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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第九章 様々なデスゲーム編

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番外編⑤ その四 命の価値

 デスゲームスレイヤーの話をしていると矢島がやってきて海渡に縋り付いてきた。


 何でも五百万円の借金を背負わされたらしい。


「頼む伊勢! お前確か強かったよな? 詐欺まがいの真似して借金背負わせてくるデスゲームスレイヤーをやっつけて俺を助けてくれよぉ」


 矢島が必死に訴えてきた。正直要領を得ない話だが困っているのは伝わった。


「落ち着け矢島。さっきから何の話かさっぱりだぞ」


 杉崎が矢島を宥めもう少し話をわかりやすく纏めるよう促した。


「あ、あぁ悪い。実はだな――」


 そして矢島が事の顛末を話し始めたわけだが――


「……つまりその怪しいバイトにつられて見事に引っかかりデスゲームに巻き込まれたわけか」

「愚かしいですわ。だいたい日給一千万円程度で何故簡単につられてしまうのか謎ですわね」

「いや一千万円は十分大金だと思うけど……」


 いつの間にか海渡たちの近くにクラスメートが集まって来ており、聞いていた金剛寺は呆れ顔を見せていた。


 もっとも庶民からしたら一千万円は十分な大金であり鈴木もそこは指摘していた。


「でも一日一千万円は本当に怪しいよね。普通に詐欺かなと疑っちゃうけど」

「いやいや裏の裏という可能性もあるじゃん!」

「いや、しっかり騙されてるだろうが」


 鈴木に反論する矢島だったが虎島の意見は厳しかった。


「とにかくデスゲームから助かったまでは良かったけど、命を助けたんだから五百万円寄越せとか言うんだぜ! おかしいだろう!」

「う~ん……」


 矢島が同情を乞うように語りかけるが海渡はあまりしっくりきていない様子だ。


「海渡くん何とかならないかな?」


 委員長が海渡に聞いた。どうやら困ってる矢島にしっかり同情している様子でもある。


「でもさ、それそんなに悪い話かな?」

「はい?」


 だが海渡は矢島に対して疑問点を口にした。五百万円という借金をについては妥当だと感じているようでもある。


「う~ん矢島は自業自得とも思うけど、やっぱり五百万円は法外じゃないか?」


 杉崎が首を傾げつつ海渡に意見した。だが海渡はやはりしっくりきていないようでもあり。


「それなら杉崎はこのままじゃ死ぬって状況で五百万円で助かると言われたら高いと思う?」

「え? 五百万円か……う~ん――それならもしかしたら助けてくれってお願いしちゃうかな?」

「確かにそう言われてみるとは。命の価値をお金で換算するのもどうかと思うが死ぬことを考えたらな……」


 少し迷った末に杉崎は五百万円なら妥当と考えたようであり、これには虎島も同意なようであった。


「だよね。僕も似たような考え出しそれに矢島は納得したんだよね?」

「いやしたけど状況が状況じゃん!」

「でも約束は約束だしなぁ」


 海渡は今回の件で矢島を助けることに乗り気ではないようだ。


「いやいや待ってくれよ! 海渡頼むよ五百万円も払えないよ!」

「う~ん……」

「その五百万は期日があるのか?」


 海渡の肩を掴んでお願いする矢島を横目に黒瀬が問いかけた。確かにそこは気になるところではあるだろう。


「いや相手に一括は無理だと言ったけどさぁ、そしたら月五万は最低限支払えとか言うんだよ! 酷いだろう!」


 それに答える矢島。だがクラスの空気は微妙な物だった。


「月五万なら、なぁ?」

「バイトでもすればなんとかなるんじゃないか?」

「命には変えられないよねぇ」


 五百万円は確かに大金だ。しかし月五万円となると一気に深刻度が和らいだようなそんな気がしたのだろう。


 拾った命と思えばそこまで高いものではないと思われてしまったのかもしれない。


「まぁ、そうだな。それぐらいなら頑張れよ」

「助けた方もそれ相応にリスクがあった筈だしなぁ」

「そ、そんなぁ。そうだ! 黒瀬か金剛寺! 友だちとしてお金を貸してくれよ! 出世したら返すから!」


 助けてもらえる見込みがないと感じたからか矢島がクラスを代表する金持ちの二人に縋りだした。


 藁にもすがる思いといったところだろう。


「貸す必要ないぞ金剛寺、黒瀬。だいたいそんなのはテメェが撒いた種だろうが。だったらテメェで汗水流して働いて返せ。安易に友だちから借りてなんとかしようだなんて甘いんだよ!」

「「「「「「「「……………」」」」」」」」


 その発言にクラスがシーンっとなった。なぜなら発言者はあの鮫牙だったからだ。


「お前、変われば変わるもんだなぁ」


 杉崎がしみじみと口にした。ちょっと前までデスゲームにノリノリでクラスから顰蹙を買うような発言を繰り返していた頃と比べると別人のようでもある。


「ま、鮫牙もこう言ってるんだし自分でなんとかするしかないね」

「ま、待ってくれよ! 本当なんとかしてくれよ海渡~~~~~~~~!」

「う~ん。そう言われても俺に出来ることなんてバイトを紹介するぐらいかなぁ」

「え? バイト? それって稼げるの?」

「う~ん頑張れば日本円で日給十万円ぐらいにはなるかなぁ(危険だけど)」

「マジで! だったらそれでいい! そのバイト紹介してくれよ海渡ぉおぉおおおお!」


 こうして結果的に矢島に稼げるバイトを紹介することで話が落ち着いたわけだが――

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