番外編⑤ その三 デスゲームスレイヤーの正体は海渡?
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「なぁ海渡。最近デスゲーム運営潰して回ってるのか?」
「ん?」
朝、海渡が教室に入ると杉崎が駆け寄ってきてそんな事を聞いてきた。
だが海渡は何を言ってるのかわからず?顔で一旦席についた。
「そうなんだろう? 最近ネットでも噂になってるぞ」
「う~ん……」
「あぁ。その事は実は俺も気になっていたんだ」
「キュッ!」
虎島も海渡に近づいてきて会話に加わった。その頭の上ではスライムのミラクが楽しそうに跳ねていた。
「ネットで話題のデスゲームスレイヤーって海渡の事だろ? 全く言ってくれれば俺だって協力したのによ」
拳を鳴らし手伝うアピールを示した虎島だったが肝心の海渡は無表情であった。
「海渡反応薄くないか?」
「そう言われても身に覚えない話だからね」
杉崎が戸惑った様子で問いかけた。すると海渡はあっさり話の人物が自分ではないと答え頬杖をついて見せる。
「マジかよ。」だけどデスゲームをつぶせる程の実力があるなんてそうはいないだろう?」
「いや、最近はそうとも言えないか……もしかして黒瀬とかか?」
「おお。そういえば黒瀬最近疲れた顔をしてるもんな」
「――それとは関係ない。そんなのがいたのも初めて聞いた」
二人の疑問に黒瀬が席から答えた。虎島の言うように黒瀬は何やらひどく疲れているようで目に隈も出来ているが今回の件と関係はないようだ。
「だったら何でそんなに疲れてるんだ?」
「……ゲームにつきあわされて徹夜続きだ。やらせるんじゃなかった――」
そう言ってすぐパタリと机に突っ伏して黒瀬が寝息を立てた。
「黒瀬もゲームやるんだな」
「前に格ゲー上手かったしね」
「でも今つきあわされてって言ってたよな?」
黒瀬の言動は気になるところだが二人は話をデスゲームスレイヤーの件に戻す。
「俺は絶対海渡の仕業と思ってたんだけどなぁ」
「えぇ。しないよそんなこと面倒だし」
「面倒って、いや、まぁ確かに一人でやるには面倒だろうけど」
海渡の反応に苦笑する杉崎だ。確かにゴキブリの如く増え続けるデスゲームを叩いて回るのは大変だし骨が折れることだろう。
『いやいやゴキブリ並に湧き出るデスゲームってヤバすぎでしょう!』
「あぁ、そういえばシンキチもそれなりに強いしもしかしてデスゲームスレイヤーって……いや違うかごめん」
『謝られた! それはそれで傷つくからね! 確かに違うけど!』
『そこまでシンキチ強くない』
『うるさいよ!』
ツッコミがツッコミの中でツッコミをするという奇妙な現象が発生したがどうやら件の人物はシンキチでもなかったようだ。
「でもさ海渡じゃないにしてもやっぱり放っておけないだろう? 俺たちで協力すれば……」
そこまで言ったところで虎島が言葉を切った。海渡があからさまに嫌そうな顔を見せたからだ。
「海渡本当にやりたくないんだな」
「そりゃそうだよ。虎島も力があるからって余計なことに首を突っ込んでも虚しいだけだよ」
「何か凄く実感こもってるな」
海渡の様子を見ながら杉崎が言った。その感想は間違ってもいない。海渡は実際に一度異世界を救っているが、その時の経験から余計なことには関わらないと決めている。
「俺達のことはデスゲームから救ってくれたのになぁ」
「そりゃ友だちやクラスメートが理不尽に殺されそうになってるわけだからね。でもそれとこれとは別な話」
海渡が答えた。海渡も全てにおいて無関心というわけではないのである。
「それにそういうのはしっかり役割を持った人がやるべきだと思うよ」
「海渡~~~~~~~~お願いだ助けてくれよ~~~~!」
デスゲームスレイヤーについて海渡が虎縞や杉崎と話しているとそこに矢島が割り込んできて海渡に縋り付いてきた。
涙ながらに助けを乞うており明らかにトラブルに見舞われた様子だ。
「突然どうしたんだよ矢島」
「聞いてくれるか海渡! 杉崎! 虎島!」
「いや、正直そこまで聞きたいわけじゃないんだけど、そんな顔でこられたらなぁ」
「俺は別に聞きたくないけど」
「俺も特に何も言ってないんだが」
「そうか良かったやっぱり持つべきものは友だちだな!」
矢島の話を聞くのにそこまで乗り気じゃなかった三人だが構わず矢島が話し始めた。仕方ないから矢島の話に三人が耳を傾ける。
「俺困ってるんだよ! なんかわけのわかんないデスゲームスレイヤーとかいうのに五百万円支払えと脅されてるんだ~~~~~~~~!」
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