転、覚悟の準備はいいですか?毒親は纏めて排除します!【ザマァ】」という作品です。ザマァ展開ありでスカッとする短編ですので本作を読んでいただけている皆様なら楽しんで頂けるかと思います!下のリンクからも作品ページへ飛べますのでどうぞよろしくお願い致します!

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デスゲームスレイヤーもしやデスゲーム詐欺師かと思ったら真の勇者やんけ! 頑張れ!デスゲームスレイヤー!この世の全てのデスゲームを殲滅するまで! デススレ!デススレ!
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